インタビュー

保護犬と暮らせる!愛犬と働ける!ペット共生型の福祉施設「わおん」

みなさんは「わおん」という施設をご存知ですか?
障がい者や高齢者が保護犬とともに暮らす、ペット共生型の福祉施設です。

ペットと一緒に暮らせる施設は、珍しいと思う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「わおん」の障がい者グループホームで働く開発部長補佐の二神龍也(ふたがみ たつや)さんとサービス管理責任者の村中征子(むらなか もとこ)さんに施設の特徴や設立の経緯などを伺いました!

「『世話』と思っていない。犬も人間も同じ存在」保護犬と暮らす「わおん」の魅力、障がい者グループホームで働くやりがい障がい者や高齢者が保護犬とともに暮らす、ペット共生型の福祉施設「わおん」。 前回の記事では、その「わおん」について紹介しました。 ...

「わおん」って?


ペット共生型福祉施設「わおん」は、株式会社CARE PETS(ケアペッツ)が2018年5月より運営を開始しました。
「わおん」には、障がい者向けグループホームと高齢者向けデイサービスがあり、現在は全国80ヵ所以上で展開しています。

今回取材した「わおん」障がい者グループホームは、軽度の知的・精神・身体障害のある方4~5名と保護犬が一緒に暮らす、民家型のグループホームです。

わおんのホームページはこちら

「わおん」大和田2号館を見学!迎えてくれたのは…

「わおん」の障がい者グループホーム大和田2号館(男性棟)にお伺いしました。

「ピンポーン」
チャイムを鳴らし、スタッフの方が玄関を開けると、わんちゃんたちが勢いよくお出迎え!

▲入居者石坂さんの愛犬「ひかる」。入居者とともに「わおん」で暮らしている
▲たれ耳の保護犬「どんべえ」。とても人懐っこくキュートな表情を見せる

とってもかわいいわんちゃんたち。
そのうちの1匹である保護犬「どんべえ」の出会いについて、二神さんと村中さんが教えてくれました。

二神さん
二神さん
どんべえは、最初に保健所のホームページで見たときの印象と実際に会ったときの印象が全然違いました
村中さん
村中さん
ホームページで見たときは少し怖そうな顔をしていたんですよね。けれど、実際に保健所で会ったときは、たれ耳で申し訳なさそうな顔して『あら~!』と思うくらいかわいかったです!

どんべえは、愛嬌のある表情でとても人懐っこく、すぐにグループホームの人気者になったそうです。

「わおん」では、保健所から保護した犬だけでなく、入居者の愛犬も一緒に暮らしています

▲入居者の石坂さんと愛犬「ひかる」。飼い主の帰宅に、ひかるは大喜び

動物を飼っている障がい者・高齢者も多く、ペットとともに施設を利用したいと願う人もいます。
「わおん」ではそのニーズに応え、入所しても愛犬と一緒に暮らせるため、入居者の方も愛犬もとても安心できます。

さらに驚きなのが、スタッフの愛犬も、スタッフとともに出勤できること。
この日も「わおん」大和田2号館には、村中さんの愛犬「こたろう」がいました。

▲愛犬の「こたろう」を抱く管理者の村中さん。愛犬とともに出勤できることが「わおん」に入職する決め手となったと話す
村中さん
村中さん
私は、こたろうと一緒に過ごせる職場を探していたんです。そこで「わおん」を見つけて、実際に「こたろう」と一緒に出勤できることがわかって即決!
当時、名古屋に住んでいたのですが、すぐに「わおん」のある千葉県へ引っ越しました(笑)

スタッフが愛犬とともに出勤できるのも、「わおん」の魅力のひとつ。
年老いた愛犬を家でひとりにしておけない飼い主も多く、愛犬と一緒に過ごせる職場というニーズは少なくないのかもしれません。

入居者も保護犬もスタッフもうれしい「わおん」。
そんな「わおん」は、どうやってできたのか、二神さんにお伺いしました。

障がい者と保護犬に居場所を。「わおん」設立の経緯

___「わおん」設立の経緯を教えてください。

二神龍也さん(以下、二神):「わおん」は、株式会社CARE PETS(ケアペッツ)の代表を務める藤田英明の経験がきっかけではじまりました。
藤田は大の動物好きで、子どものころから猫を飼っていました。その猫は29歳まで生きましたが、28歳のころから徘徊や失禁などの認知症のような症状があらわれたそうです。
そこで、ペットを対象とした介護・看護のサービスが世の中に普及していないことに気づき、動物看護師によるペットのホームケア事業を立ち上げました。

そのお客様である飼い主たちが、みんな口をそろえて「ペットが大事だ」と言ったそうです。人々にとって、ペットの存在がいかに大きいかを痛感する経験となりました。

そんな大切な存在であるはずの動物ですが、日本ではさまざまな事情から多くの動物たちが殺処分されています。
その問題を解決するために、障がい者グループホームと組み合わせるアイディアが思い浮かんだそうです。

___グループホームですか?

二神:はい。なぜグループホームかというと、現在診療報酬の改定の影響で、入院している障がい者を地域へ戻そうという流れが加速していることが影響しています。
退院した障がい者は、下記の3択を迫られます。

  1. 実家に戻る
  2. 一人暮らしをする
  3. グループホームに入居する

①の実家は高齢となった親との同居が難しかったり、②の一人暮らしは服薬管理などの自己管理ができずに生活が乱れ、病状が悪化したりする可能性があります。
そこで藤田は、障がい者向けグループホームの需要が高いのではと考えました。
多くのニーズがあり、継続性もあるグループホームでなら、保護犬を飼うことができると思ったのです。

その後、デイサービスにも展開し、殺処分される予定だった犬が多くの障がい者・高齢者のアイドルになっています。

自宅でペットを飼っていると、自然と会話が増えることもあると思いますが、施設も同様です。
保護犬と暮らすことで、利用者同士や職員との会話もはずみ、「わおん」は明るい雰囲気の福祉施設となりました。

利用する障がい者・高齢者の方にとって、保護犬とともに暮らすことは、精神的な安定や癒しをもたらしたり、人間関係を良好なものにしてくれたりします。
保護犬にとっては、命が救われ、居場所ができます。

両者にとって大きなメリットをもたらす「わおん」。
今後、ぜひ注目してもらえるとうれしいです!

編集後記

株式会社CARE PETS(ケアペッツ)が運営するペット共生型福祉施設「わおん」について、紹介しました。
住宅街の中の一軒家、そこに「わおん」はありました。お邪魔すると、元気なわんちゃんたちがお出迎えしてくれます。
外からも中からも福祉施設とは思えないような雰囲気漂う「わおん」。そこも魅力のひとです。
入居者や保護犬だけでなく、スタッフも楽しんで活き活きと働いていました。
「わおん」が気になる方は、こちらから問い合わせることができます。
わおんホームページ 

次回の記事では、開発部長補佐の二神さんと管理者の村中さんに伺った、「わおん」と障がい者グループホームの魅力について紹介します。
ぜひ、お楽しみに!

※この取材記事の内容は、2019年1月に行った取材に基づき作成しています。

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