正直に介護現場の現実を書いてみました。今回は、夜勤についてのお話です。
目次
夜勤の勤務時間は?
施設によって、夜勤の長さは違います。
17:30~10:30で休憩2時間に朝食時間30分の施設もあれば、16:30~8:30の長さに2時間休憩のところもあります。
16:30~9:30の施設で休憩時間なしという場所もありました。
地方に住む友人の事業所は、夜勤が大変過ぎるから半分に分けたそうです。夕方~夜0時までと、0時~朝で交代していると言っていました。
回数はどれくらい?
夜勤の回数は、大体月4~5回です。多めに入れて6回でしょうか。しかしこれも、施設の状況によりけりだと思います。
ある有料老人ホームでは職員が激減してしまい、仕方なく遅番・夜勤明け・休みをローテーションし、他の時間帯はパートや派遣で回していました。そこでは夜勤が月に7~8回ありました。
どんな仕事をするの?
1つの階に4ユニットあるユニットケアの、特別養護老人ホームでの夜勤の流れを書かせていただきます。
まず、入居者様のケース記録やユニットに置いてあるノートなどの確認・特変事項の申し送りをします。それから日勤や遅番のスタッフと協力して、夕食の準備をします。
夕食~就寝
食事時間から就寝までの時間は、時間との戦いです。
以下は、18時から19時半の1時間半の間にする仕事の目安になります。入居者様の介護度によっても多少変わります。
- 食事介助:2人~3人
- 服薬介助:10人
- 排泄介助:8人
- 歯磨きのお手伝い:7人
- パジャマの着替え:8人
- 誘導:8人
- 夕食の片付け
- トイレ誘導・おむつ介助:16人
- 着替え:16人
- 離床、誘導:18人
- ゴミ回収、ゴミ捨て
- バイタル測定:8人
- お茶やおしぼりなどの食事準備
時間内に終わらせないと、遅番の方が帰れません。
安否確認
入居者様の就寝や記録類が終わるとゆとりが出来ます。ここで夕食を食べる職員も多いと思います。
しかしそれから1時間おきに、入居者様の安否確認があります。居室にスタッフが入ってくるわけですから、入居者様には大変嫌な思いをさせてしまいます。
ご本人様とご家族様から、「安否確認は4時に1回にして欲しい」などと希望を出されることもあります。安否確認はとても難しいのです。
不眠やトイレのコールなどに対応しつつ、夜間の記録や委員会の議事録作成といった書類仕事を行います。
排泄介助
0時からは排泄介助があります。23時に行う施設もあると思いますが、それは施設ごとで異なるようです。
約20人の排泄介助が終わると、同じ階のもう1人の夜勤と協力して休憩を回します。この時間帯は何もなければ、あまり仕事のないタイミングです。
起床介助
休憩回しが終わると、夜勤最大の難関・起床介助が始まります。5時頃には入居者様が起きてこられるので、コールが極端に増えます。
施設やユニットによって多少違いはありますが、これを全て1人で行わなければいけません。8時の朝食開始時間は動かせないので、夜勤の中で一番忙しく働いています。
朝食後
起床が終わると、出勤してきた早番職員に夜間の様子を伝えて朝食が始まります。
食事・服薬介助をして、それから朝礼があります。
施設によってはこの後の歯磨きや排泄介助なども夜勤明けの仕事として行ったり、遅番が来るまで見守り対応をするというところもあります。
夜勤のここが大変だった……
しかし次に行ったところは、4ユニットが1つの階にあり、2ユニット20人を1人で見る体制を取っていました。
休憩回しの間、職員は普段あまり関わらないユニットの入居者様20人を足した40人の安否確認やコール対応をします。それは安全面にどうしても不安がありました。
職員はみんな、それまでに排泄などを出来るだけ終わらせて、1人で40人を見る時間は出来るだけ仕事がない状況を作っていたと思います。
日勤帯であれば早番の人が残って……と都合もつけやすいのですが、夜勤は抜けると誰もいなくなってしまいます。
別の人に来てもらおうにも、休みの人が翌日の早番であれば、また別の早番を新たに考えなくてはいけません。シフトが大混乱するのです。
また入居者様の急変は夜に多いので、夜勤スタッフは「何も起こらないでくれ!」と心の中で祈っていると思います。
急変の対応は、老健であれば看護師が行いますが、看護師のいない特養では看護師が急に出勤になったり、介護士が対応したりします。
私たちは、入居者様の気持ちを考え寄り添った介護をしたいと思っています。けれど現実問題、誰か1人に時間をかけ過ぎることは出来ません。
他の入居者様のトイレや食事が遅れたり、それが事故に繋がったり、他の職員が帰れなくなってしまうからです。折り合いをつける困難さを常に感じています。
これからどんな答えを社会が出していくのか、しっかり見つめていたいと思います。