「介護業務以外にマネジメントにも携わりたいけれど、方法がわからない……」
ある程度現場で活躍してきた介護士さんの中には、次のステージとしてマネジメントを行うリーダー職を目指す方もいるのではないでしょうか。
一般的に介護業界は他の業界よりも給与水準が低く、多くの方が少しでもお給料を上げたいと思っていると思います。また、肉体労働のため、定年まで働けるか不安に思っている方も多いでしょう。
リーダーとして働くことができれば、役職手当等でお給料がアップし、現場の介護業務が減るため身体への負担も減ります。
この記事では、上級編②と題して、現場で活躍する役職者にフォーカスしてキャリアアップする方法を解説します。
目次
ひとめでわかる!介護業界におけるキャリアアップ丸わかりマップ
下記の図では、無資格から介護業界でキャリアアップする方法を表しています。
無資格の方が介護業界で働きはじめた場合、まずは現場で役立つ公的資格を取得することが好ましいです。資格に関しては【初級編】で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【上級編】では、資格取得後のキャリアアップ方法を3つのケースにわけて紹介します。
ケース①は、相談員業務でキャリアアップする方法です。最終的にケアマネジャーを目指します。
ケース②は、介護経験を活かして、看護やリハビリなどの他職種に転身する方法です。
ケース③は、現場でキャリアアップする方法です。最終的に管理者を目指します。
【上級編②】であるこの記事では、ケース③の役職者に特化したキャリアアップ方法を解説します。
ケース①とケース②を紹介した【上級編①】はこちら↓
介護士3年目以降は必見!介護業界のキャリアアップ法【上級編①】介護業界で活躍する職種を解説
ケース③現場からキャリアップ
介護現場には、通常のスタッフのほかにユニットリーダーやフロアリーダー、主任、管理者などの役職をもった人たちがいます。
ケース③では、介護現場で経験を経て、それらの役職者へキャリアアップするケースをモデルに、それぞれの仕事を紹介します。
ユニットリーダーになる
施設のタイプは、大きく「従来型」と「ユニット型」に分けられます。
ユニット型の施設では、入居者を10名程度のユニット(少グループ)にわけて、固定のスタッフを配置し、自宅で過ごすような生活を送ってもらうことができます。
各ユニットにひとり配置されているのが、ユニットリーダーです。ユニットリーダーはそのユニットのスタッフをまとめて、指導する役割を担います。
自分の采配によって、ユニットの入居者さんやスタッフの満足度が決まります。スタッフや入居者さんに頼られ、判断していくことはやりがいにつながるでしょう。
ユニットリーダーの仕事内容
ユニットリーダーは通常の介護スタッフと同じように現場に入りながら、下記の仕事を行います。
- ユニットで職員会議を開く
- ユニットで行うイベントや行事の企画、内容確認
- リーダー会議に参加
- ユニットのスタッフのスケジュール管理・調整
- ユニットのスタッフの教育
- ユニットの新規入居者の選定
- ユニットの入居者のリスク管理やケアの方法を見直し
- ユニットの入居者家族との連絡、対応 など
ユニットリーダーになるには
有資格者であることとおおよそ1年以上の実務経験に加え、リーダーとして人の上に立つため、人柄が重視されるケースが多いようです。
実際にユニットリーダーになるには、ユニットリーダーを希望して面接を受ける方法と、介護スタッフとして働きながらユニットリーダーへの打診を待つ方法の2つがあります。
ユニットリーダーの給料
介護スタッフからユニットリーダーに昇格した場合は、基本給は変わらず役職手当がつく場合が多いようです。転職して他施設でユニットリーダーとなった場合は、役職手当がつく場合と基本給が上がる場合とその両方の3つのパターンがあります。
ユニットリーダーを募集している複数の求人から平均すると、月給200,000~300,000が相場のようです。
フロアリーダーになる
ユニット型施設の場合の多くは、1フロア(階)に2~3のユニットがあります。
そのフロア全体のリーダーをフロアリーダーと呼びます。
ユニットリーダーは4~5名程度の介護スタッフをまとめるのに対し、フロアリーダーは10~15名程度の介護スタッフのマネジメントを行います。
ユニットリーダーよりも責任は重いですが、より大きな規模のマネジメント経験を積むことができます。ホーム長や施設長の補佐も行うため、上司や部下、入居者さんなど全体をみていく必要があり、中間管理職のような立ち位置で経営をサポートします。
フロアリーダーの仕事内容
フロアリーダーは通常の介護スタッフと同じように現場に入りながら、下記の仕事を行います。
- フロアスタッフの教育
- フロアスタッフのシフト調整
- ホーム長や施設長の補佐
- フロアの入居者家族の連絡、対応
- フロアのクレーム対応 など
フロアリーダーになるには
ユニットリーダー以上に資格と経験、スキルが求められます。
有資格者であることとおおよそ3年以上の実務経験に加え、リーダーとして人の上に立つため、人柄が重視されるケースが多いようです。
実際にフロアリーダーになるには、ユニットリーダー同様に、フロアリーダーを募集している求人に応募し面接を受ける方法と、介護スタッフとして働きながらフロアリーダーへの打診を待つ方法の2つがあります。
フロアリーダーの給料
ユニットリーダー同様、役職手当がつく場合と基本給が上がる場合とその両方の3つのパターンがあります。
フロアリーダーを募集している複数の求人から平均すると、月給240,000~300,000が相場のようです。
主任になる
介護主任とは、施設や事業所で働く介護スタッフをまとめる役割を担います。利用者さんには優れたサービスを提供し、スタッフには働きやすい職場環境を整備して、施設や事業所の利益につなげます。
ユニットリーダーやフロアリーダーよりも責任範囲が広いため、高い知識とスキル、判断力が求められます。多くの介護スタッフのリーダー的存在として、活躍できるでしょう。
主任の仕事内容
主任は通常の介護スタッフと同じように現場に入りながら、下記の仕事を行います。
