長時間、寝たきりなどの同じ姿勢でいると、同じ場所に圧力がかかり続けてしまいます。すると、その部位の血行が悪化して、赤くなったりただれたり傷になったりします。
これを褥瘡(じょくそう)といいます。
褥瘡は一度できると治りにくいため、予防をすることが大切です。
大切な人の肌を守るために、褥瘡を予防するための方法や原因などをご紹介します。
目次
褥瘡とは
褥瘡(じょくそう)とは、いわゆる床ずれです。
長時間、身体の同じ部分を圧迫することによって血行が悪化し、皮膚や周辺組織が壊死した状態をいいます。
褥瘡の初期症状は、「発赤」といい、皮膚が赤くなります。初期症状を見逃さずに対処した場合は、2~3週間で治癒するケースが増えています。
褥瘡が重症化してしまった場合は、皮膚や肉がただれて穴が開き、骨まで見えてしまう状態になります。そうなると完治に時間がかかりますので、早期の発見と対処が必要です。
褥瘡の原因
褥瘡の原因は主に4つあります。
長時間同じ姿勢でいると同じ部分に圧力がかかり続けてしまい、血液の流れが悪くなって褥瘡が発生してしまいます。
オムツ等によって皮膚のムレや汚れで不衛生な状態が続くと、褥瘡が発生しやすくなります。
シーツや衣類のシワやベッドのギャッジアップ時によるずり落ちで摩擦が起き、褥瘡が発生しやすくなります。
栄養状態が悪いと、身体がむくんで皮膚が傷つきやすくなってしまいます。また、低栄養状態が続くと体重が減少し、脂肪や筋肉量が減ります。そうすると、骨が突出してきて、より褥瘡が発生しやすくなります。さらに、低栄養状態では免疫力や回復力が低下します。褥瘡ができやすく、治りにくくなってしまうのです。
褥瘡を防ぐために
褥瘡を予防するためには、発生要因を除くことが大切です。以下の方法が、褥瘡の予防に適しています。
褥瘡は、衣服やシーツのシワや縫い目が当たることによっても発生します。衣服やシーツのシワを伸ばし、縫い目が当たらないように配慮して身体の圧力が偏らないように注意しましょう。
ベッドに横になっているときの姿勢を変えることで、圧力がかかる部分が変化し、同じ位置への長時間の圧迫を防ぐことができます。2時間程度を目安に 体位変換をしましょう。
低栄養状態になると、皮膚のハリが失われてしまいます。また、低栄養が進むと皮下脂肪や筋肉組織が減少します。これらの状態は褥瘡を発生しやすくさせるため、低栄養状態にならないように気をつけましょう。具体的には、大豆製品などに含まれるアルギニンやココアなどに含まれる亜鉛、果物などに含まれるビタミンC等を積極的に摂取してもらいましょう。
褥瘡予防用のマットレスやクッションがあります。それらを活用すると体位変換の頻度を減らせることもあり、介護負担の軽減につながります。必要に応じて使用してみてください。
失禁や汗などによる湿気は、褥瘡が発生しやすくなる原因のひとつ。
オムツは通気性の良いものを選び、尿や便は丁寧に拭きとり、身体を清潔に保ちましょう。汗をかきやすい時期は、通気性の良い衣服を着用してもらいます。汗をかいていたらこまめに更衣をしましょう。
また、肌を清潔に保つことで新陳代謝の促進にもなります。血行が良くなる入浴もオススメです。入浴が難しい場合は、清拭 で対応しましょう。
褥瘡ができやすい場所
体位別に、褥瘡のできやすい部位をご紹介します。
●仰向け
後頭部、肩甲部、仙骨部、かかと
●横向き
耳、肩、ひじ、腸骨、ひざ、くるぶし
●座っている状態
背部、尾骨、坐骨
褥瘡予防の紹介動画
褥瘡予防の方法を動画で紹介します。
褥瘡の見分け方
褥瘡の初期症状では、皮膚が赤くなる発赤が起こります。赤くなっている部位が褥瘡かどうかを確かめる方法として、指押し法があります。
指押し法は、赤くなっている部分を3秒ほど軽く圧迫し、変化を確認する方法です。指で押しても、赤みが消えずそのままの状態であれば、初期の褥瘡と言えます。押したときに白く変化し、再び赤くなるものは褥瘡ではありません。
介護負担の軽減に努めましょう
褥瘡の予防のためには、体位変換や栄養管理のケアなどをしていくことが大切です。
とはいえ、定期的な肌の観察や体位変換、オムツ交換に加え日常的な栄養管理と、介護者の負担はとても大きいです。無理をしすぎてしまうと、介護者はいずれ疲れてしまいます。ご家族はもちろんのこと、介護士であっても決して無理をしすぎないようにしましょう。「疲れたな」「どうすればいいんだろう」と思うことがあれば、ケアマネジャーやほかの介護士に相談するようにしてください。
高齢者や介護者にとって、少しでもストレスの軽減された介護生活を送ってほしいと思います。
参考サイト
安心介護「褥瘡(じょくそう)とは 原因と予防方法」(2017年8月22日,https://ansinkaigo.jp/knowledge/320)
あずみ苑「予防と早期発見が重要。床ずれ(褥瘡・じょくそう)の予防法と対処法」(2017年8月22日,http://www.azumien.jp/contents/method/00007.html)
一般社団法人日本褥瘡学会「褥瘡について」(2017年8月22日,http://www.jspu.org/jpn/patient/about.html#2)