恵まれた土地と自然を活用した住宅街の神奈川県横浜市青葉区。自然を残しつつも、住みやすさを感じる街です。その青葉区にあるサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)が、社会福祉法人若竹大寿会が運営する「わかたけの杜」。
設立から5年目を迎える「わかたけの杜」は、国土交通省による「高齢者・障がい者・子育て世帯居住安心化推進事業」のモデル事業を始め、さまざまな賞を受賞し高い評価を得ています。
また、介護サービスを提供しないサ高住という施設形態でありながら、スタッフはみな、介護現場の経験がある有資格者。
そのような多くの特色があるサ高住「わかたけの杜」について、施設管理者の金井由紀(かないゆき)さんにお話を伺いました。
サ高住で働いてみたい方や興味のある方は必見です!
目次
美しいデザイン、充実したサービスによって評価を得るわかたけの杜
はじめに、サービス付き高齢者向け住宅 わかたけの杜の概要について紹介します。
わかたけの杜は社会福祉法人若竹大寿会が2014年12月に開設したサービス付き高齢者向け住宅です。
基本的に60歳以上であれば、自立の方から要介護の方まで入居できます。
部屋は、ワンルームタイプの約20㎡の部屋(20戸)と約40㎡の部屋(4戸)。さらに、戸建タイプの約50㎡の部屋(42戸)の3つのタイプがあります。
▲戸建タイプの約50㎡の部屋。すぐに自分の家が分かるように、4色の外観の住戸がある
▲ワンルームタイプの住宅内。おしゃれな照明が印象的
入居者の方はラウンジや食堂などが設備されているセンターハウスを利用することができます。
▲黒を基調とした、落ち着いた雰囲気のラウンジ
▲明るく、開放的な雰囲気の食堂
わかたけの杜は、平成24年度国土交通省の「高齢者・障がい者・子育て世帯居住安心化推進事業」のサ高住のモデル事業として、関東エリアでただひとつ選定されました。
さらに、2015年には、グッドデザイン金賞(※注1)を受賞。
▲グッドデザイン金賞を受賞したわかたけの杜。「戸建ての感覚を維持したデザインが秀逸」と評価されている 出典:公益財団法人日本デザイン振興会
2017年には、医療福祉建築賞準賞(※注2)を受賞。
さらに、海外からの施設見学も多くあるというわかたけの杜は、国内外から注目される施設であり、その質の高さが伺えます。
▲医療福祉建築賞の賞状。デザインだけではなく利用者や職員の視点など総合的な評価を受け受賞している
※注1:グッドデザイン賞とは、公益財団法人日本デザイン振興会の主催で、毎年デザインが優れた物事に贈られる賞である。1957年に開始した、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨の仕組み
※注2:医療福祉建築賞とは、一般社団法人日本医療福祉建築協会(JIHa)が主催する医療福祉施設を対象とした顕彰事業である。1991年に創設。デザインだけでなく、利用者の快適性や、スタッフの使い勝手といった視点もあわせて、総合的な評価が行われる
24時間対応の訪問介護・看護やクリニックが併設。内外問わず、多くの方をサポートする体制を完備
ここからは、実際に施設を回りながらわかたけの杜のお話を伺いました。
___わかたけの杜には、どのような特色がありますか?
金井由紀さん(以下、金井):そうですね。ハード面(施設)とソフト面(人材)で特色があります。
ハード面の特色とは、戸建タイプの部屋があること。
一般的なサ高住では、ワンルームタイプの部屋が多いかと思います。
わかたけの杜では、ワンルームタイプよりも少し広めの戸建タイプの部屋があり、自由に間取りを変えることもできます。
▲戸建てタイプの約50㎡の部屋。中央のタンスは移動可能で、自由に間取りを変えられる
戸建タイプは、1階と2階に部屋があります。1階に入居している方はペットも飼えるため、現在ペットを飼っている方も安心して入居できます。
▲「ペット可が入居の決め手となった」と話す渡辺夫妻
ワンルームタイプの住宅には、訪問介護や訪問看護、クリニックが併設してあります。さらに、両隣には、同法人が運営する特別養護老人ホームと介護老人保健施設があり、この敷地内ですべての種類の介護サービスを提供しています。
年を重ねると、病気や介護のことなど、悩みが多くなりますよね。
さまざまな専門職が近くにいる環境であれば、自分の悩みをそれぞれの適した専門分野に尋ねられるため、より安心して暮らしてもらえるのではないかと思います。
さらに、訪問介護や訪問看護、クリニックは24時間対応しているため、介護度が高くなっても、併設サービスを利用しながら住み続けることができます。
▲併設されている在宅療養支援診療所
▲併設されている訪問介護事業所
▲ワンルームタイプの共用浴室。介助が必要な方は、訪問介護のヘルパーが入浴介助を行う
また、多くのサービスを提供するここを拠点として「地域の方の役に立ちたい」という法人の目標もあります。施設内のサービスにとどまらず、訪問介護・看護やクリニック、デイケアなどは地域の方にも利用してもらい、貢献できているのではないかと思います。
