レクリエーション、皆さんは得意ですか?
これほどまでではなくても、レクリエーションが介護職をやっていく上での重荷になっていないでしょうか。
入浴のやり方はどこの施設でも教えてくれますが、料理、レクリエーションは自分で学ばなくてはなりません。
レクのマニュアルがあるところは少ないでしょう。
そこで今回は「なぜレクリエーションをするのか?」といったレクリエーションの目的や、レクを実践できる考え方について投稿したいと思います。
目次
どうしてレクリエーションをするの?
レクリエーションをする目的は、一般には、ご利用者様の日常生活の質の維持向上とされています。
しかしどうしてレクをするのか、自分なりの答えを見つけて動機に結びつけておかないと、レクをやる時の原動力とはなりません。
レクをやるときに迷いが出てきてしまいますし、単にご利用者様のためであって自分たちのためではない、という結論にも行き着いてしまいます。
レクリエーションをやる動機と意義を見つけ出すことは、ご利用者様のためでもあり、自分のためでもあり重要な事であるのです。
ご利用者様に楽しい時間を提供して喜んでもらうため
私たちは自分の足で歩いて好きなところに行けて、好きなものを食べて、好きな人と時間を過ごすことができます。
しかし、ご利用者様はそれが出来ません。サービス業では商品を通じてお客様に楽しい時間を提供するのが仕事の本質です。
施設にいる時間が長く、自由に行動することが難しいご利用者様に、食事・入浴・レクなどを通じて楽しい時間を提供する。
そのために私達が存在しているのではないでしょうか。
自分達介護職のため
また、レクをやるのは私達のためでもあります。
国が施設に介護ロボットの導入を決定した今、介助だけしか出来ない職員は徐々に少なくなっていくでしょう。
今は職員の数が少ないので仕方がない、と考えられます。
しかし介護職員の給料が上がれば人材の流入が始まりますので、このような人は淘汰されます。
レクをやる目的は、自分のためでもある。
これが腑に落ちると、レクで何を言われようとも恥ずかしいという意識もなくなり、ただご利用者様と楽しんでいる自分がいることに気づくでしょう。
レクリエーションを攻略する考え方
時間
たとえば60分のレクリエーションを行う場合、皆さんはどのように時間の割り当てを考えるでしょうか?
私の場合60分の時間が割り当てられているとしたら、30分×2もしくは、20分×3の時間として考えていきます。
60分を1つのレクリエーションで埋めようとするのではなく、種類の違うレクリエーションで埋めていくのです。
こうすればご利用者様も飽きないですし、何よりも私たち自身がレク自体を飽きることなく、また時間という重圧を軽くすることが出来るのです。
種類
レクリエーションには種類があります。体操レク、道具を使ったレク、工作レク、塗り絵、クイズ、歌、トランプなど……。
初めはその中で自分が出来そうなもの、他の人があまりやらないようなものを選んでレクを行います。
他の職員が実施していて「いいな」と感じたものはどんどん自分でやってみましょう。
出来ない所やコツなどを他の職員に聞くことで、職員間のコミュニケーションもとれ、人間関係が良くなっていきます。
使用するもの
出勤してから考えるのではなく、事前に「任されたらこれをやる」と決めて出勤しましょう。
私はレクの動画を家で確認して、明日レク担当になったらこれをやる、と決めて出勤していました。
そしてスマホから音楽を流したり、可能な時はPCを借り、TVに繋いだりして、機材をフル活用しました。
介護の分野ではIT関連が苦手な人も多いと思います。この機会に慣れておきましょう。
道具としては、輪っか、ベットボトルで作ったピン、風船、新聞紙で作ったボールなどがあると、組み合わせて数種類のレクが作れます。
レクリエーションの一例
どれも3~7分で出来る体操をレクでやっていました。
創作したヨガ体操と水戸黄門体操以外は動画がありますので、検索して活用してみてください。
自分で探す場合でも動画で探すとより理解が深まります。
また体操が出来るようになれば、他に色々なレクと組み合わせも可能だと思いましたので、体操と歌でご利用者様を楽しませるように努力しました。
そのほか、レクリエーションのアイデアに関しては以下を参考にしてみてください。
レクリエーションをするときに気を付けること
最初は何を言われても折れない心で
レク自体を拒否するご利用者様がいらっしゃる時は、無理にレクを勧めてはいけません。
無理強いすると施設自体を嫌いになる可能性があるからです。
そんなご利用者様には、個別レクや好きなレクの時に輪の中に入ってもらうようにしましょう。
フォローと介護度の見極め
私の施設で、立ってボールを蹴るレクリエーションをしていた時に、ご利用者様が転倒してしまったことがありました。
