介護や福祉の業界にはさまざまな職種が存在します。
一口に「介護職」と言っても働く場所によって求められるスキルが違いますし、利用者さんの介助に直接は関わらない業務内容の仕事もあります。
今回の記事ではそんな多種多様な「介護・福祉業界の職種」をピックアップしてご紹介します。
転職検討中の方はぜひこの機にチェックしてみてくださいね!
目次
介護に直接関わる仕事
利用者さんの身体介助を行う介護スタッフにも種類があります。
資格の有無や所属先の違いによってそれぞれできることも異なりますので、利用者さんに直で関わりたい! という方もよく比較してみましょう。
介護職(施設系)
日常生活をひとりで営むことができない高齢者や障害者を対象に、状況に合わせた適切な身体介護・生活援助を行うことを主な仕事とするスタッフです。
食事や排泄、入浴といった生活動作の身体介助はもちろん、介護サービスの利用者さんやそのご家族からの相談に応じることもあります。
上記の業務は資格を持っていない介護職員でも行うことが可能ですが、介護職向けのスキルアップ・キャリアアップに必要な資格もありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 介護老人保健施設
- デイサービス
などの介護施設
訪問介護員(ホームヘルパー)
訪問介護員(ホームヘルパー)はその名の通り、利用者さんの自宅に訪問して介護サービスを提供する介護職のこと。
身体介助の他に掃除や洗濯、調理、買い物代行といった利用者さんの日常生活を助ける家事援助サービスや、利用者本人やご家族からの相談対応も行います。
訪問介護士になるには最低でも介護職員初任者研修を修了している必要がありますので、就職・転職の際には注意しましょう。
社会福祉法人やNPO、民間企業などが運営する訪問介護事業所に所属し、利用者さんの居宅へ赴いて介護を行います。
ですが近年では、以下のような場所に訪問することもあります。
- 住宅型有料老人ホーム(介護の専任スタッフが常駐していない)
- サービス付き高齢者向け住宅(訪問介護員利用型)
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移動介護従事者(ガイドヘルパー)
訪問介護員に近しい職種として、移動介護従事者というものがあります。
移動介護従事者(ガイドヘルパー)とは、さまざまな障害によってひとりでの外出が困難な利用者さんに対し、必要なサポートや介助を行う介護職のこと。
具体的な支援として挙げられるのは、買い物や通院、通勤・通学といった日常生活の中で生じる外出の付き添いとサポート。その他、散歩や旅行などの余暇活動にも同行することがあります。
対応する障害の種類に応じて、ガイドヘルパーの中でも「視覚」「全身性」「知的」の3種類に細分化されています。
視覚障害については同行援護従業者、知的障害については行動援護従業者にサポートの管轄が移されつつあるので、就職・転職に伴って研修を受ける際には注意しましょう。
- 外出介護サービスを行っている訪問介護事業所
- 外出介護サービスを行っている通所・入所の障害者支援施設
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看護助手
看護助手とは、病院やクリニック等の医療現場で看護師のサポートをする介護士のこと。無資格でもなることができます。
名前には「看護」とついていますが、看護師資格を有していないため医療行為はできません。
主な仕事内容は、医療行為以外の看護師の仕事をサポートすること。
病室の清掃やベッドシーツの交換、医療器具の洗浄、診察の介助といった病院ならではの業務もあれば、患者さんに対するさまざまな身体介助を行う、介護施設で働く介護職と同じ業務もあります。
医師や看護師がスムーズに働けるようにサポートをし、笑顔で患者さんと接することが大切です。
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相談業務に関わる仕事
現場で直接利用者さんと関わる職種でなくとも、「相談援助業務」の専門職として介護業界で働く……というのも選択肢としては十分にあり得ます。
病気や障害、老化による機能低下などによって生活に問題を抱える人やその家族に対して、適切な助言・支援を行うこと。
そのような相談援助業務を担う人を広くソーシャルワーカー(SW:Social Worker)と呼びます。国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士を指す場合が多いですが、必ずしも資格が必要というわけではありません。
具体的にどのような職種があるのか見て行きましょう。
生活相談員
介護施設で働くソーシャルワーカーこと「生活相談員」。
介護福祉施設を利用する高齢者・障害者やその家族に対し、相談援助業務を行う職種です。