「うちだけが良ければいい」ではなく、施設の内外問わず、役立つサービスを提供していきたいですね。
全スタッフが現場経験のある有資格者!質の高い相談援助で利用者をサポート
___ソフト面(人材)の特色は、どのようなものしょうか?
金井:ソフト面の特色は、全スタッフが現場経験のある有資格者であることです。
サ高住には、「一般型」と「介護型」の2種類のタイプがあります。一般型で義務づけられているサービスは、「安否確認」と「生活相談」の2つのみ。つまり、介護サービスは提供していません。
そのため、多くの一般型のサ高住では、無資格・未経験のスタッフも働いていると思います。
わかたけの杜も「一般型」のサ高住ではありますが、全スタッフが3年以上の現場経験のある有資格者。
なぜ専門職をサ高住に配属したのかというと、そこには法人の思いがあります。
入居時の利用者さんのほとんどは、自立度の高い方です。今は元気だとしても、将来的には介護が必要になる方もいるでしょう。
私たちはできるだけそれを予防したいと考えました。
専門職がそばにいることで、すぐに利用者さんの変化に気づいたり、介護予防のアドバイスをしたりすることができます。部屋を貸すだけではなく、利用者さんの健康寿命を延ばして幸せな暮らしをつづけてほしいという思いから、介護の専門職が集まるサ高住となりました。
これは、わかたけの杜の強みだと思います。
___素敵ですね!ほかにも、有資格者がいることのメリットはありますか?
金井:実は、サ高住も介護スキルを必要とする機会は多いです。
たとえば、訪問介護のヘルパーやケアマネジャーが来るまでなどのつなぎの時間。ヘルパーが家事援助で来るまでの間、短い時間だとしても、その間に大変なことが起きることもあります。それを防ぐために、ヘルパーの役割をしたり、ケアマネの役割をしたり、待ち時間を埋められるような、広く浅く対応できるスタッフがそろっています。
また、一人ひとりの利用者さんの生活リズムや生活力に合わせて対応できるのも、きちんと介護を学び、個人を尊重することのできる経験のある有資格者ならではだと感じます。
本来であれば「援助」に力を入れる必要はなく、不動産業のような印象が強いサ高住。しかし、そこにとらわれずに、利用者さんのためになにができるかを考えて、これからも質の高いサービスを提供していきたいと思います。
編集後記
社会福祉法人若竹大寿会が運営するサービス付き高齢者向け住宅 わかたけの杜の管理者金井由紀さんにお話を伺いました。
間取りが自由に決められたり、庭でペットと遊べたり、必要なサービスを選べたりなど、わかたけの杜での暮らしは自由そのもの。さらに、専門職がついていることで、安心して楽しく年を重ねられる環境だと思います。そのような利用者満足度の高い環境で働くスタッフもまた、楽しく仕事をしているようでした。
わかたけの杜は見学者を歓迎しています。気になる方はぜひ見学しに行ってみてはいかがでしょうか。
わかたけの杜のホームページはこちら
サービス付き高齢者向け住宅は、新しい施設形態のため、介護職のみなさんにとっても馴染みが薄いかもしれません。
介護業界の特徴は、施設形態や法人によって仕事内容・雰囲気が大きく変わること。
自分にあった職場を見つけるためにも、まずは、サ高住への理解を深めてみるのもいいかもしれません。
今の職場と合わないときや身体介護を負担に感じることがあれば、サ高住で働くという選択肢を増やしてみてはいかがでしょうか。
次回の記事では、金井さんに管理者としての考えやサ高住の魅力などをじっくり伺いました。ぜひ、お楽しみに!
※この取材記事の内容は、2018年11月に行った取材に基づき作成しています。