- シフト表の作成
- 出勤簿の管理
- 研修や介護の資料作成・運営
- 労働環境の整備
- 介護スタッフの教育
- 緊急時対応
- 入居者家族への精神的支援や対応
- 介護スタッフの採用面接
- 施設長や関係各所との連絡・連携 など
主任になるには
フロアリーダー以上に資格・経験・スキルが求められます。
有資格者であることと3~10年程度の実務経験に加え、リーダーとして人の上に立つため、人柄が重視されるケースが多いようです。
実際に主任になるには、ユニットリーダー・フロアリーダー同様に、主任を募集している求人に応募し面接を受ける方法と、介護スタッフとして働きながら主任への打診を待つ方法の2つがあります。
主任の給料
ユニットリーダー・フロアリーダー同様、役職手当がつく場合と基本給が上がる場合とその両方の3つのパターンがあります。
主任を募集している複数の求人から平均すると、月給260,000~340,000が相場のようです。
管理者になる
施設や事業所には、施設長・ホーム長・センター長・事業所長などと呼ばれる管理者がいます。ユニットリーダーやフロアリーダー、介護主任を経て、さらなる大規模マネジメントを希望する方は、管理者を目指しましょう。
管理者は、職員のマネジメントや施設・事業所の運営、管理を行います。管理者の判断や言動、人柄によって、その施設や事業所の価値を決めるといっても過言ではありません。大きな責任を伴いますが、大幅な給料アップが見込めるため、やりがいは大きなものになるでしょう。
管理者の仕事内容
- クレーム対応
- 緊急時対応
- 職員の人事・採用面接
- 職員の教育
- 職員の勤怠管理
- 利用者の個人情報管理
- 施設・事業所内の備品管理
- 利用者や家族への対応
- 関係各所との連絡・連携
- 地域住民やケアマネジャーへの営業活動 など
上記の業務に加え、通常の介護業務を兼務する場合もあります。
管理者になるには
資格や要件が必要になる施設と必要ではない施設があります。
下記では、資格や要件が必要な施設を紹介します。
特別養護老人ホーム
施設長は、下記の①~③のうちいずれかを満たすことが必要です。(※施設長ではない管理者は資格不要)
施設長の資格要件 |
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①社会福祉主事の要件を満たす者 |
②社会福祉事業に2年以上従事した者 |
③社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者 (社会福祉施設長資格認定講習会の研修期間は、通信授業6か月、面接授業5日間) |
介護老人保健施設
管理者の資格要件 |
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介護老人保健施設の開設者は、都道府県知事の承認を受けた医師に管理させる必要がある。 ※都道府県知事の承認があれば医師以外の者に管理させることができる |
小規模多機能型居宅介護事業者
管理者の資格要件 |
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特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護事業所等の従業者又は訪問介護員等として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有し、厚生労働大臣が定める研修を修了している者 |
認知症対応型共同生活介護事業者(グループホーム)
管理者の資格要件 |
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特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護事業所等の従業者又は訪問介護員等として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有し、厚生労働大臣が定める研修を修了している者 |
介護療養型医療施設
管理者の資格要件 |
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病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修修了医師に、管理させる必要がある。 |
このほかの資格や要件が定められていない施設や事業所の管理者になるには、介護の資格保持者で、ある程度の実務経験を有し、リーダーとして人の上に立つため、人柄が重視されるケースが多いようです。
管理者の給料
管理者(施設長)の給料は、平成26年度の介護労働安定センターの資料によると月給平均が365,568円でした。同資料によると、介護職員の月給平均が196,131円のため、介護職員よりも管理者が169,437円高くなっています。
参考:平成26年度「介護労働実態調査」の結果
介護現場の経験を活かして、現場で役職者として活躍したい方は、このキャリアアップ方法を目指してみてはいかがでしょうか。
管理者について、もっと知りたい方はこの記事もチェック!
役職者になるために必要な人柄
上記で紹介した役職者たちはマネジメントする職員の人数に差はあるものの、人の上に立つ立場ということでは変わりはありません。
人の上に立つリーダーとして、重要なのが人柄です。
リーダーはあらゆる場面で意見や判断が求められます。そこで誤った意見や判断を繰り返したり、偏ったポジションをとったりすれば、職員からの信頼は得られないでしょう。職場の人間関係も悪くなり離職につながってしまいます。
公平な立ち位置や正しい言動を心掛け、高いコミュニケーションスキルで職員と接することで誰からも慕われる人柄となるでしょう。
まとめ
【上級編①】と【上級編②】では、冒頭の図にある3つのケースをもとに、介護業界でキャリアアップ方法を紹介いたしました。もちろん、この3つのケース以外にも介護業界でキャリアアップする方法はさまざまあります。
この記事を参考に、自分に合ったキャリアアップ方法を考えてみてはいかがでしょうか。