介護コラム

介護職のキャリアプラン、まずはここから考えよう!

介護職のキャリアプランは、介護業界の将来を含めて、どのように考えていけばいいか……。悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回の投稿から複数回に分けて、「介護職のキャリアプランの立て方」をご紹介していきます。

何が介護職員を不安にさせるのか考える

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まず、介護をやる上で、介護職員が不安になる点を考えていきたいと思います。

複雑な資格制度と、資格に相応しない賃金

介護の資格はいくつかありますが、そのどれもが介護職員の給与に影響しません。
例えば社会福祉士の場合でも20万前後、介護福祉士の場合も20万円に満たないことが多々あります。
国家資格であるにもかかわらず、取得によって大きく賃金が変わるということがないのです。

仕事をしても報われない報酬体系

介護職員の給与は介護報酬の中から支払われています。つまり介護という仕事は、給与の上限が決まっているのです。
国はこの介護報酬を抑えたい考えでいますので、なおのこと報われない報酬体系にあります。
また、地域が変わると介護保険点数や書類、制度も変化します。労働の流動性さえも妨げられてしまっているのです。

密接な人間関係

介護はチームワークで仕事をこなしていかなくてはいけないので、人間関係も密接です。常にほかの職員から、自分の仕事を見られていることになります。
この密接さが職務上での軋轢を生み、さまざまなトラブルを引き起こして、介護職員にとっての過度なストレスとなります。

介護職の魅力を考える

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それでは、次は介護職にどのような魅力があるかを考えます。

これからの仕事である

Wikipediaによれば、介護という言葉が主体的に使われるようになったのは1970年代からとあります。
『広辞苑』でも、「介護」という見出し語が掲載されたのは1991年の第四版から。1983年の第三版までには、「介護」は広辞苑の中に存在していませんでした。


つまり、「介護」の言葉自体が新しいのです。
また、2025年には、75歳以上の後期高齢者の割合が、全人口に対して18%を超えるという統計もあります。
65歳以上(前期高齢者)を含めた高齢者の割合は、30%にも上るのです。

つまり「介護」とは新しく出てきた避けられない社会的問題であり、私たちが抜本的な解決策を作り上げていかなくてはならないものなのです。
そのため介護職は、これからどのように動くかわからない仕事であると考えられます。

なくならない需要

人は誰でも年を取って行きます。またその時、家族間でも人間関係が悪くなっていることもあります。
施設を利用する高齢者は、これから多くなるでしょう。このため、今後、介護職の需要は増大すると思われます。

今こそ管理者が求められている

今後介護の受け手側のサービス要求はますます高くなり、需要も選択肢も増えていくでしょう。 介護業界には、多くの人材が必要になります。
その際に求められるのが管理者です。それは増えた介護職員を、水準以上のレベルに教育することが重要だからです。

私は4つの施設を経験したのですが、どこへ行っても当日欠勤する介護職員がいて、施設長も含めて周りの人は苦労していました。
そのような状況で、困難を克服していくリーダーが求められているのです。

自分が何を得たいのか考える

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これまでは社会的な視点で考えてきましたが、今度は「自分自身」という細かい視点で見ていきましょう。
キャリアプランを考える上で重要なのは、自分が何を得たいのかを知っておくことです。

お金

先ほども述べたように、介護職は低賃金であるという認識は確かにあります。
しかし、すべての人がそうではありません。
介護職で一定の給与を貰っている人にはある共通点があります。

1.人間関係が円滑である

介護はチームワークの仕事であると、現場を経験するとつくづく感じます。
そのためには、他の介護職員にとって一緒に働きやすい人になることが不可欠です(参照:7つの簡単な行動で、「一緒に働きやすい」人になれる!)。

人間関係が良好だと、昇給や職務が上がった時に、協力してくれる人が多くなります。
「この人のいう事だったら聞こう」「この人と働きたい」という思いを持ってもらえることが、成功するための潤滑油になるのです。

