介護士として働き始めて間もない新人さんの中には、このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
「介護業界で働き始めたものの、なかなかお給料が上がらない……」
「ずっと現場で働くのは体力的につらいし、キャリアアップしたい。でも、どうすればいいかわからない……」
肉体的な負担の大きい業務が多い割に、他業界に比べて給与水準が低い介護業界。
覚悟の上で飛び込んだにしても、この業務内容と給与で定年まで働けるのか……と不安に思うのも無理はありません。
よりよい待遇が望める場所があるなら、誰しもそちらへ向かいたいと思って当然ですよね。
今回はそんな介護士の皆さんに向けて、介護業界における給与アップ・キャリアアップの方法をわかりやすく紹介します。
目次
一目でわかる!介護業界のキャリアアップ丸わかりマップ
介護系資格を持たないまま働き始めた場合、キャリアアップを目指すなら、まずは現場で役に立つ資格を取得することが望ましいです。
一般的には介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士の順で取得していく人が多いですね。
「介護福祉士」は介護業界における唯一の国家資格。
取得することで、その後どのようなキャリアを形成するかを考える際の選択肢が増えます。
キャリアアップを考える上では絶対に欠かせない公的資格です。
基礎をしっかり固めよう!資格を取る前にできること
介護職としてのキャリアアップを志すにあたって、介護現場における経験やそれによって身についたスキルは必要不可欠なもの。
まずは無資格者でも働くことができる介護施設や病院に勤め、介護の知識や経験をたくさん吸収するようにしましょう。
居宅介護支援事業所の場合は有資格者しか採用していないことがままありますが、介護施設や病院の場合は無資格でも人員を募集しているところもあります。求人を探す際には要チェックです。
まずはここから!「介護職員初任者研修」
介護を始めるにあたって、最初に取得しておきたいのが介護職員初任者研修。
2012年に廃止された「ホームヘルパー2級」にあたる資格です。
介護初心者が介護の基礎知識を習得するための研修で、受講にあたって必要な要件などはありません。
無資格でも介護未経験でも、誰でもスクールに申し込んで研修を修了すれば、3ヶ月程度で取得することができるというのが大きな特徴です。
取得すれば「訪問介護」で活躍できる
介護職員初任者研修を取得する最大のメリットは、訪問介護事業所で働けるようになる点が挙げられるでしょう。
また、有資格者であるということもあり、正社員で雇用してくれる施設や事業所が増えます。採用ハードルも下がりますし、多くはありませんが中には資格手当を支給してくれる施設もあります。
無資格である程度の経験を積んだら、まずはこの介護職員初任者研修にチャレンジするのがいいでしょう。
そのほか、介護職員初任者研修に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
ワンランク上を目指すなら「実務者研修」
介護職員初任者研修の上位資格として挙げられるのが実務者研修。
2012年に廃止された「介護職員基礎研修」「ホームヘルパー1級」に相当する資格です。
より実践的な介護を学べる研修ですが、介護職員初任者研修と同じで受講条件がなく、無資格者・未経験者でも修了して資格を取得することができます。
そのため、中には介護職員初任者研修を飛ばして、先に実務者研修を受講する人もいるようです。
ただし、おすすめは「介護職員初任者研修→実務者研修」の順番で取得すること。
実務者研修で学ぶ内容は介護職員初任者研修に比べて難易度も高くなっているため、未経験でいきなりチャレンジするのには少々ハードルが高くなります。介護の基礎である介護職員初任者研修からステップアップするのがよいでしょう。
また、介護職員初任者研修を修了していれば受講時に130時間分のカリキュラムが免除されるので、取得のためにかかる時間も無駄になりません。
取得の際には順番にランクアップしていくのがよいでしょう。
「サービス提供責任者」になるには必須の資格
実務者研修を修了するメリットのひとつは、資格の取得によって訪問介護事務所で配置が必須のサービス提供責任者として働けるようになることが挙げられます。すでに訪問介護事務所で勤務している方は、直接的なキャリアアップの方法といえます。
また、たん吸引と経管栄養の基礎知識を学べるため、より高い介護スキルを身につけることが可能となるでしょう。
実務者研修に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
介護業界唯一の国家資格!「介護福祉士」
介護福祉士は福祉の三大国家資格(社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士)のうちのひとつであり、先述の通り、介護業界で唯一の国家資格です。
取得していることで介護の専門的な知識や技術を有していることの証明になりますので、積極的にチャレンジしていきましょう。
ただし、国家資格なので資格要件は厳しめ。介護福祉士になるためのルートは大きく分けて3つありますが、どれも数ヶ月や1年程度で要件を満たすものではありません
介護福祉士になる方法 | |
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養成施設ルート | 厚生労働省が指定した介護福祉士養成施設を卒業した後、介護福祉士国家試験の合格を目指す |
福祉系高校ルート | 福祉系の高校または特例高校で福祉に関する所定の教科目・単位を修めて卒業した後、介護福祉士国家試験の合格を目指す |
実務経験ルート | 介護現場で実務経験を積み、介護福祉士国家試験の合格を目指す |
ケアマネや生活相談員を目指すなら不可欠の資格
介護福祉士の資格を取得することで得られるメリットには、さまざまなものがあります。
ケアマネジャーや生活相談員を目指す際の要件として介護福祉士の資格は不可欠ですし、一般的な介護施設でも、資格保持者であることによってリーダーポジションを担える可能性が高くなります。
職種を変えるにしても昇格を目指すにしても、持っているべき資格です。
また、資格取得者であることから基本給がアップしたり、資格手当をもらえたりするケースも多いようです。
2019年10月には勤続10年以上の介護福祉士に対して処遇改善が行われる予定ですので、これからますます高い給与を期待できるようになります。
資格取得でどう変わる?人には聞けない「お金」の話
厚生労働省が発表している「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」によれば、資格の有無に伴う平均給与額の差は以下のようになっています。
無資格者の月給の平均が261,600円であるのに対し、介護職員初任者研修の取得者の月給平均は285,610円。
資格があるのとないのとで、最低でも24,010円の差が生まれます。
実務者研修を取得している場合は介護職員初任者研修の取得者より少し高めの288,060円ですが、介護福祉士になると平均月給は313,920円まで跳ね上がります。
無資格者と介護福祉士を比べると、給与額の差は実に52,320円!
給与面でもステップアップを望んでいる介護職の方は、ぜひ資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
編集者より
今回の【初級編】では、公的資格を取得してキャリアアップする方法として、無資格者が介護福祉士を取得するまでを解説しました。
介護福祉士試験の合格率は直近の3年間で7割を超えています。それだけで試験の難易度を測ることはできませんが、国家資格の中では比較的取得しやすいのは間違いないでしょう。
介護業界で働く方にとって、強い味方となる介護福祉士資格。介護業界で長く働きたい方には、絶対におすすめしたい資格です。