介護の漫画
国内では高齢者社会による「介護」の問題が叫ばれ続けていますが、身近に介護に関わる人がいないと、実際のところ「介護とは何か」が分かりにくいもの。
そんなこともあってか、最近では、介護をテーマにしたマンガが増えてきています。
ペコロスの母に会いに行く
「忘れること、ボケることは、悪いことばかりじゃないんだ。母を見ていてそう思った」
40歳で故郷長崎にUターンした漫画家が、認知症と診断され施設に暮らす、現在89歳の母との「可笑しく」も「切ない」日々が4コマ漫画風に描かれています。
母が見せる、著者のはげた頭を見て名前を思い出すエピソードや、時折つぶやく亡き父との思い出話などを描いたコミックエッセイです。
49歳 未経験 すっとこ介護はじめました!
雑誌の休刊などで仕事が減り、経済的に困窮した49歳の漫画家、そして介護施設の認知症棟の介護ヘルパーよるコミックです。
介護業界に飛び込んで実際に3年間働いたエピソードや裏話などの体験が、軽妙な絵柄とノリでコミックに。実際に働いたからこそわかる介護の仕事の実態や裏話、そして働く喜びが描かれています。
ハーバー・ビジネス・オンラインによる著者・八万介助氏への取材記事には、以下のようなメッセージがありました。
「介護職っていうのは言われているほど誰でもできる仕事ではなく、決して甘くはありません。甘く考えている人は、ほとんど1年も経たずに辞めてしまいますから。ただ、前向きに一生懸命に取り組めば続けられる仕事だと思います。40代ともなると未経験でこの世界に入るにはいろいろ大変なことがありますが、仕事がないよりはマシですから(笑)。同年代で介護職を検討している人に言いたいのは、私でもできたんだから、“普通の人”であればできるはず、ということです。私もまだまだ勉強中で相変わらず今も転職先ではイビられてますが、みなさんも頑張って生き抜いてください!」
ヘルプマン!
各巻によってストーリーが楽しめるように構成されているため、自分が特に興味のある巻をチェックすることもできます。
介護保険制度編(第1巻)
在宅痴呆介護編(第2巻)
介護虐待編(第3巻)
高齢者性問題編(第4巻)
介護支援専門員編(第5〜7巻)
ケアギバー編(第8巻)
介護福祉学生編(第9〜10巻)
認知症編(第11〜12巻)
介護職員待遇編(第13〜15巻)
セカンドライフ編(第16〜17巻)
成年後見制度編(第18〜20巻)
震災編(第21巻)
介護起業編(第22〜24巻)
認知症予防編(第25巻)
監査編(第26〜27巻)
かあちゃんといっしょ
コワモテの息子とその母親の日常を綴っており、「家族の心理がよく現れていて勉強になった」との声が多数の漫画です。
イブニングによる作者へのインタビューでは、次のようにお話していたようです。
——まずは新作『かあちゃんといっしょ』を描こうと思ったきっかけを教えて下さい。
(中略)兄と交代で母の介護をしながら別のネタのネームをやったりしてたのですが、当時はこの状況を漫画にしようなんて考えていなくて、とにかく母親を治そうという希望に向かって介護していました。
介護を始めてから5年が過ぎたくらいかな? もうこういう状態なんだ、というのを自然に受け入れてから客観的に見えるようになったと思います。
兄は描いたのを見せたら喜んでくれました。
WEBでも連載されており、こちらで読むことができます。
さいごに
一見分かるようで分からないのが介護の世界。
介護漫画の普及で、介護の大切さや、大変さをもっと知ってもらえるようになればいいですね。