ボールを蹴る時に、後ろできちんと支えていなかったのが原因です。
どこの施設でもそうですが、同じような介護度のご利用者様がいるわけではありません。
それぞれのご利用者様に合ったフォローを実施して欲しいと思います。
新規の利用者様がいらっしゃる時
管理者からすると、そういう介護職員はとてもありがたいものです。
新規のご利用者様がレクリエーションで楽しそうにしていると、写真に撮ったり動画にして、ご家族に見せることができます。
安心感を与えられるのです。
ご利用者様が初めて施設をご利用の時にレク担当者になったら、名前や年齢、生まれ、仕事などの話を積極的に引き出して、既存のご利用者との壁をなくしてあげましょう。
中心にいる人を見つける
どの介護施設でも、中心となるご利用者様がいらっしゃいます。そういう人は周りに参加を促してくれたり、1つアイディアを出すと協力してくれたりします。
例えばレクを始める時、「この雰囲気だと始めにくい」と感じている時など、「始めましょうか?」と声かけをするだけで、「はじまるよー」と他のご利用者様に参加を促して、レクを始めにくい雰囲気を打ち破ってくれます。
このような方は、レク担当者としてはとても有り難いものです。
ご利用者様と一緒にレクを行う
時々、動画やDVDを流してご利用者様にだけ体操を行ってもらう光景をみかけます。
レクをやる時もご利用者様との会話を楽しみながら、担当者が参加しながらやって欲しいものです。
そのためには、動画の体操や歌などは自分も声を出したり、体操の時はレク担当者が見えるように椅子や机を動かして行うようにしましょう。
どんどん美点発見の声かけをしていく
他の職員が参加しないので場が盛り上がらない。体操やレクの時にどうご利用者様と接していいか分からない。そんな相談を受けることもあります。
その解決策の1つとして、レクの最中に美点発見の声掛けがあります。
具体的な会話を挙げます。
ご利用者様が上がらない腕を体操で上げようとする
→「そうそう、出来るとこまででいいから」「今日も腕が上がってますねー」
ご利用者様の動きが前日よりよかった
→「○○さん、今日は動きがいいねー」「○○さん、体操の成果が出てきたよ」
声掛けによってご利用者様の気づきを促すことが出来て、ご利用者様の笑顔が多くなります。
しかも自分で盛り上がる場をつくれるため、自分も元気が出て自信が付きます。
特に初めての職場などで名前を挙げて美点発見を行うと、自分自身も早く名前を覚えることが出来、レク担当者自身の存在感を増すことが出来るのです。
レクリエーションの声かけ、どうする?
声かけを出来るようになるためには、下記のような内容を意識しましょう。
- 自分の恥ずかしさを克服する
- レク担当者も一緒になって楽しめるように準備をしておく
- ご利用者様の変化を認めてあげて、それを本人に伝えることを意識する
(1)自分の恥ずかしさを克服する
この恥ずかしさを克服するためには、2つのことが必要になります。
1つはレクをご利用者様の目の前で自ら行い、ご利用者様1人1人に声かけをしていくと覚悟を決めることです。
そしてもう1つは、「ご利用者様に楽しんでもらう」ことにエネルギーを注ぐことです。
自分のことよりもご利用者様のことに焦点がいくので、恥ずかしさが気にならなくなります。
ご利用者様に楽しい時間を過ごしてもらう、この心が出発点です。
(2)レク担当者も一緒になって楽しめるように準備をしておく
最初に積極的な声かけや取り組みが出来なかったことを振り返ると、私の場合、自分で自分のレク担当の時間を楽しめていなかったこと・このレクは面白くないかもと考えながらご利用者様に接していたように思います。
その思いをなくすためには、次のことをやるようにしました。
- 必ず自らが見本として、レクを皆の前で実演する
- レクを任された時に何をやるか前もって考えておく
この結果、スムーズにレクに入っていくことができました。
見本で私が成功するとご利用者様が喜んでくれて、失敗すると「あらー、残念」と笑ってくれて、ご利用者様と一緒に楽しむ心の余裕が出てきました。
自分が楽しんでいないと、その心は必ずご利用者様に伝わっていきます。
まず、自らが楽しめるように充分な準備をして、レクを行うようにしましょう。
(3)ご利用者様の変化を認めてあげて、それを本人に伝える
体操やレクを行っていると、前回よりご利用者様の腕が上がっていたり、得点が伸びていることがあります。
そうした時は共に喜び、レクの最中に前より進歩していることを伝えてあげましょう。
体操やレクのお陰で、日々、元気になって、笑顔になっている。
そのようなプラスのイメージだけを伝えましょう。
まとめ
いかがでしたか?
介護職員自身がレクリエーションに対して前向きになって、「自分なりのレクの目的」を見つけられると良いですね。