介護で使われる用語「ターミナルケア」の意味について解説しています。
目次
ターミナルケアとは
ターミナルケアとは、余命わずかになってしまった方へ行うケア(終末期医療、終末期看護)のことです。
同義に「看取り介護」という用語もあります。
延命治療を行わず、痛みや不快な症状を緩和するケアのほか、心のケアを中心とした看護や介護をします。
ご本人らしい人生の最期を迎えるために行われるものです。
終末期の患者には、老衰・ガン・アルツハイマー型認知症などの進行が進んでいる方がいます。
ガンなどでは病状から大体の余命が予測出来ますが、認知症ではいつからターミナルとするか、判断が難しくなります。
一般的には「寝たきりになり、介助をしても食べられなくなった時」からターミナルとされることが多いです。
終末期にはQOLの維持向上に努め、いかに穏やかにご本人らしく人生の最期を過ごせるかがターミナルケアのポイントです。
緩和ケアとのちがい
ターミナルケアは緩和ケアの一部です。
緩和ケアは、延命を止めるわけではなく治療と同時に利用でき、がんの初期の苦痛を取り除く治療でもあります。治療内容は、日常生活を心穏やかに過ごせるケアや、抗がん剤などによる副作用を緩和させるケアなどです。
ターミナルケアのポイント
痛みや不安に耳を澄ませる
ターミナルケアのポイントは、いかにご本人らしい最期を穏やかに過ごせるか?というところ。
家族と過ごす時間を多く作り、また家族がいない人でも介護施設の職員が寄り添います。
認知症を患っている方の場合、ターミナルとみなす「食べられないという身体機能の衰え」が現れた頃には、もう認知症がかなり進んでしまっています。
意思の疎通が難しくなり、痛みや不快感への反応も鈍くなっている場合も。
痛みや不安を聞けるうちに、ご本人の意思を確認しながら苦痛を取り除くケアをしましょう。
体位変換はこまめに
褥創(床ずれ)はたった数時間でも出来てしまいます。痛みがわかる人であれば、それは大変な苦痛です。
身体の向きを数時間ごとに変え、クッションやタオルなどを当てて楽な体勢を作ってあげてください。
家族が出来ることをサポート
意思疎通が出来なくても、耳は聞こえているという場合は多いものです。その時は家族が出来ることを、介護職としてサポートしましょう。
患者さんの名前をご家族に呼んでもらったり、好きな曲を流すのも癒し効果があります。
皮膚の感触も残っているケースもあるので、手や足をさすってあげることで安心させてあげてください。
終末期において家族が出来るのは、ご本人の痛みの訴えを医師や看護師に伝えることだけではありません。
傍にいて、安心させてあげることが重要です。
ターミナルケアを行う施設
ターミナルケアを行う施設には、終末期の緩和ケア病床、慢性期の療養病床があります。
ターミナルケアを専門に行う医療施設はホスピスとも呼ばれます。介護施設では、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどがあります。
施設においてターミナルケアを行なう場合は、家族と医師、スタッフがターミナルケアの方向性を話し合い、どのような対応になるかを家族に説明し、共通認識をしておくことが大切です。
また、人の死を受け入れるためのスタッフの養成も大切です。
国内では高齢化の問題により、介護職のターミナルケアのスキルが求められるようになっています。
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