2.交友関係が広く、多種多様な繋がりを持っている

やはり、上に上がる人は多種多様な友人関係を持っていて、相談する相手も多数います。
そのため、その人間関係から新しい情報が入ってきて、チャンスをつかむことができます。
一方で、なかなか芽が出ない人は、相談相手も少ないため浅い情報しか入ってきませんし、チャンスに出会える回数も少なくなります。

3.積極的に勉強している

介護分野では、市町村の勉強会が多くあります。稼ぐ人はそれに積極的に参加しますし、書籍をよく読んでいたり、自分でセミナーを開催することも少なくありません。
介護の資格も方向性を見据えて取得していきますので、やがて、その知識が力となります。
そのような方は、自然とリーダーになっていきますし、昇給のチャンスも巡ってきます。

4.抽象度の高い思考を行う

普通、介護職員は介護職員の立場から物事を考えていきます。
しかし稼ぐ人は、エリア長だったらどう考えるか?社長だったらどう考えるか?と枠を広げて考えていきます。
介護職員の立場であっても、これからの介護はどうなっていくのか?利用者が喜ぶサービスとは何か?
このように枠を広げて考える習慣をつけておくと、多少、介護保険法が変化しても、俯瞰的に物事を見据えることができて、大局的な判断が下せます。

5.責任を積極的にとりにいく

昇給と責任はセットになっていますが、その責任を積極的に取りに行く人が稼げる人になっていきます。
職員間、ご利用者様同士、ご利用者様のご家族……起こるトラブルは挙げたらきりがありません。その上で、利益も出さないといけません。
そんな中で、積極的に責任を取りに行く。この姿勢を取り続けていくとやがて報われて、昇給に繋がっていきます。

感謝され、成長していくこと

介護には決められたルールが少ないのが現状で、理想と現実のズレが多くあります。
その中で右往左往している介護職員も多いのではないのでしょうか。
しかしそうした状況で、自分の介護方法が喜ばれたり、ご利用者様から教わることがあったり……そんな日常に、無上の喜びを感じることも出来るはずです。

自分の料理が上手くなった、声掛けを誉められた、ご利用者様に喜ばれた。
自分の成長と、ありがとうと言われることがモチベーションとなります。
数ある職業の中でも、介護職は「ありがとう」と言われる回数が圧倒的に多いのではないでしょうか。

なんとなく介護職、それでもいい

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今介護を仕事にされている方の中には、「自分の意志ではなく、年齢のこともあるし、この仕事しかなかった」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
給料の低さに辟易して、「やらなきゃ良かったかな?」と後悔した方もいらっしゃるかもしれません。
しかしそういう人ほど、目の前のことを一生懸命やっていくと、いい結果が出るのです。

自分が不遇だと思う時ほど、実は恵まれていたり、守られていたり、人が親切にしてくれています。
しかし本人は、目の前の嫌なことに惑わされて気が付きません。
そこを乗り越えて突き進んでいけば、介護職でも大きなチャンスを掴むことができるのです。

私も、「やり方次第で介護は魅力ある仕事になる」と考えてこの仕事を選びました。

まとめ

この投稿では介護職の長短所を見つめ、キャリアアップを目指すあなたが、「介護の仕事で何を得たいのか」を再認識していきました。
次回は、キャリアアップの方向性について考察してみたいと思います。

  • 参考文献
  • 『頑張らなくとも一日3200万円売れました。』秀和システム (著)坂本玖実子
  • 『満月の法則』サンマーク出版 (著)佐藤康行

ABOUT ME
坂本晋二
青山学院大学を卒業後、水商売の世界へ。140人のコンパニオンと3店舗のシフト管理や求人を行う人材開発部長として活躍。その後、独立してエステ店の経営を行った後に、介護業界に関わる。デイサービス管理者を経験し、介護従事者の物心両面の充実が、ご利用者様へのサービスの向上には最も必要と考え、自ら主催する勉強会において「日常生活に役立つワーク」を、そして、個人カウンセリングを、介護者や経営者に行っている。