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介護業界で輝く国家資格「介護福祉士」とは?仕事内容や取得のメリットを徹底解説

さまざまな資格や研修が設けられている介護業界の中でも、ひときわ大きな注目を集めているのが「介護福祉士」の資格ではないでしょうか。
「3大福祉系国家資格」である社会福祉士・精神保健福祉士と並ぶ、介護系で唯一の国家資格であり、キャリアアップを考える上ではとても無視できない資格です。介護に長く携わるなら、ぜひ取得しておきたいものですよね。

この記事では介護福祉士の仕事内容や資格取得のメリット、取得するために必要なことなどを広くご紹介します。

介護業界でただひとつ!? 国家資格「介護福祉士」とは

介護福祉士は、1987年に制定された社会福祉士及び介護福祉士法で定められた、介護系の資格で唯一の国家資格です。
専門的な知識と技術を有し、介護を必要とする方のさまざまな生活動作をサポートする介護の専門資格として認知されています。

国家資格の中には「名称独占(=資格を持っている人だけがその名称を名乗れる」となる資格と「業務独占(資格を持っている人だけがその仕事を行える)」となる資格がありますが、介護福祉士は名称独占に該当します。
介護福祉士を名乗っていいのは資格保有者だけですが、業務自体は資格を持っていない人でも行うことが可能です。

なお、2015年には介護福祉士の上位資格として、一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が認定する「認定介護福祉士」という民間資格も登場しました。

【徹底解剖】「認定介護福祉士」とは?いつから?給料・受験資格は?介護福祉士との違いは?2015年より一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が介護福祉士の上位資格として認定を開始した民間資格。それが認定介護福祉士です。 ...

介護現場のリーダー格!? 介護福祉士の仕事内容とは

介護福祉士の仕事内容は、日常生活をひとりで営むことができない高齢者や障害者を対象に、状況に合わせた適切な身体介護・生活援助を行うこと。
食事や排泄、入浴といった生活動作の身体介助はもちろん、介護サービスの利用者さんやそのご家族からの相談に応じて精神面のサポートも行います。

上記の業務は資格を持っていない介護職員でも行うことが可能ですが、2011年に行われた「社会福祉士及び介護福祉士法」改正によって、介護福祉士の業務には喀痰吸引と経管栄養といった一部の医療行為も追加されました。

また、介護現場におけるチームリーダーとして、メンバーに対する指導やタスク管理を行うことも。介護福祉士は介護のスペシャリストとして、大きな期待を寄せられる立場にあります。

カイゴン
身体介助などのおおまかな業務は他の介護職員と同じでも、より上位の資格を持つ者として、質の高い介護サービスを提供することが求められているんだゴン。
明美
チームケアの中心人物となって、他のスタッフに適切な指示を出すリーダーポジションとしての働きも求められとーよ。

介護福祉士の仕事内容は、勤務している施設の形態や状況によっても変わりますが、活躍できる場としては特別養護老人ホームや有料老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービスなどの介護施設が多く挙げられます。
中には訪問介護事業所で働く人もいますし、養成校の講師として「介護職を育てる」立場になる人もいるようです。教員・講師になるためには所定の要件を満たさなければなりませんが、教職に興味を持つ方は目指してみるのも手です。

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資格取得でどう変わる? 介護福祉士の魅力

介護職員の中でもリーダーポジションを担うことが多い介護福祉士
この資格を取得することでどのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

介護業界での就職・転職に有利!

介護福祉士の資格があるということは、介護現場におけるプロフェッショナルである、という証明になります。
慢性的な人手不足が嘆かれる介護業界において、即戦力となる人材はどこでも重宝される存在です。介護福祉士の資格を持っていれば、希望する就職先の人事担当者に「この人は即戦力になる!」と期待してもらえることでしょう。

キャリアアップに役立つ!

