介護の知識

体位変換、どうすればいい?正しいやり方のコツを大公開

寝がえりや、自分で体の向きを変えることなどが困難な方は、常に同じ姿勢でベッドに横になっているため、血流が悪くなり褥瘡ができてしまう恐れがあります。
褥瘡とは、一定の時間同じ場所に圧力が加わることで、血行が悪化し、周辺組織が壊死した状態をいいます。一度褥瘡ができてしまうと、完治に時間がかかるため、利用者さんは痛い思いをし続けなければいけません。褥瘡を予防することはとても重要なのです。
そのために行うことが、体位変換です。(体位交換とも言います。)
この記事では、介護者の身体を痛めずに、利用者さんを褥瘡から守る体位変換の方法やポイント、注意点をご紹介します。

また、現場では仰向けのことを仰臥位(ぎょうがい)と言うなど、専門的な体位の呼び方をします。スムーズな体位変換を行うには、体位の種類を覚えておくことが大切です。代表的な体位の種類を下記でご紹介しますので、ぜひご確認ください。

代表的な体位の種類

代表的な体位には仰臥位、側臥位、端座位の3種類があります。

仰臥位(ぎょうがい):仰向けに寝た状態

側臥位(そくがい):横向きに寝た状態

端座位(たんざい):ベッドの端に両足を垂らして腰をかける姿勢

体位変換の回数とは

体位変換は、長時間同じところを圧迫しないために、原則として1~2時間に1度行う必要がある日常的な援助技術です。負担のかかる体位変換を1日に何度も行うことで、介護者の身体を痛めることも…。
下記の手順通りに体位変換を行えば、介護者にかかる負担も減少します!

仰向け(仰臥位)から横向き(側臥位)にする方法

現場でよく使われる、仰向けから横向き(介助者の方向)にする方法をご紹介します。

横向きになることを説明し、介助しやすい位置にベッドの高さを調節する

はじめに、利用者さんに横向きになることと、ベッドが動くことを伝えます。次に、介護者の身体への負担が少ない位置に、ベッドの高さを調節します。

まくらをひいて、むく方向へ顔をむける

まくらを引き、利用者さんの顔をむく方向へむけます。

両うでを胸の上でしっかりと組む

利用者さんの両うでを胸の上でしっかりと組みます。

両ひざを立て、かかとをお尻に近づける

利用者さんの両ひざを高く立てて、かかとをお尻に近づけます。

腰とひざに右手を置き、左手は肩を持つ

利用者さんの腰に右手を置き、ひざに右ひじを当てます。左手は利用者さんの肩を持ちます。

介護者の右手でひざと腰を倒し、次に左手で肩を起こす

右ひじで利用者さんのひざを倒し、右手で腰を回転させてから、左手で利用者さんの肩を起こします。

体位変換の大事な3つのポイント

仰向け(仰臥位)から横向き(側臥位)にする方法はいかがでしたでしょうか。
上記の方法でも、他の体位変換の方法でも通じる、「体位変換のポイント」を3つご紹介します。

体位変換を行う前に「これから横向きになります」と説明する

利用者さんは、介助を行う前に声掛けをしてもらうことで、心の準備ができます。介護者が声掛けをせずに急に介助をはじめると、利用者さんを驚かせてしまったり不安にさせてしまったりして、不快な思いをさせてしまう恐れも。しっかりと声掛けをすると、利用者さんに心の準備をしてもらうことができ、安全な介助が行えます。

うでを組み、ひざを高くたてる

利用者さんのうでを組み、ひざを高くたてることで、ベッドと接する部分が小さくなり、摩擦が少なくなります。そうすることによって、手足を伸ばして寝ている状態よりも、少ない力で介助をすることができます。

ひざを倒してから肩を起こす

利用者さんのひざを先に倒すことで、利用者さんの腰が自然とむく方向へ回転するので、少ない力で体位変換をすることができます。介護者にとっても利用者さんにとっても負担の少ない体位変換となります。

気をつけよう!体位変換の注意点

仰向け(仰臥位)から横向き(側臥位)にする方法だけに関わらず、体位変換を行うときは、下記の注意点に気をつけて行いましょう。

    【体位変換の注意点】

  • ●介護者の身体に負担がかからないようにベッドの高さや力加減などを工夫する
  • ●うで組みやひざ立てなど、利用者さんに協力できる部分は協力してもらい、利用者さんの自立に向けた関わりをする

体位変換動画の紹介

「仰臥位から側臥位」の体位変換は動画でもご紹介しますので、以下を参考にしてください。また、「側臥位から仰臥位」「仰臥位から端座位」の体位変換もご紹介します。

仰臥位から側臥位の参考動画

側臥位から仰臥位の参考動画

仰臥位から端座位の参考動画

利用者さんと介護者にとって負担の少ない体位変換を!

介護に携わる人にとって、体位変換は必ず行う介護技術のひとつ。
行う頻度も多いので、負担の少ない方法を身につけておくと身体を痛めずに済みます。力任せに行ってしまうと、自分の身体だけでなく利用者さんの身体も傷つけてしまうことがありますので、気をつけましょう。
利用者さんにとっても介護者にとっても負担の少ない体位変換をマスターして、利用者さんの褥瘡をしっかりと予防しましょう。

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参考サイト
看護部「床ずれ防止・体位変換」(2017年6月20日,http://www.harima-hp.jp/kaigo_sep.pdf)
安心介護「体位の変え方」(2017年6月20日,https://ansinkaigo.jp/knowledge/318)

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