僕は現在、川崎市の特別養護老人ホームの併設型ショートステイの生活相談員として勤務しております。
現場の介護職として7年間勤務してからの、初めての生活相談員業務。
ここ5か月間でようやく、仕事の役割や面白さを理解できるようになってきました。
その5か月間の経験の話の中から、皆さんのお役に立てる部分があれば、うれしいです。
目次
生活相談員とは?
生活相談員とは、利用者が介護サービスを受ける際に、どのようなサービスであるかの説明や契約をおこなう職種です。
そのあとは手続きなどの受け入れ業務、ご家族やケアマネージャーとの連絡・調整を行う窓口業務、利用者と家族のサービス利用中におけるニーズの把握・介護スタッフへの連絡業務も請け負います。
利用者さんと家族と現場の介護職をつなぐパイプ役、という感じの仕事になります。
1日の仕事の流れ
現場の介護スタッフのように早番・遅番・日勤といった勤務帯の時間変動はあまりなく、8:00~17:00、9:00~18:00という時間帯での勤務が多いです。
8:40~9:00 夜間帯の様子の申し送り
夜間帯で利用者さんに何か特別な変化があったか、利用者さんのケアの状況で何か必要なことがあるか確認しに行きます。
ショートステイは宿泊のサービスなので、夜間帯に大きな変化が起こる場合が多くあります。
ここでの情報交換は、とても大事です。
9:00~9:10 朝礼
その日の契約訪問や送迎時間などを確認します。
9:10~10:00 ケアマネジャーとの連絡調整・送迎
この時間帯が生活相談員として一番忙しい時間です。
居宅のケアマネジャーさんがもっとも多く事務所にいる時間帯なので、さまざまな電話連絡がきます。
- ・ショートステイ中の利用者さんの状態確認
- ・ショートステイの利用期間の変更依頼
- ・利用予定が控えている利用者さんの利用期間外でのご様子の連絡
などなど、その情報をまとめて現場に伝えていきます。
ドライバーだけで送迎が難しい場合は、生活相談員が送迎も行います。
10:00~11:30 内勤業務
- ・ショートステイの月利用が4日以上の利用者さんのケアプランの作成
- ・送迎表の作成
- ・予定表の更新
- ・新規利用者の情報シートの作成
- ・契約手続き後の事務処理
などの事務作業を行っていきます。
その他、月初には、先月分のショートステイの実績の作成、レセプト作成といった請求業務も行います。
11:30~12:00 ショートステイフロア申し送り
ショートステイの昼食中に、集まれるスタッフで全体申し送りをします。
昨日の夜間帯と午前中の様子の共有、ケアの対応についてもこの場で話し合いをします。
12:00~13:00 昼休憩
昼食を摂って午後も頑張ります。
13:00~15:00 訪問調査、契約
新規利用者さんのご自宅に伺い、ショートステイの利用契約を結びます。
それ以外にも所定のADL表を使い、利用者さんのできないことやケア上で注意すべきこと、禁食など……ショートステイ中に必要な情報を細かく伺います。
15:00~17:00 送迎
帰宅の方が多いと、この時間から送迎が始まります。
独居の方はホームヘルパーさんの訪問時間に遅れないようにするなど、時間に注意が必要です。
17:00~ 家族への送迎時間の連絡、現場からのショートステイ中の利用者さんの様子確認
送迎から帰ってくると、明後日以降の利用者さんの送迎時間をご家族に連絡します。
また今日一日で現場から上がってくる利用者さんの様子の確認と、明日以降のケアの方法を、再度話し合います。
18:00 帰社
以上が一日の流れではありますが、これ以外のショートステイの生活相談員としての業務としては、以下のものがあります。
- ・担当ケアマネジャーが行うサービス担当者会議への参加
- ・担当ケアマネジャーからの照会内容の回答
- ・担当ケアマネジャーが作成したケアプランへの意見
- ・稼働率のアップ
仕事のやりがい
目に見える形での実績を上げることもできるのも、生活相談員のやりがいの一つです。
ただ、経営陣や現場スタッフ、利用者さんとそのご家族、担当ケアマネジャーと三つの立場の調整役となる生活相談員は、時に、さまざまなクレームや意見の食い違いの間に挟まれて、苦悩することもあります。
しかし、最後まで自宅で生活を続けたい利用者さんを支える大事な仕事です。
これは、僕の個人的な意見ですが、ショートステイに来たくてサービスを利用されている利用者さん本人は、少ないように感じます。
家族に迷惑をかけるから、家族が疲れているのがわかるから、家にいたいけど仕方なくショートステイに来ている。
そんな利用者さんが多いように感じます。
だからこそ、ご自宅と同じレベルは難しいけれど、ショートステイで利用者さんにどのように楽しんでもらえるかを考えます。
利用者さんやそのご家族にご自宅での生活を聞ける立場だからこそ、ご家族や利用者さんの代弁者として希望を現場スタッフに伝え、一緒にその方のショートステイでの生活をデザインできる。
それが、生活相談員としてのやりがいかなと、僕は思います。
働くうえで気を付けたいこと
さまざまな意見を取りまとめ調整する生活相談員は、色々な価値観や思いを聞く立場にあります。
そのうえで気を付けたいことは、あくまでも「主役は利用者さんであること」です。
特にショートステイは、家族のレスパイト(介護負担軽減)が目的のサービスです。しかしレスパイトは、利用者さんが自宅での生活を継続するに必要なもの。
家族がこう言っているからとか、担当ケアマネジャーがこう言っているからとか、利用者さんにその意見をあてはめがちになってしまいます。
しかしその意見は、本当に利用者さんのためになるのかな?と、考えることが大事です。
まとめ
生活相談員は、基本的に受け身である仕事です。
利用者さん、そのご家族、担当ケアマネジャー、介護スタッフ。さまざまな人の意見や思いを調整するので、自分の主観を出すことは厳禁です。
しかし利用者さんにとって、どの意見を組み合わせたらよりよい自宅での生活ができるか。そのためのアイデアのヒントを、たくさん得ることができます。
そして、それぞれの立場の人たちの状況を踏まえ、提案することができます。
自分の取りまとめたアイデアによって、利用者さんが自宅での生活を続ける手助けになったとしたら、それは生活相談員としてのモチベーションに繋がると思います。
ほとんど目立たない立場の職場ではありますが、縁の下の力持ちとなる存在になれる。
生活相談員とは、そんな仕事ではないかなと僕は思います。