介護を受ける利用者さんには、これまでできていたことが不自由になってしまったり、急に住環境が変わって戸惑ったりしている方も少なくありません。
そんな強い不安やストレスを抱えている利用者さんのメンタルをケアも、介護職が持っておくべき必要なスキル。他者の心に寄り添って支える力こそ、今の介護職員には求められているものであると言えます。
そこで今回は、「利用者の精神的なケアといってもピンとこない」「もっと介護職としてスキルアップしたい」という方も知っておきたい「精神対話士」という資格についてご紹介します!
目次
精神対話士とは?

精神対話士は、孤独感や寂しさといった「心の痛み」を感じているクライアントに寄り添い、温かな対話を通じて相手の心を軽くする精神的な支援を行う専門職です。
慶応義塾大学医学部出身の医師を中心に設立された財団法人メンタルケア協会によって、「話を聴く専門家」としての位置づけで生み出された民間資格となります。
特に介護職は、心身の衰えや社会からの孤立によって気持ちが落ち込みがちな高齢者に寄り添うべき立場。精神対話士としての知識やスキルは、本業務にもしっかり活かせることでしょう。
精神科医やカウンセラーとの違い

メンタル系の専門職というと、真っ先に思い浮かぶのは精神科医や臨床心理士、カウンセラーといった職種ですよね。
クライアントの相談に乗る、という点ではどれも同じように感じられますが、精神対話士が他の職種と異なるのは、対話を通じてクライアントを癒すという点にあります。
精神科医は投薬などの医療行為、臨床心理士は心理テストや精神療法といったアプローチでクライアントの問題を解決します。それはクライアントとなるのが「治療を必要としている人々」であるからです。
しかし、精神対話士が対象とするのは「孤独感や寂しさを感じている人々」。いわば、人に話を聴いてもらうことで前向きな気持ちを取り戻せる段階の人々です。
心の病になってしまう前に、クライアントの心を癒すのが精神対話士の大きな特徴であると言えます。
精神対話士の主な仕事内容

精神対話士の仕事は、心のケアを必要としているクライアントの希望の場所まで赴き、対話を通じて相手が希望を見出せるようにケアサポートを行うこと。
薬の処方や精神療法といった医療行為は行いません。
精神対話士が対象とするクライアントは、主に孤独感や寂しさ……つまり精神的なストレスを感じている人。
高齢化で孤独感を抱える利用者はもちろん、対人関係のトラブルやいじめによる不登校やリストラなどで悩む人々も対象です。そのため、活躍できる場所は実に多岐にわたります。
精神対話士は協会からの業務委託を受けて活動する
ちなみに、精神対話士としての仕事はメンタルケア協会との業務委託契約を締結することで受けられるようになります。
「フルタイムで本職として働きたい」「週に一度のペースで副業にしたい」など、自分の希望する働き方ができるのも精神対話士の大きな特徴です。
介護職の場合は副業として精神対話士の活動をする方が多いのではないでしょうか。
派遣先は下記の通り多岐にわたりますが、原則として週に一度クライアントに会いに行き、温かな対話による心のケアを80分間行います。
これを同じ曜日の同じ時間帯に4回連続、つまり4週間にわたって行うことになります。
- 介護施設の高齢者や介護家族
- 教育現場の子どもたちや先生
- 介護施設の高齢者や介護家族
- 病院の入院患者
- 一般企業のサラリーマン
- 公共職業安定所の失業者
精神対話士になるには