利用者やその家族から相談を受けたり、入退所の手続きをしたり、関係各所への連絡・調整を行ったりするなど、施設の窓口的な役割を担っています。
なお、介護老人保健施設では生活相談員ではなく「支援相談員」と呼ばれますが、仕事内容は生活相談員と同じです。
- デイサービス
- ショートステイ
- 病院・クリニック
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 障害福祉施設
- 小規模多機能型居宅介護
など
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医療ソーシャルワーカー
医療ソーシャルワーカー(MSW:Medical Social Worker)とは、病院などの保険医療機関において、患者やその家族が抱えるさまざまな問題の解決のために調整や援助を行う人のこと。
具体的には、入退院の相談や援助、療養中のニーズの発掘と解決、地域への社会復帰のための支援などを行います。
- 病院
- 保健所
など
精神科ソーシャルワーカー
精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)とは、主に精神科のある病院や社会福祉施設などを利用する精神障害者やその家族に対し、日常生活を送るうえで抱えている問題に対して支援や指導をする人のこと。
具体的には、初診の患者に現在の症状や困っていること、本人の希望などを聞き取って医師に伝えたり、退院後の生活のために必要な機関と連携をとったりします。
- 福祉行政機関
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- ハローワーク
- 精神科専門の病院・クリニック
- 総合病院の精神科
- 生活支援施設
- 相談支援事業所
など
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ケースワーカー
ケースワーカーとは、高齢者、児童、心身障害者、生活困窮者などに対して、相談や指導、援助の業務を行う人のこと。
一般的に、福祉事務所などの公的機関で働く地方公務員のことを指します。そのため、ケースワーカーになるには、社会福祉主事の資格が求められる場合が多いといえます。
社会福祉主事とは、福祉事務所や各種相談所で公務員として特定の業務につくときに求められる任用資格。都道府県や市町村の福祉事務所に設置が義務付けられています。
行政分野で特定の職業や職位に任用されるための資格です。
国家資格のように「取得すれば職業として認められる」のではなく、取得後、該当の職務に任用されることで効力を発揮します。
- 福祉事務所、各種相談所などの行政機関
- 特別養護老人ホームやデイサービスなどの高齢者福祉施設
- 児童養護施設などの児童福祉施設
- 精神障害者社会復帰施設などの障害者福祉施設
など
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さまざまなソーシャルワーカーについて詳しく知りたい方はこちら
介護サービスのコーディネート役を担う仕事
介護業界には、利用者さんが自立した生活を送れるよう、必要な介護サービスやプランを作成・コーディネートしてサポートする仕事もあります。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
ケアマネジャーとは、介護保険制度に基づいてケアマネジメントを行い、要介護者が適切な介護サービスを受けられるようサポートする介護の専門職を指します。
正式名称は「介護支援専門員」ですが、ケアマネジャーもしくはケアマネといった呼び方が一般的です。
ケアマネジャーの主な仕事は、利用者や家族からの相談に応じたケアプランを作成すること。
こ被介護者が介護サービスを利用する際に必要な、「介護サービスの利用計画書」のことを指します。
本人が自立した生活をする上での希望や要望、できるようになりたいことや改善したいことなどの目標を設定し、それを達成するために必要な介護サービスの内容などを記載します。
支援の必要な高齢者やその家族から当人の心身の状況を聞き取りし、それに応じた最適な介護サービスが受けられるよう、総合的なマネジメントを行います。
介護が必要な人とサービス事業者を適切をつなぐ橋渡しの役割を担っている職種です。
- 社会福祉法人、医療法人が運営する居宅介護支援事業所
- 在宅介護支援センター
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
など
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サービス提供責任者
