介護をしていると、一度は「腰が痛い」と感じたことがあるのではないでしょうか?
介護職にとって「腰痛」は、職業病といっても過言ではありませんよね。
「介護の仕事をしていて、慢性的な腰痛を抱えてしまったら、どうしたらいいのか?」
「もっと腰への負担が軽い現場をみつけたい!」
そのような腰痛の悩みを抱えた方に読んでほしい、おすすめの介護の施設形態や職種、腰痛予防や改善の動画をご紹介します。
目次
腰痛を抱える介護士はどのくらいいる?介護福祉士の腰痛に関する研究結果
腰痛を抱えている現場の介護士は、どのくらいいるのでしょうか。
「介護福祉士の腰痛に関する研究-勤務年数4群からの検討-」によると、介護福祉士170名のうち130名(74.7%)の方が腰痛を感じているそうです。ほとんどの方が腰痛を感じていることがわかります。
参考:「介護福祉士の腰痛に関する研究-勤務年数4群からの検討-」
腰痛で悩む介護士におすすめしたい施設形態と職種とは?経験豊富なキャリアアドバイザーが答える!
腰痛を抱えている方が少しでも楽になる方法はないのでしょうか。
多くの介護職の方の転職相談を受け、成功へと導いてきたキャリアアドバイザーに、腰痛の方におすすめしたい介護の施設形態・職種を聞きました。
介護老人保健施設、グループホームがおすすめ
【キャリアアドバイザー・Aさんのアドバイス】
私は、介護老人保健施設をおすすめします。
老健は、専門的な知識をもつ理学療法士や看護師の方がいたり、腰痛に関する対策委員会があったりもするので、他の施設より腰に負担がかからない方法をアドバイスしてくれる機会があると思います。
他にも、平均的な介護度の低いグループホームもおすすめですね。
ポイントはその施設の利用者さんの自立度の高さと人数の多さ、設備が整っているかどうかです。自立度が高く、人数が少なく、設備が整っている施設がおすすめですね。新しい施設は、比較的設備が整っている傾向にあります。浴室が広く、機械浴の設備が充実しているといった環境は、腰への負担が少ないと思います。グループホームは、認知症の方と一緒にお料理をしたりと、身体を使う介護より声掛けの機会が多いので、他の施設より腰への負担が少ないと思います。
職種では、生活相談員、マネジメントや営業をする管理職、ケアマネジャーをおすすめします。一定の期間だけでも現場を離れることによって、腰痛が改善することもありますので、介護の現場が好きでずっと続けたいと思われている方であっても期間限定で現場を離れてみてもいいかもしれません。
リハビリデイサービスがおすすめ
【キャリアアドバイザー・Bさんのアドバイス】
まずは、ご自分で改善できる対策(コルセットの着用等)を試みてほしいと思います。
それでも現場職がつらいとなったら、ケアマネジャーや生活相談員を目指してほしいですね。ケアマネや相談員に今すぐなるのが現実的ではない方には、リハビリデイサービスをおすすめします。
リハビリデイサービスは入浴がないデイサービスで、午前午後に分かれてリハビリを中心としたサービスを提供ししています。通常のデイサービスですと、必ず入浴の対応をしなければいけませんが、リハビリデイでは入浴介助がないうえに、比較的利用者さんの自立度も高いので見守り対応が多いです。数ある介護施設形態のなかで、一番おすすめです。
腰痛のある社員に対して配慮がある施設・事業所がおすすめ
【キャリアアドバイザー・Cさんのアドバイス】
ご自身の体がなにより大事だと思いますので、腰痛で通院されている方であれば、主治医に相談してほしいと思います。
主治医から介護職を続けてもいいよと許可がでれば、腰痛でも転職可能な施設をお探しします。
デイサービスの経験がなくて、デイサービスが楽そうだから転職したいという方がいらっしゃいますが、デイサービスも入浴介助やトイレ介助などの身体介護があります。腰への負担はゼロではないので、おすすめはしません。この施設形態がおすすめというよりかは、腰痛のある社員に対して配慮がある施設をおすすめ・お探しします。
一番良い対策は、いまの職場に相談し、ある程度の期間、自分のできる業務のみにしてもらうこと。
転職して新しい職場になると、それなりにストレスもかかります。ストレスが多いと腰痛も改善しづらいかと思いますので、まずはいまの職場に相談するほうがいいと思います。相談してみて、聞き入れてもらえなかったときに転職を考えてみても遅くないと思います。
【番外編】介護福祉士 ハム太郎の経験談
【介護福祉士・ハム太郎さんのアドバイス】
ハム太郎は訪問介護とデイサービスの経験があります。
訪問やデイが身体的に楽だと思っている方、そんなことないです!施設に比べたら少ないかもしれませんが、要介護5の方も普通に利用しています。
実際、スタッフはパートさんも含めて半数くらいは腰痛を抱えていましたね。
訪問介護で働いていたある日、重い腰痛を発症した社員がいました。その人は、歩くのもつらいほどの痛みを抱えていたので、職場に相談して、しばらくは電話応対や書類などの事務作業のみをしてもらい、配慮してもらっていました。
さらに、ぎっくり腰になった社員もいました。ぎっくり腰が治るまでの間(一週間ほど)、事務作業のみを行ってもらい、できるだけ療養に専念できるように所長をはじめスタッフみんなでシフトを調整して協力しました。
もちろん一番いいのは、しっかりお休みをとることだと思います。
けれど、収入面の問題や仕事の関係上難しいこともあるでしょう。
電話や書類作成などの事務作業が多い訪問介護だからできることかもしれませんが、職場に相談することで改善策がみつかるかもしれません。
大切なのは、所長などの役職者だけでなく、スタッフみんなで協力し合う気持ちを持つことだと思います。
たしかに、このような対応は「特別扱い」になって周りに負担がかかります。
納得いかないこともあるかもしれません。
「私だって、しんどい」、そう思うのもわかります。
それでも、少しだけでもいいので、その人が働きやすくなるように協力してみてください。
思いやりの気持ちが職場全体に広がることで、腰痛もちの人への対応だけでなくいろいろなケースで活かされます。
きっと、その人だけでなく自分も働きやすい職場になっているはずです。
腰痛予防(やわらげる)ストレッチ・動作の動画
つらい腰痛。
環境を変えたり周囲にサポートを求めるだけでなく、自分でできることはやりたいですよね。
腰痛で悩んでいる方も、腰痛を予防したい方も必見!
腰痛を予防・改善できるストレッチ(動作)の動画をご紹介します。
腰痛予防のためのストレッチ(横になった状態で行う)
腰痛予防のためのストレッチです。横になった状態で行う体操なので、夜寝る前や朝起きたときにするのがおすすめです。
腰痛をやわらげるストレッチ(立ったor座った状態で行う)
腰痛をやわらげるストレッチです。立った(座った)状態で行えるので、いつでもできます。1分程度の動画なので、ゆっくり動画を見る時間がない方にもおすすめです。
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移乗介助、腰にきますよね…。さまざまなシーンの移動介助の動画を集めました。ぜひ参考にしてください。
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上記の動画と似ていますが、こちらは腰痛予防ではなく改善に特化したストレッチ動画まとめです。腰痛でお悩みの方は試してみてはいかがでしょうか。