介護施設のなかには、見えないピラミッドがあります。
事例1
・看護師の態度が悪すぎる。
・介護職員の批判や誹謗ばかりで、介護の仕事はどんなに忙しくても一切手伝ってくれない。
事例2
・介護職員のことをかなり下に見ている。
・汚れを見つけてもその場でさっと拭かずに、「○号室の○○さん、こぼしちゃったから拭いておいて」といちいち呼んでくる。
・汚い仕事は全部介護士まかせで、介護士=雑役 と思っている。
事例3
・先輩看護職員からのパワハラが原因で、自己都合退職をした。
・無視をする、目の前にいるのに私だけに申し送りをしない、陰口を言うなどが、約2年間続いた。
・利用者を巻き込む嫌がらせも行っていた。
・施設長に報告したが、看護師は貴重なのか、庇い立てをして話を丸め込もうとするばかり。
事例4
・認知症療養型の病院で介護士として勤務していた。
・介護士をあまり良く思っていない看護師もいたが、主任看護師は介護士の意見などもちゃんと取り入れてくれて、分け隔てない対応をしてくれる人だった。
・ある日、介護士とちょっとしたトラブルがあった際、主任に「介護士は看護師より下なんだから、看護師の言うことを聞くのが当たり前。私たち(看護師)より多く仕事をする存在なのよ」と見下すように言われた。
・介護の職場に限らず、同職種・異職種でもトラブルはあるものだが、介護士の言葉にも耳を傾けていた人がそういうことを口にしたことに失望した。
・と同時に、「とうとう本音を言ったなぁ。」とも思った。
・それ以降、どんなに優しい看護師の人を見ても「この人も内心介護士を見下してるんだろうな」と反射的に思ってしまう。
介護の職場でパワハラが起きやすい原因
介護施設は、正職員・パートタイマー・契約社員といった多様な雇用形態に加え、介護職、看護師、ケアマネージャーなど、多職種が混在している特殊な環境ともいえます。
ヒエラルキーはなぜ生まれる?
厚生労働省の「平成25年介護サービス施設・事業所調査の概況」の統計によると、介護老人保健施設の74.2%が医療法人によって運営されています。
医療法人が運営する施設では、施設長が医師であることもあり、看護師など医療職の発言権が強いところも少なくありません。
医師>看護師>介護職というヒエラルキーのもと、看護職の方が意見が通りやすく、介護・生活の質より医療的観点からのケアが強くなる病院的な雰囲気の施設もあるようです。
パワハラの解決策は
介護施設は、様々な職種の職員が混在しているため、給与や待遇面に差がつきやすく(さらに見えやすく)、不満がたまりやすい、という見方もできます。
また、勤務時間や休暇などが不規則かつ取りづらいため、疲労やストレスが蓄積しやすい職場環境でもあります。
仕事の負担や給料の面でおのずと差が生まれ、介護士と看護師に限らず、職員間のトラブルの種になりやすいのです。
「看護師>介護士」の誤った認識は、看護師の介護士に対する関心のなさに端を発していることが少なくありません。
看護師と介護士は別の職種であり、役割も得意分野も異なります。医療面では看護師がプロですから、介護士に指導・指示できる立場といえますが、介護士は介護のプロです。
お互いの仕事を尊敬しあい連携をとることができれば、利用者への最高の支援ができるのではないでしょうか。