介護業界でキャリアアップを目指すにあたって、介護福祉士の資格は必要不可欠と言っても過言ではありません。
例えば、介護福祉士はケアマネジャー(介護支援専門員)試験を受けるための必要資格です。介護福祉士としての実務経験を重ねた後、ケアマネジャーの資格を取って働き方を変える……というキャリアプランを見据えて介護福祉士を取得する人も多くいます。

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また、訪問介護サービスの事業所では必ず配置しなければならないサービス提供責任者になるための要件としても介護福祉士の資格を挙げています。

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あるいは、介護福祉士の上位資格である認定介護福祉士を目指し、さらに専門性の高い介護サービスを提供することもできます。
介護福祉士の資格を取得していることで、現場に残って介護スキルを高める道も、別の方面から利用者さんを支える道も選べるようになるのです。

カイゴン
就職・転職先に困ることもないし、キャリアアップもできる……介護福祉士は日本のどこに行っても、一生食べていける資格と言えるゴン。

資格手当で給料がアップする!

2017年4月に介護職員待遇改善加算が変更され、区分が追加されました。
新設された加算は介護職員1人当たりおよそ月額3万7千円を受け取れるもので、月額加算の条件は「経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」とされています。
つまり資格取得者に対して資格手当を設けたり、キャリアアップの道すじをきちんと示してあげたりすることで、施設は加算を受け取ることができるというわけです。

2019年からは「特定処遇改善加算」も追加予定

こうした改正の動きを受け、多くの施設や事業所では介護福祉士の有資格者に対する資格手当が準備されています。
また、2019年10月からは介護福祉士を中心に処遇改善を行う特定処遇改善加算が創設される予定です。これにより、介護福祉士の待遇はさらによいものとなっていくでしょう。

また、介護福祉士の方が無資格の介護職員に比べて5万円以上平均給与が高いという厚生労働省の調査もあります。
介護福祉士の資格と単純には比較できませんが、実際介護職の求人でも介護福祉士の資格の有無が給与の多寡に影響することも多くあります。

介護福祉士の給料に関する詳しい記事はこちら

介護福祉士の給料・賞与・資格手当~資格取得でどう変わる?~介護業界で唯一の国家資格である介護福祉士。 介護業界で働く人のなかには、目指している人も多いでしょう。 そして、目指す方にとって...

介護福祉士になるには? 資格取得までのルート

介護福祉士になるためには、国家試験に合格して介護福祉士の国家資格を取得しなければなりません。
資格を取得するまでのルートとしては「実務経験ルート」「福祉系高校卒業ルート」「養成施設ルート」といった3つの道のりが挙げられます。
ひとつずつ順番に見て行きましょう。

実務経験ルート

介護現場で実務経験を積み、介護福祉士国家試験の合格を目指す方法です。
実務経験ルートの場合、受験するのは筆記試験のみ。実技試験は免除となります。

介護福祉士国家試験の受験資格
  • 対象となる施設及び職種での従業期間が3年(1095日)以上であり、うちの従業日時が540日以上である
  • 実務者研修を修了している、もしくは介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了している

介護福祉士の受験資格に関する詳しい記事はこちら

どう変わった!?介護福祉士の受験資格について介護福祉士の受験資格は、2017年1月の試験より「実務経験3年以上」に加えて「実務者研修の修了」が義務化されました。介護福祉士を取得する...

なお、「実務経験が3年以上あること」という条件は、年度末に受験資格の3年を満たす見込みがある場合も含まれています。
筆記試験当日までに実務経験3年が経過していなくても、その年の3月に満たす見込みがあれば、受験資格を有していると認められるのです。就職時期によっては1年早く受験できることになるので、ぜひチェックしておきたいポイントですね。

福祉系高校卒業ルート

福祉系の高校または特例高校で福祉に関する所定の教科目・単位を修めて卒業した後、介護福祉士国家試験の合格を目指す方法です。

平成21年度以降に福祉系高校へ入学している場合は、卒業後に介護福祉士国家試験の筆記試験で合格すれば資格を取得できます。
しかし、平成20年度以前の入学者は、筆記試験に加えて実技試験にも合格しなければなりません。

また、平成21年度以降に福祉系特例高校に入学している場合は、卒業後に9か月以上の実務経験を積み、その上で介護福祉士国家試験の筆記試験・実技試験に合格する必要があります。

カイゴン
「介護技術講習」を受けている場合は実技試験が免除されるゴン。受験申込時、講習を受けるかどうか選ぶゴン!

