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コグニサイズ運動で認知症予防!効果とやり方を解説

認知症の予防が社会的課題になっている今、認知症予防運動「コグニサイズ」が注目されているのをご存知でしょうか?そのキャッチーなネーミングと、楽しんで日常に取り入れられる手軽さが多くの人に支持されています。2015年5月、国立長寿医療研究センターは、認知症予防を目的とした「コグニサイズ」の普及拡大を改めて発表しました。今回は、コグニサイズの気になる中身についてまとめてみました!

コグニサイズとは?

コグニサイズを開発した国立長寿医療研究センターによると、

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と言います。

とのこと。
全国の高齢者施設で行われている運動・機能訓練系レクリエーションが誰でもできるように体系化されています。歳を取ると、毎日の行動にあまり変化がなくなってくるものです。脳は、使わないと衰える。そこで、普段とは違う運動をしながら、頭を働かせることで、脳を活性化させ、認知症の発症を防ぐ狙いということです。

コグニサイズの効果

コグニサイズは、認知トレーニングと運動を同時に行うデュアルタスク(2つの作業を同時に行うこと)によって、脳の活動を活発にします。愛知県大府市で行われた研究によると、脳画像や認知機能テストなどで軽度認知障害(MCI)と判定された高齢者のうち、コグニサイズをしたグループでは、記憶力テストの成績が良くなり、脳の萎縮の進行が抑えられていたことが発表されました。(※)

(※)
調査協力者:愛知県大府市在住の高齢者100人
調査方法:上記協力者100人を50人ずつの2グループに分け、片方は6カ月間にわたって週2回、1回90分間のコグニサイズやストレッチ、筋トレを実施。もう片方は、同じ期間に介護や病気の予防に関する健康講座(60~90分)を2回行った。

また、コグニサイズの参加者からは以下のような感想が出ています。

身体と頭を一緒に動かすことで、身体機能の維持向上だけでなく、「楽しむ」気持ちが生まれ、脳にポジティブな効果を与えているのが分かります。

MCI(軽度認知障害)予防に40代から習慣化を!

最近もの忘れが激しくなってはいませんか?今、認知症とまではいかないけれど、年齢とともに認知機能が衰える認知症予備軍MCI(軽度認知障害)が増えています。

2010 年に愛知県大府市でコグニサイズを取り入れた運動教室で行った調査では、MCIのある65歳以上の100人の中で、8割の参加者に記憶力の向上がみられたといいます。

MCIは、40代から発症すると言われています。早いうちから、習慣化しておきたいですね。

種類いろいろ!シーンに合わせてコグニサイズ

国立医療センターが提唱しているコグニサイズには、色々なバリエーションがあります。

一人でもできる『コグニステップ』

身一つあればできるコグニサイズとして、『コグニステップ』があります。

  1. 両足をそろえ、背筋を伸ばして立つ
  2. 「1」と数えながら右足を右足に大きく開く
  3. 「2」と数えながら、1の状態にもどる
  4. 「3」の代わりに手を叩き、左足を左横に大きく開く

このあと、4→5→手を叩く→7→8→手を叩く…と続けます。難易度を上げるなら、「手を叩く倍数の数を変える」、「30から逆に数える」といった方法があります。

下記は、実際のコグニステップの様子がわかりやすい動画です。神奈川県のゆるキャラ「かながわきんたろう」が実践していて、癒されますよ!

パートナーと協力しながら『コグニウォーキング』


もし、ウォーキングを習慣にしているなら、『コグニウォーキング』からはじめるのもいいですね。コグニウォーキングは、ウォーキングしながらしりとりを行うというもの。
行う上で、気をつけたいポイントは下記の点です。

一人でやるなら、「俳句を考える」「100から7ずつひいていく」「ナンバープレートの数字を覚える」というやり方もありますね。

みんなで盛り上がる『コグニステップ』


認知症予防教室や地域の集会など、複数人で集まる機会があるなら、『コグニステップ』がおすすめです。

5人や3人といったグループで輪になって、みんなで昇降台に登ったり降りたりしながら、
・順番に一人ずつ数を声に出して数え、「4」の倍数で手を叩く
・順番にしりとりをして、前の人が言った単語を覚える

といった方法です。
下記の動画を見ると、5人1組の場合のコグニステップの方法がよく分かります。

コグニサイズをする上で注意したいこと

コグニサイズを行う上で気をつけたい10箇条があります。

1.無理はしないで徐々に行う
2.ストレッチしてから開始する
3.水分を補給する
4.痛みが起きたら休息を取る
5.トレーニング中の転倒に注意する
6.少しの時間でもできるだけ毎日行う
7.「ややきつい」と感じるくらいの運動を行う
8.慣れてきたら次の課題にうつる
9.トレーニング内容は複数の種目を行う
10.継続がもっとも大切

※認知症予防へ向けた運動 コグニサイズ パンフレットより

無理はせず、根気よく、コツコツと続けることが大事なのですね。特に、今まで運動する習慣がなかった人が急に張り切ってしまうと、思わぬ事故につながったり、体を痛めてしまいがちです。注意して適度な運動にとどめるようにしたいですね。

コグニサイズの研修会情報

国立長寿医療研究センターは、認知症になる方を少しでも減らすことを目指して「コグニサイズ」の普及活動を行っています。現在、認知症予防に係るスポーツジム、デイサービス、自治体の介護予防・健康増進事業の関係者といったコグニサイズ指導者・従事者を対象に、下記の養成研修を行っているようです。研修には、

の2種類があり、コグニサイズの具体的内容や、コグニサイズの理論、認知機能の評価、コグニサイズの実践を含む包括的な内容をそれぞれ学べるとのこと。詳細は、国立長寿医療研究センターのページをご確認ください。

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