介護×エンタメ

介護の小説、オススメ作品10選

介護の小説、厳選しました

介護を題材にした小説も、増えてきました。重厚な社会派ミステリーから、純文学まで。最新の話題小説から、長年に渡るベストセラーまで。オススメの小説を厳選してお届けします。

『スクラップ・アンド・ビルド』

「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。
日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
出典:文藝春秋

主人公は、祖父を介護する28歳の失業中の青年。夫婦や親子でなく「祖父と孫」という関係性が新鮮。二人の間で複雑で微妙な愛情が交錯します。
どの家庭で起きてもおかしくない現代日本の介護現場が、明るさとユーモラスを交えて巧みに描かれた作品です。
第153回(2015年)芥川賞受賞作。

『ロスト・ケア』

3年間で43人を殺害した「彼」に下された死刑判決。戦後最悪の凶悪犯の彼が殺したのは、介護が必要な老人たちだった。
圧倒的なリアリティと緻密な構成力で、介護業界から日本の社会問題をあぶり出す、重厚な社会派ミステリー。
第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

福祉に身を置くものとして色々考えさせられた1冊となりました。介護はされる側もする側も もやもや感があります。子育ては少しずつ手が離れていき先が見えるのですが 介護はどんどん辛くなりいつその時が来るのか ゴールが見えるようで見えない。だから辛い。介護では尊厳という言葉を学び大切にします。が これも中々深く。実際現場で働く人たちがどれほどの人が尊厳ある介護をしているか?というと かなり疑問があります。 
出典:読書メーター

『恍惚の人』

老いて永生きすることは幸福か? 日本の老人福祉政策はこれでよいのか? 誰もが迎える〈老い〉を直視し、様々な問題を投げかける。 
出典:新潮社

主人公は、弁護士事務所で事務員を勤める“職業婦人”。ある日、長年いびられた義父の異変に気づきます。
女であるがため、介護を一身に背負った彼女の苦悩・苦労の日々が続くのですが…。

40年以上前の高度成長期に、この国の高齢者問題を先駆者として知らしめた筆者の慧眼に、脱帽です。

『介護入門』

頭蓋骨を陥没骨折した祖母を、マリファナに耽る自称ミュージシャンの「俺」が自宅で懸命に介護します。
斬新な文体「ラップ調の饒舌体」で記された、第131回(2004年)芥川賞受賞作。

ラッパーが読者に語りかけるような文体に少々面食らうが、内容はあまりにも真っ直ぐ過ぎるほど自身の祖母に対する介護に真摯に向き合う金髪マリファナ常習者(無職)の青年の独白。実際の介護の所作とか実際に介護に従事せずに同情・憐憫の言葉しか口にしない祖母の実子に対する強い憎悪・嫌悪感などの描写がかなりリアルに書かれているのでモブ氏の実体験もある程度は包含されてるのだろうな、”半・ノンフィクション作品”といったところか。
出典:読書メーター

『赤い指』

殺人を犯した息子をかばうために、認知症の祖母に罪をなすりつける両親。
平凡で平穏な家庭の中に、介護・少年犯罪・家庭内暴力の問題が隠れていました。

東野作品の醍醐味でもある、結末で明かされる真相に、せつなさを感じるか救いを感じるか…。

「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない」
出典:講談社

『覆面介護師ゴージャス☆ニュードウ』

介護職に転職した、ワケあり元プロレスラーの奮闘記。
介護職と障害者双方の視点から描かれていて、文中に多く用いられた方言が、リアルな体温を感じさせます。

障害者の介護施設にやってきた新人介護士は元レスラー。設定がとっぴなわりに主人公は案外普通の迷える青年。利用者が毒も吐く悪態もつく拗ねて悪さをする等、美化されていないところは好きかも。終盤のお祭り騒ぎが小人プロレスぽいなあと思った。自立支援法への批判もあり、確かに言われてみれば、福祉制度は関心をあまり持たれないまま、いつの間にかトップダウンで決定されている。
出典:読書メーター

その他の介護小説

介護をテーマにした小説、まだまだあります。

『介護小説 最期の贈り物』著者:中島久美子
人格者として慕われた元大学教授が、自宅を忘れ下着姿で街を徘徊するように…。要介護者とその家族、双方にとって幸せな介護を探し求める感動小説。
『還れぬ家』著者:佐伯一麦
介護が必要となった認知症の父。老々介護の母を助けに、家出同然で飛び出した家へ帰る男性。「介護の描写が生々しい」との声もある、著者の実体験を元にした私小説。
『長女たち』著者:篠田節子
親の介護から逃げられず、次第に追い詰められていく3人の長女たち。認知症患者の犯罪という深刻な問題にも言及しつつ、最後には希望も描く。
『0.5ミリ』著者:安藤モモ子
元介護ヘルパーの女性サワ。街で見かけた老人の弱みにつけこみ、押しかけヘルパーを始めるが…。著者自身も介護体験があり、2014年11月には実写映画化。

無料で読める!WEBショートストーリー

認知症をテーマにした短編小説もご紹介します。著者は、介護福祉士として約12年間の認知症の介護経験を持つ阿部敦子さん。認知症を持つ本人の気持ちを想像して関わる、ということはどういうことか、そのヒントが凝縮されたショートストーリーです。所要時間は2分、無料で読めます。

認知症介護小説『その人の世界』vol.1 ~帰りたい編~

認知症介護小説『その人の世界』vol.2 ~入浴拒否編~

認知症介護小説『その人の世界』vol.3 ~幻視編~

認知症介護小説「その人の世界」vol.4 ~食事介助編~

認知症介護小説「その人の世界」vol.5 ~役割編~

介護の映画、介護の漫画も

「読書が苦手…」という方は、介護をテーマにした映画や漫画から挑戦しても良いかもしれません。

「介護」がテーマのおすすめ映画11選

介護業界を知るならこれを読むべし!おすすめの介護マンガ4選

まとめ

介護を題材にした小説や漫画、映画の普及で、介護を身近に感じ、介護の大切さや大変さをより多くの方に知ってもらいたいですね。
興味を持った作品があれば、年末年始などの長期休暇にお手に取ってみてはいかがでしょうか。あなたのおすすめの作品があれば、ぜひ教えて下さい!

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