養成施設ルート

厚生労働省が指定した介護福祉士養成施設を卒業した後、介護福祉士国家試験の合格を目指す方法です。
養成施設は高校卒業以上、もしくはそれに準ずる者であれば入学することができます。

介護福祉士養成施設に通う年数
  • 普通科の高校を卒業している場合→2年以上
  • 福祉系大学や社会福祉士養成施設、保育士育成施設などを卒業している場合→1年以上

養成施設を卒業後、筆記試験を受験します。養成施設ルートの場合も、実技試験は免除されます。

合格率は約7割! 介護福祉士の試験の難易度は?

いずれのルートにしても、介護福祉士の資格を得るためには国家試験をクリアしなければなりません。
介護福祉士国家試験の試験内容や難易度について見てみましょう。

どんな問題が出されるの? 試験内容

2019年1月に実施された第31回介護福祉士国家試験では、以下の試験科目が出題されました。
試験方式は選択式のマークシート。配点は1問につき1点となっています。

筆記試験の科目
人間と社会 人間の尊厳と自立(2問)
人間関係とコミュニケーション(2問)
社会の理解(12問)
介護 介護の基本(10問)
コミュニケーション技術(8問)
生活支援技術(26問)
介護過程(8問)
心と身体の仕組み 発達と老化の理解(8問)
認知症の理解(10問)
障害の理解(10問)
心と身体の仕組み(12問)
医療的ケア 医療的ケア(5問)
カイゴン
ちなみに、実技試験は「介護等に関する専門的技能」を見るゴン!
明美
出される課題が提示する条件を考えながら、適切な介護を5分間で行うばい。

合格するためには、筆記試験も実技試験も6割の正答率が必要になります。
特に筆記試験の場合は、11項目すべてにおいて得点しなければならないため注意が必要です。一科目でも全問不正解があった場合、全体で6割以上正解していても合格にならない……ということは念頭に置いておきましょう。

ここ3年はいずれも7割超えでやや易化か?

厚生労働省が発表している報道発表資料「第31回介護福祉士国家試験合格発表」によれば、2019年1月に行われた第31回介護福祉士国家試験の合格率は73.7%。過去5回の中でも、かなり高い割合で合格者が出ています。

過去5回の試験の合格率
第27回 61.0%
第28回 57.9%
第29回 72.1%
第30回 70.8%
第31回 73.7%

一見ここ3年間の合格率の上昇だけを見ると、「試験が簡単になったのかな?」と思ってしまいますが、これには要注意。
というのも受験資格の改定などで10万人を超えていた受験者数が、第29回から第31回まで10万人以下に減った=受験者が厳選されて合格率が上がったとも考えられるからです。
つまり、単純に受験内容自体が易化して合格率が上がったとは言えないのです。

一度離れても安心して復職できる? 「離職介護福祉士等届出制度」とは

介護福祉士の資格を取得したものの、介護業界の仕事を辞めることになってしまった……。
そんな時に備えて覚えておきたいのが、社会福祉法の改正に伴って2017年4月から始まった離職介護福祉士届出制度です。

これは介護の現場から一度離れてしまった介護福祉士が、いつでも復職して活躍できるよう、支援を行うための制度。
介護福祉士の資格保有者が介護業界から離職する際、都道府県福祉人材センターに届け出ることで、さまざまな支援を受けることができます。

福祉人材センターで受けられるサービス
  • 介護に関する最新情報の提供
  • 研修によるスキル維持、スキル向上のサポート
  • 再就職時の求人紹介

など

高齢化社会が深刻化している日本において、介護経験を持つ有資格者はとても貴重な存在です。
潜在介護福祉士が再び戦力としてすぐに現場に戻れるよう、国は福祉人材センターへの届出を努力義務として規定しています。
また、介護職員初任者研修、実務者研修、旧ホームヘルパー1・2級、旧介護職員基礎研修を修了している人達も、努力義務ではありませんが届出を登録することができます。

編集者より

国家資格を持っているのといないのとでは、その後のキャリアプランで選べる選択肢の数が大きく変わってきます。
近年では受験資格に「実務者研修の終了」が加わったため、特に実務経験ルートで介護福祉士を目指す人の数は減っていますが、合格率は年々向上しています。
こうした変化は、「実務者研修をクリアした、より意欲的な人たちが介護福祉士資格にチャレンジするようになった」と解釈することもできるでしょう。

あなたもぜひ、介護福祉士を目指してみてはいかがでしょうか。

参考文献・サイト

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