高齢化社会に向け、福祉サービスの充実を図るために作られた介護保険制度。
ケアマネジャーはこの介護保険サービスの中核を担うために生まれた、比較的新しい職種です。
ケアマネになったばかりの新人さんなどは、まだまだ戸惑うことも多いのではないでしょうか?
そこで今回はケアマネがどのような業務をしているのか?どういった手順で仕事をしていくのか?などなど、「ケアマネの業務」に関することを説明いたします!
目次
ケアマネの主な業務って?
介護支援を必要としている利用者さんの情報を収集・分析し、ケアプランを作成するのが主な業務になります。
ケアプランを実施した後は見直し・改善といったケアマネジメントも担当。
また介護業務に関する相談や援助、介護保険料の給付管理、病院や事業所との連絡調整を行うのもケアマネの仕事です。
ケアマネの業務内容
ケアマネの業務は、以下の6ステップで構成されています。
1.インテーク
インテークとは、利用者さんからの依頼を受けて本人やご家族と最初に行う面談のことです。利用者さんが入院している場合は病院で行うこともあります。
利用者さんと信頼関係を築く上で欠かせない、大切なステップになります。
ケアマネの役割をしっかり伝え、相手の悩みに寄り添えるようにしましょう。
参考:『ケアマネ業務のはじめの一歩!「インテーク」って何だ!?』
2.アセスメント
アセスメントは課題分析を指す言葉。
主治医や行政から利用者さんに関する医療・要介護認定の情報を入手するほか、利用者さんの心身の状態や生活状況、利用者さんと家族の希望などの情報を収集して、「どのようなサービスが必要なのか」を明らかにします。
情報の漏れがないか、また「聞き出す」ことを意識しすぎていないかなど、注意点も多くあります。
参考:『現役ケアマネに聞いた!介護のアセスメント完全攻略法』
『アセスメントシートの様式と書き方【悩めるケアマネジャー必見】』
3.ケアプラン作成
「利用者さんの出来ることを伸ばしていく」という方針でケアプランを作成できるといいですね。
原案は利用者さんに作成の意図を説明した上で了承を得ましょう。
4.サービス調整・サービス担当者会議
実際の支援を担当する介護サービスの事業所を選定し、連絡・調整を行います。
事業所が決定したらサービス担当者会議を開催し、利用者さんの意向や課題を共有しながら取りまとめます。
ケアマネには各事業所の理念や特性を押さえておくほか、会議参加者の間を取りもつ必要があります。
参考:『サービス担当者会議、進め方のコツ【悩めるケアマネジャー必見】』
『もう悩まない!サービス担当者会議の要点、記入例とポイント【ケアマネ必見】』
5.利用者の最終同意を得る
サービス担当者会議を経てケアプランを完成させたら、利用者さんから最終的な同意を得ます。
利用者さんが理解出来る言葉を選んで(参考:『「ホーカンって誰?」利用者・家族には伝わらない介護の専門用語』)説明しましょう。疑問点にきちんと耳を傾け、そのつど対応できるといいですね。
利用者さんがケアプランに納得出来ているか、言葉だけでなく表情も意識して読み取りましょう。
6.モニタリング
サービスが開始されたら、ケアマネは定期的に利用者宅を訪問してサービスの実施状況や利用者さんのニーズの変化を確認します。
必要に応じて再アセスメントを行い、ケアプランの更新に着手しましょう。
モニタリング訪問前にチェックするポイントを整理しておくこと、ケアプランが変更されるケースを考えておくことが大切です。
一日の業務の流れ
一日の仕事の流れは、施設ケアマネか居宅ケアマネかで大きく異なります。
施設ケアマネ
『介護職からキャリアアップ!現職に聞く「施設ケアマネの仕事内容」』
居宅ケアマネ
つまり「担当する利用者さんによって一日の流れはさまざま」です。
担当する利用者さんの生活リズムをチャート化したり、過去の業務日誌などから電話相談の多い時間帯、相談の内容を予測して割り出したりなど、利用者対応の時間から決めていくとよいでしょう。
ほかの業務を空いた時間に当てて、一日のスケジュールを組んでいきます。
訪問などの外出予定がある場合は、朝のうちに天候や交通情報を調べておきましょうね!
一か月の業務の流れ
ケアマネは1ヶ月間のうちに、数多くの業務を行っています。
以下は大まかな目安です。
月初
1.介護保険更新者への代行申請、聞き取り調査
おおむね月初めの1週目に役所から「介護保険更新に伴うお知らせ」の書類が利用者さんに配達されるため、ケアマネは担当している利用者さんのうち対象となる方へ連絡を行い、役所から書類が届いていないか確認します。
その後、「更新書類の代行申請」や「調査委託後の聞取り調査」を行っていきます。
2.介護認定の調査委託業務
調査の委託業務は、市区町村が行う認定調査員研修を終了したケアマネが行えます。
3.給付管理業務
事業所から前月の末にサービス利用実績が伝達されてくるので、ケアマネはその実績を確認して、給付管理票を作成します。
当月10日までに給付管理業務を完了させるようにしましょう。
4. 介護予防プランの実績報告
地域包括支援センターから介護予防プランの作成を委託されている場合、担当する利用者さんのサービス実績と給付管理票をあわせて10日までに提出します。
中旬~下旬
1.利用者へモニタリング訪問
最低でも月に一度はモニタリング訪問をしましょう。20日までに行うことが望ましいです。
利用者さんの状態変化やサービスがあっているかを確認するほか、翌月の予定を確認したり、雑談を通じてコミュニケーションを取るようになれるといいですね。
2. 本人状態や環境変化への対応
「誤嚥や体調の急変」「転倒事故」といった本人状態の変化、ご家族の「発病や事故、入院、他界」「介護放棄」、問題行動の悪化など……本人やご家族の状態が大きく変化する場合があります。
その際には再アセスメントを実施し、問題となる課題を抽出。必要があればサービスを調整します。
調整に応じて再度サービス担当者会議を開くなどしましょう。
3. 介護保険の更新結果通知後に行う業務
介護認定の調査からおよそ30日で新たな介護保険証が利用者さんへ届きます。
ケアマネは認定状況を確認し、ケアプランを作成します。
月末
1. サービス提供票の作成
翌月のサービス提供票を作成し、各事業所に配布します。
モニタリングもあわせて行える、事業所と信頼関係が築けるといった利点もあるので、可能であれば訪問して手渡しした方がいいですね。
もちろん忙しくて時間が取れない、ということがあれば、FAXや郵送でも問題はありません。
発送期日は定められていませんが、事業所にも翌月の予定を組む必要があるため、月末ギリギリに発送するのは控えましょう。
2. 翌月に向けての確認事項
- 介護保険の更新者の有無を確認
- 通院介助、介護タクシーの利用日時を確認
- 祝日のサービス調整の有無を確認
- 入院者した利用者の情報を事業所と共有出来ているか確認
- ケアプランの更新、見直しをする利用者を確認
- 通所介護など、外出準備のためにヘルパーを派遣している利用者は、送迎バスの時間が変更されていないか確認
- など
そのほか
- 新規利用者や援助困難事例の対応
- 地域包括支援センター、福祉事務所への相談や連絡調整
- 入院している利用者の状態確認
- 施設の入所・退所に向けた支援
- 新規事業所への挨拶・見学
- サービス内容への苦情対応
- 緊急時の対応
- など
まとめ
これでケアマネの業務もばっちりですね。
利用者さんと信頼関係を築きながら、臨機応変に対応出来るケアマネを目指してくださいね!