介護の職種

在宅介護のキーマン!現職に聞く「サービス提供責任者の仕事内容」

サ責こと「サービス提供責任者」は、在宅系介護における現場のまとめ役であり、施設系介護でいうところの「介護主任」や「ユニットリーダー」にあたる役職です。
そんなサ責の仕事内容は、同じ介護職でもきっと施設系とは違った一面があるはず。
そこで今回は、訪問介護事業所でサ責として活躍し、介護歴25年というキャリアを誇る金成佳代(かなりかよ)さんに、「サービス提供世紀任者(サ責)の仕事内容」について語っていただきました。
※以下「サ責」の略称を使用

サービス提供責任者の役割とポジション

―― サ責といえば肩書きの通り、「介護サービスを提供するうえでの責任者」ですが、その役割やポジションはどのようなものなのでしょうか?

サ責の役割は「ヘルパーの手配」からはじまる

金成さん:サ責の役割は、まず訪問介護サービスの利用者に対して、各ヘルパーを手配することからはじまります。
私の勤める事業所は50名の利用者を受け持っていますが、その全ての人たちに在宅ヘルパーをつけています。

サ責のポジションは「現場の司令塔」

金成さん:私のところでは所長が運営全般の責任者で、サ責の仕事内容はヘルパーのシフト調整といった、スタッフ管理が中心になります。
ほかには、初回の利用者を受け持つ際に必ずケアマネから依頼されるため、そこで利用者が必要とする介助を把握したり、またそれをヘルパーにしっかり伝えたりもします。
言ってみれば、現場仕事というよりは内勤が多く、複数のヘルパーを束ねる「司令塔」のような立場ですかね。

現場に入るケースもある!?

―― サ責は在宅系介護の鍵を握る重要なポジションといえますが、サ責自ら現場に入ることってあるのでしょうか?

新規の際は必ずサ責も現場に同行する

金成さん:新規の利用者を受け持つ場合は、初めにサ責が現場に入ると介護報酬の初回加算の対象になるため、必ずヘルパーと同行しています。
初回加算はサービス中にサ責が抜けられる仕組みなので、「新規の利用者と顔合わせをしたあと、同行のヘルパーに任せる」というケースが大半です。

ヘルパーの穴埋めをすることも

金成さん:あとは、やはりヘルパーも人間ですから、風邪をひくこともあれば、それとは別に子どもが熱をだしたりなど、現場に来られなくなってしまうケースはいろいろとあります。
そうしたときは自ら現場へ向かいますが、そう頻繁にはありません。
ただ私が抜けた際にもしトラブルでもあれば、現場がストップしてしまうので、電話で別のヘルパーと連絡を取って、私はなるべく事業所内にいるよう努めています。

まだまだある!サービス提供責任者の仕事内容

―― 初回加算以外でサ責が現場に入るケースは、まさに「サ責の日常」を物語っていましたが、仕事内容として、ほかには何があるのでしょうか?

介護技術のレクチャー

金成さん:よくヘルパーから介助方法について相談を受けるのですが、利用者宅で教えることはできないので、私が利用者役になって状況を把握するようにしています。
その一方で、介護技術を向上させる研修会を開いたりもしているのですが、在籍するヘルパーが20名もいるため、「全員を集めるのは難しい」という現状もあります。
それでもレクチャーを続けているうちに、「トラブルやクレームが減った」というヘルパーもいるので、手ごたえは感じています。

ヘルパーとのこまめな電話連絡

金成さん:私の場合、必ずヘルパーとは電話連絡を取り合うよう心がけています。
例えば、現場に入る前と終わったあとだったり、翌日に勤務を控えているパートさんに前もって出勤の確認をしたり。
出勤日数が少ないヘルパーだと、つい勤務日を忘れてしまう人もいますので。

訪問介護の綿密なモニタリング

金成さん:「月に一度、訪問介護記録を更新して、ケアマネに提出する」というのが、サ責の仕事の前提といえるでしょう。
またその際には、ケアマネが作成した長期的なケアプランと利用者の現状を見比べる「モニタリング」が重要になってきます。
つまり、利用者の日々の変化を観察(モニタリング)し、それに対しての情報収集(アセスメント)を行い、新たにプランニングする……ということを毎月繰り返しています。
モニタリングをおろそかにすれば、事故やトラブルにつながるので、些細なことでも記録に残すようヘルパーには伝えています。

現職からのメッセージ

―― それでは最後となりましたが、サ責を目指す人たちへ向けたメッセージがあれば、ぜひお聞かせください。

金成さん:現在の訪問介護は「減算」が注目されているようですが、そうした請求関係の業務というのは運営サイドの管轄になるので、私としては正直、実感がないです。
それより、これからサ責を目指すなら、やはりキャリアの長いヘルパーを納得させるだけの技術や知識を身につけておくべきでしょう。
今の在宅介護の現場ではスタッフも高齢化し、20年、30年というキャリアを持つヘルパーも少なくありません。そうしたなかで、「古株のヘルパーに潰されてしまうサ責もいる」現実もあります。もちろん、サ責の人柄にもよりますが。
とはいえ、現場が上手く回れば、事業所の売上ものびるので、「介護が好き」という人なら、どんどんサ責にチャレンジしてもらいたいです。
経験を積めば技術や知識はもちろん、自然と自信もついてきますから。若手にはぜひ頑張って欲しいですね。

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