東京都北区志茂にあるデイサービス(通所介護)『モーニングデイあさがお』にお伺いし、レクリエーションを見学してきました。
あさがおは2016年に設立された、小規模型デイサービスです。
先日は、「あるある探検隊♪」でおなじみのお笑い芸人・レギュラーさんが訪問し、レクリエーション介護を行ったり、テレビで取材されたりするなど、メディアへの露出も増えているそうです。
2014年に設立された民間資格「レクリエーション介護士」の取得者が多数在籍し、管理者の戸田さんもレク介護士。そんなモーニングデイあさがおでは、どのようなレクリエーションが行われているのでしょうか。
レクリエーション介護士が活躍する現場に密着しました!
レクリエーション介護士ならではの創意工夫に溢れたレクリエーションは、介護職のみなさんも必見です!
モーニングデイあさがお。素敵なあさがおの壁面アートが印象的
目次
白熱のレク! 掛け算『トッター!』
早速、レクリエーション介護士の鈴木さんによるレクリエーションを紹介します。まずは「 掛け算『トッター!』」。
「 掛け算『トッター!』」とは、九九の答えが書いてある数字の紙を机に並べ、スタッフが出した九九問題の答えの数字を取るゲームです。
「トッター!」と掛け声を言いながら取ります。複数の人が同時で取った場合は、じゃんけんで決めます。一番多く『掛け算かるた』を取れた人が勝ちです。
頭の体操、手を動かす機能訓練、「トッター!」という発声トレーニングの効果を兼ね備えています。
問題を出すのは、レクリエーション介護士のスタッフ・鈴木さん。
「さんにが~?」「はちかけるろく!」など、大きな声でわかりやすく問題を出します。
「トッタ!」と笑顔で掛け算かるたを取る利用者さん。
とてもうれしそうです。
「トッター!!」スタッフも本気で参加します。
本気のスタッフに勝つ利用者さん。本当に取るのが早いです。
とても頭と神経を使うゲームですが、利用者のみなさんは終始集中力を保って参加していました。
スタッフの「〇〇さん、すごくはやい!」「スタッフも頑張って!」「一発逆転ですよ!」など、利用者さんの気持ちが途切れないような声掛けのおかげもあり、みなさん盛り上がっていました。
レクリエーションが終わったら、自分の取った『掛け算かるた』の枚数を数えて発表してもらいます。
スタッフは、一番多かった人に拍手し、参加者全員に「(参加してくれて)ありがとうございました」とお礼を言う姿が印象的でした。
筋力をつかう!「片手でフリフリ!棒入りペットボトル」
「掛け算『トッター!』」のあとは、「片手でフリフリ!棒入りペットボトル」が始まりました。
『片手でフリフリ!棒入りペットボトル』とは、割ったわりばしが大量に入った2リットルのペットボトルを、片手でフリフリしてペットボトルからわりばしを出すゲームです。片手しか使えず、ペットボトルからわりばしを引っぱって抜くことはできません。チーム対抗戦で、同じ人数のチームで行い、速さを競います。
ひとりがペットボトルからわりばしをすべて出したあと、次の人が出したわりばしをすべてペットボトルに入れます。その次の人は、またペットボトルからわりばしをすべて出します。この工程をチームの人数分行い、はやく終わったチームが勝ちです。
腕の筋力トレーニングの効果が期待できるレクリエーションです。
なかなかわりばしが出てこなくても、あきらめずにペットボトルをフリフリ。真下ではなく、斜めに振るのがコツだそうです。すごく腕の筋力を使いそうですね。
わりばしをすべて出し終わったら、出したわりばしを少しずつ束にして、ペットボトルに入れます。
スタッフの鈴木さんは、自分のチームよりスピードのはやい相手チームの利用者さんに必死に話しかけて、妨害しようと試みますが、相手にされませんでした(笑)
常にユーモアを忘れず、みなさんを楽しませます。
本来、手を使ってわりばしを引っ張り出すのはルール違反ですが、2チームのスピードの差が広がったり、わりばしが詰まってしまったりしたときは、特別にスタッフが引っ張りだしてあげていました。
また、チーム戦ということもあり「遅くてごめんねぇ」と申し訳なさそうに周囲に言う利用者さんには「いいんですよ。ご自身のペースで」と配慮のある声かけを行っていました。
このような臨機応変な配慮のある対応が、利用者さんのレクへのモチベーションにつながりそうですね。
歌詞もクイズに!「虫食い童謡」
「片手でフリフリ!棒入りペットボトル」が終わったら、「虫食い童謡」がスタート!
スタッフがホワイトボードに童謡の歌詞を書きます。その際、すべての歌詞を書くのではなく、ところどころ虫食いにして記入し、利用者さんに虫食い部分を質問して当ててもらいます。
歌詞が完成したら、みんなで歌います。
ただ童謡を歌うのではなく、虫食いにすることで脳トレの効果が期待できます。さらに、昼食前なので、口腔体操も兼ねています。
スタッフがメロディを歌ってヒントを与えてくれています。歌詞によっては、なかなか思い出せない部分もあり、意外と難しそうでした。
ただ歌うだけではなく、自分で歌詞を思い出すことによって、利用者さんがより興味を持って歌うことができているようでした。
あさがおが大好き!レクに参加した利用者さんの声
モーニングデイあさがおでレクリエーションに参加した利用者さんに感想をお伺いしました。
___あさがおのレクリエーションの感想を教えてください。
利用者Aさん:実は、私はもともとレクリエーションのような集団行動が苦手で、一人でいることのほうが好きな性格です。けれど、掛け算『トッター!』など、あさがおのレクは頭の体操になるので参加しようと思えますね。
実際に、レクリエーションに参加することで、記憶力の変化を感じます。
何かを覚えるのにかかる時間が短くなったり、芸能人の名前など覚えられなかったものが覚えられるようになってきました。
これらの変化は、掛け算『トッター!』だけではなく、あさがおで行うレクリエーション全体の影響じゃないかなと思います。
また、あさがおはレクリエーションだけではなく、スタッフが素晴らしい。いい人が多いし、対応が早いですね。
好きじゃないと思っていたレクリエーションでしたが、あさがおに来てからはレクリエーションが楽しみになりました。
スタッフが良くて、脳にも良い、あさがおが大好きです!
編集後記
今回、モーニングデイあさがおでおこなわれた3つのレクリエーションを紹介しましたが、印象的だったのはレク以外でもしっかりと利用者さんに配慮している介護士さんたちの姿。
ひとつのレクが終わった後には、こまめに利用者さんに水分補給を促したり、頭や手の動きだけならないように、合間には体操をはさんだりするなど、レク以外でも学ぶことが多くありました。
さらに編集部では、モーニングデイあさがおで働くレクリエーション介護士の鈴木さんと管理者の戸田さんにもお話を聞きました。レクリエーションの目的やレクで意識していること、「掛け算『トッター!』」誕生の秘話など盛りだくさんなので、お楽しみに!
※この取材記事の内容は、2018年7月に行った取材に基づき作成しています。
レクリエーション介護士の藤井さんインタビュー記事はこちら