はじめまして、特養でケアマネとして働いている、「しろたえ」と申します。
特別養護老人ホームは、要介護度3以上の方が入所できる施設。そのため、重度の身体介護や認知症の方々が、業務に追われる職員のケアを待ちながらぼーっと暮らしているイメージ、ありませんか?
施設の中での不自由さはありますが、実際には皆さんたくましく暮らしています。
目次
特養のホントのところ
最近、地域に拡がる在宅系サービスの取り組みを見て、刺激をうけています。そしてその一方で、特養など施設系サービスの中身は、まだまだ不透明なことが多いことに、歯がゆさも感じます。
そこで、私からは、施設での普通の暮らしと、そこに混ざる職員たちとのアレコレを発信していきます。まずはこちらのエピソードからご紹介します。
特養を逃げ出した94歳の女性利用者さん
先日、とある女性利用者(94歳)と雑談していたら「私ね、昨日ここを逃げ出したの」と切り出しました。よくよく聞くと「あの女(施設職員)がね、意地悪だからね、逃げ出したのよ」との話でした。女性は片手で手を引けば杖を使って何とか7~8Mくらいは歩ける方です。
しかし、施設を逃げ出したとしても、あっという間に職員に追いつかれてしまうでしょう、むしろ追い抜いてしまうかもしれませんよ、ちょっと信じがたいですね。
そう伝えると「あ、そう。でもね、火事場の馬鹿力ってあるでしょ。あれね、出たの」
と、しめしめと言わんばかりの笑顔です。
職員を育てているのは利用者さん!?
ケアマネジャーとしての私は、
「(あの女って言われた職員は、どんな対応したのだろう)」
「(この方は、被害的なことは言わないし何かトラブルがあったのかな)」
と、そちらを心配してしまい、職員への対応を考えてしまいます。
しかし、フロアのリーダーは「そうなのです、よくお仰るのですが、たくましいですよね、逃げようってだけじゃなく、逃げてやったと思って職員を出しぬいた気持ちでいるのです」と笑顔で、実にサバサバしています。
同じローテンションで苦楽を共にするリーダーの器が、これだけ大きいと働く職員も安心できるな、と感心しました。
要介護度の高い方の介護は楽ではありません。しかし、利用者のたくましさにふれるたび、職員の器を大きく大きく育ててくれます。給料だけじゃない仕事の付加価値はここにあり、だと思います。