実際に精神対話士になるためには、
- メンタルケア・スペシャリスト養成講座を受講する
- 精神対話士選考試験(精神対話士派遣業務参加選考試験)に合格する
- 協会と業務委託契約を締結する
といったフローが必要になります。
- メンタルケア・スペシャリスト養成講座【基礎課程】
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年齢・学歴・職歴不問、誰でも受けることができる講座です。
全国各地の会場で行われる全15回の講座を受講後、レポートを提出。合格すると「メンタルケア・スペシャリスト認定証」が交付されます。この講座の課程を修了することで・心理学や心のケア全般に関する基礎的な知識を修得できます。
- メンタルケア・スペシャリスト養成講座【実践課程】
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メンタルケア・スペシャリスト養成講座の基礎課程を修了し、「メンタルケア・スペシャリスト」認定証を交付された人が受講することができます。
全国各地の会場で行われる全7回の講座を受講後、レポートを提出。合格すると「メンタルケア・スペシャリスト実践課程修了証」が交付されます。
この講座の課程を修了することで、基礎課程で学んだことを実践に活かすための応用技術を習得することができます。
- 精神対話士選考試験
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精神対話士になるための試験です。
基礎課程と実践課程で提出したレポートの審査と、面接試験によって合否が決定します。
講座への申し込み
精神対話士になるためには、まずメンタルケア・スペシャリスト養成講座に申し込む必要があります。
資料請求にて申込用紙をゲットして、受講の申し込みをしましょう。
講座申し込みの手順 | |
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1.資料請求 | 電話かメンタルケア協会のホームページのお問合せフォームから資料を請求しましょう。 講座の案内が書かれたパンフレットや申込用紙を郵送してもらえます。 |
2.受講申し込み | オンライン、FAX、郵送での申し込みができます。 オンライン申し込みの場合、各会場ごとに受付フォームが異なります。ホームページをよく確認しましょう。 |
3.受講料の入金 | 基礎課程は税込133,700円、実践課程は61,700円を銀行振り込みで納付します。 |
4.受講スタ―ト | 申込書の到着と入金確認をもって申し込みが完了。送付されてくる受講票を持って会場に向かいましょう! |
自分の業務に活かしたい人は「基礎・実践講座」のみの受講もオススメ

精神対話士としての活動は協会からの派遣として行われます。そのため、自分の業務にだけメンタルケアの知識を活かしたいという人は、「メンタルケア・スペシャリスト養成講座【基礎課程】/【実践講座】」のみを受講するという方法がオススメです。
メンタルケア・スペシャリスト養成講座【基礎課程】の受講・レポート提出を経て合格すれば、メンタルケア・スペシャリストの資格を取得でき、ステップアップとして【実践過程】を受ける形で活用することもできます。
介護現場だけでなく、医療現場や福祉の現場などメンタルケアがより重要になる職場で働いている人にとっては、メンタルケア・スペシャリストの資格取得だけでも十分なスキルアップになるでしょう。
精神保健福祉士について

メンタルケアの専門職として、介護・福祉の現場で知名度が高いのは、国家資格のひとつである精神保健福祉士ではないでしょうか。
精神保健福祉士はいわゆる「精神科ソーシャルワーカー(PSW)」と呼ばれる国家資格です。心の病気になってしまった人が健やかな生活を送れるよう、相談業務や生活支援を請け負います。
傾聴のプロとしての立ち位置を持つ精神対話士に比べると、アドバイスや訓練、社会参加の手助けや環境調整など、よりさまざまな角度からクライアントを支援していく仕事であると言えます。
ご自身の活躍の場を広げる、スキルアップにつながる資格です。
必要な方はぜひチェックしてみてくださいね。

編集者より
高齢者の話を聴くだけなら簡単、誰にでもできる……と侮るなかれ。
「いつでも、きちんと相手の悩みに耳を傾ける」ことは、実はそんなに簡単なことではありません。話を聴くことで相手の気持ちを楽にしてあげる、という確固たる目的がある以上、対話には傾聴の意欲以外にも話を聴く技術やメンタルケアの専門的知識も必要になります。
精神対話士を目指す課程で学んだことはきっとあなたの強みになるはず。
ぜひスキルアップを目指してみてくださいね!
参考文献・サイト
- 一般財団法人メンタルケア協会「精神対話士とは?」(2019/05/27)
- スタディサプリ(2019/05/28/)
- なりたい職業.com「精神対話士」(2019/05/28)
- 中央法規「精神保健福祉士とは?」(2019/05/28)
