介護の知識

アセスメントシートの様式と書き方【悩めるケアマネジャー必見】

アセスメントシートは、ケアプランを考える元となる大切な記録。利用者さんとご家族の家庭環境、生活を送る上での問題点を全て把握し、記録を残すことは、労力が要りますよね。
アセスメントシートには複数の様式があります。厚生労働省が指定する『課題分析標準項目』の23項目を満たせば、独自に作成・運用しても問題ありませんが、自治体によって指定がある場合も。今回は、代表的なアセスメントシートの様式の特徴と、書き方のポイントをご紹介致します。

アセスメントシートの例

東京都新宿区が作成したアセスメントシートを、例として一部ご紹介します。
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参考:新宿区

アセスメントシート 5つの様式

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MDS-HC方式

在宅・施設どちらにも使用可能で、在宅と施設を行き来する機会が多い高齢者のアセスメントツールとして定評があります。「機能面」「感覚面」「精神面」「健康問題」「ケアの管理」「失禁の管理」の6領域を包括的に把握できるように工夫されています。

包括的自立支援プログラム

全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、介護力強化病院連絡協議会の3団体が開発。要介護認定に用いる認定調査票と連動していることが最大の特徴です。在宅用にも応用可能ですが、元々施設での使用を想定しているため、使用感に戸惑う方も。

日本介護福祉士会方式

要介護者の生活状況を把握するために「衣・食・住・体の健康・心の健康・家族関係・社会関係」の7領域から課題分析を行います。ホームヘルプの活動実践をベースに開発された様式で、要介護者自身の意思・価値観・生活リズムを重視しています。

日本訪問看護振興財団版方式

成人から高齢者まで幅広い層を対象にしています。記入が複数回できる方式を取っているため、今までの経緯を確認できる長所がある一方で、調査項目が細部にわたるため、アセスメントに時間を要するという声も。

ケアマネジメント実践記録様式

課題分析の内容が最も広範囲かつ細部に及びます。「本人・家族等の意見・要望」と「アセスメント担当者が判断した問題」を記述するスペースがあり、包括的なニーズ把握に効果的である反面、アシスメントには長時間が必要。

『課題分析標準項目』の23項目

冒頭でも説明したように、厚生労働省が指定する『課題分析標準項目』の23項目を満たせば、アセスメントシートを独自に作成することも可能です。その23項目について、下記で紹介します。

1.基本情報(受付、利用者等基本情報)

利用者さんを受付した日時や対応者などの受付情報、利用者さんの氏名や性別、生年月日といった基本情報を記入します。

2.生活状況

利用者さんの現在や過去の生活状況を記入します。

3.利用者の被保険者情報

利用者さんの介護保険、医療保険、生活保護、身体障害者手帳の有無等を記入します。

4.現在利用しているサービスの状況

介護保険かどうかは問わず、利用者さんが現在受けているサービスの状況を記入します。

5.障害老人の日常生活自立度

障害の方の日常生活自立度を記入します。

6.認知症である老人の日常生活自立度

認知症の方の日常生活自立度を記入します。

7.主訴

利用者さんやご家族のニーズや希望を記入します。

8.認定情報

認定結果(要介護状態区分、審査会の意見、支給限度額等)を記入します。

9.課題分析(アセスメント)理由

アセスメントの理由(初回、定期、退院退所時等)を記入します。

10.健康状態

既往歴や主傷病、症状などの利用者さんの健康状態を記入します。

11.ADL

寝返り、起きあがり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄等の日常生活動作について記入します。

12.IADL

調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等の手段的日常生活動作について記入します。

13.認知

日常の意思決定を行うための認知能力の程度を記入します。

14.コミュニケーション能力

意思の伝達、視力、聴力等のコミュニケーションについて記入します。

15.社会との関わり

社会的活動への参加意欲、社会との関わりの変化、喪失感や孤独感等の社会との関わりの状況を記入します。

16.排尿・排便

失禁の状況、排尿排泄後の後始末、コントロール方法、頻度といった排泄に関する情報を記入します。

17.褥瘡(じょくそう)・皮膚の問題

褥瘡の程度、皮膚の清潔状況といった皮膚の状態を記入します。

18.口腔衛生

歯・口腔内の状態や口腔衛生について記入します。

19.食事摂取

栄養、食事回数、水分量等の食事摂取に関する情報を記入します。

20.問題行動

暴言暴行、徘徊、介護の抵抗、収集癖、火の不始末、不潔行為、異食行動といった問題行動を記入します。

21.介護力

介護者の有無、介護者の介護意思、介護負担、主な介護者に関する情報等の利用者さんをサポートする介護力について記入します。

22.居住環境

住宅改修の必要性、危険個所等の現在の居住環境を記入します。

23.特別な状況

虐待、ターミナルケア等の特別な状況に関して記入します。

書き方のポイント

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アセスメントシートの書き方に決まった型はありません。利用者・家族から聞き出した内容をもとに、下記の点を意識して文章に落とし込みましょう。

明瞭・簡潔な文章のコツ
□ 現状の問題⇒原因⇒リスク⇒対策のステップで考える
□ どこまで一人でできて、どこから一人でできないか
□ できるのにやっていないこと・拒否していることはないか
□ 最終的にどうなりたいか。そのために必要なことは何か
□ 一文の中に、客観的な事実と主観を混在させない
□ 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を明確に
□ 主語はより具体的に(例:娘⇒長女)
□ 略語を用いる場合は、広く周知されているものを選ぶ

まとめ

ベテランのケアマネジャーの中には、より良いアセスメントをするために、オリジナルのアセスメントシートを作成している方もいます。現実的には難しいと思いますが、利用者さんやご家族のニーズは個々で異なるため、利用者さん一人一人の状態に応じて様式を選択できれば、理想的かもしれませんね。

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