サービス提供責任者とは、訪問介護事業所などでケアマネジャーやホームヘルパーと連絡・連携をとり、適切な介護サービスが提供されるようにコーディネートする人のことです。
訪問介護の新規契約・説明を行い、サービス内容を決めて訪問介護計画書を作成したり、ヘルパーに対する指示出しや教育・シフト調整などを行うのが主な仕事です。
そのほかにもサービス担当者会議に出席したり、ケアマネジャーや他事業所と連絡を取ったりもします。
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サービス管理責任者
サービス管理責任者とは、障害福祉サービスの分野でサービス提供プロセス全般を管理する職種のこと。通称「サビ管」と呼ばれています。
管理職や指導者がサビ管を務めることが多く、障害福祉サービスの中心的存在として活躍しています。
その業務内容は、個別支援計画の作成や利用者それぞれと面接・アセスメントの実施、支援状況を把握するためのモニタリングの実施・記録など、多岐にわたります。
さらに、利用者だけでなく、その家族に個別支援計画の説明・同意を得たり、支援に関わる機関が参加する会議を主催し、支援内容を話し合ったりします。
また、人材育成も仕事のひとつ。
職員に対して、技術的な指導や助言を行い、サービスの質を高める役割も求められています。
- 医療機関
- 障害者支援施設
- 障害福祉サービス事業所
- グループホーム
- 就労移行支援事業所
など
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その他の介護系職種は?
その他にも、介護業界にはさまざまな職種があります。
色々な立場や役割のスタッフが集まって、利用者さんへ快適な生活を提供する現場が作られているのですね。
介護事務
介護事務とはその名の通り、介護施設・事業所などで働く事務職のこと。
仕事内容は、介護サービス費用の一部を利用者さんに請求し、残りを国民健康保険団体連合会に請求するなどの介護報酬請求(レセプト)業務が中心となります。
その他にも介護福祉施設・事業所での電話応対や運営のサポート、ケアマネジャーの業務サポート、そのほか職場の窓口として利用者さんへのサービス案内や入退所の手続きを行うなど……。
パソコンスキルやコミュニケーションスキルに加えて、介護報酬請求や介護保険に関する知識が求められる職種です。
- 介護施設
- 介護事業所
- 訪問看護などを行う医療機関
- レセプトの審査を行う保険請求審査機関や国保連合会
- 保険請求内容の審査をする損害保険会社
など
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管理者
管理者は事業所全体の責任者、施設のトップとなる役職です。勤めている事業所の形態によってはホーム長や施設長と呼ばれることもあります。
従業員や業務の管理を行って指揮を執る常勤のポジションで、同じ敷地内にある施設でなら介護業務に携わることもできます。
主な仕事は施設の全体的なマネジメント。
利用者さんに提供する介護サービスが適切であるかどうかスタッフに働きかけたり、スタッフが気持ちよく働けるような教育や配置を行ったり、入居者の確保や経費削減などの収支管理を行ったり……。
あらゆる面でのマネジメントを行います。
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介護教員
養成校の教員や介護職員初任者研修や実務者研修の講師となって、未来の介護職を育てる……という選択肢もあります。
それが介護教員・講師と呼ばれる職種です。
特に養成校の教員ともなると求人が一般に出回ることはほとんどありません。
現任の教員から直接声をかけられて教員になるか、もしくは大学をはじめとした各養成校がホームページに教員の採用状況を掲載しているのを見つけるかする必要があります。
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福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員とは、介護保険を使って福祉用具を利用する利用者さんやその家族の要望に応じて、状況にあった福祉用具の選定をし、使い方などの相談や用具の調整などを行う専門職です。
介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所には、2名以上の配置が義務づけられています。
福祉用具の選定相談に応じたり、利用計画を立てて使用状況をモニタリングしたり……といったことが主な業務として挙げられます。
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編集者より
介護業界の職種をご紹介しました。
もし気になる職種があれば、今後のキャリアアップと照らしあわせてチャレンジしてみてもよいかもしれませんね!