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実体験を語る!通院介助ってどんなことするの?

こんにちは!ハム太郎です。
みなさんは、「通院介助」をご存知でしょうか?
通院介助とは、介護保険や保険外の自費サービスを利用し、介助の必要な方の通院にヘルパーさんが同行することです。
この記事では、ハム太郎が訪問介護時代に経験した「通院介助」について、「通院介助って実際はどんなもの?」という疑問にお答えしたいと思います。

【プロフィール】
ハム太郎(Taro Hamu)
介護福祉士の資格をもつライター。博多出身。ハムスターをこよなく愛しています。高校まで博多で過ごし、大学進学を機に上京。大学時代には障害者施設でボランティア活動に取り組む。その経験を通して介護業界へ就職。これまでデイサービス、訪問介護に勤め、介護職、サービス提供責任者として経験を積む。現在は、介護職専門のキャリアアドバイザーを経て、介護を専門とするライターに転身。

子どもがいないAさんの通院介助

江戸っ子で口調は強めですが、奥さん思いの利用者・Aさん。Aさんはいつも近くの病院の整形外科で、膝にヒアルロン酸注射を打ってもらいに行っていました。ご夫妻には子どもがいなかったため、ヘルパーさんに介助を依頼していました。

「こんにちはー!ハム太郎です!」
Aさんのお家に訪問して、持ち物の確認をします。
「保険証、診察券、お薬手帳、お金、鍵…全部ありますね。では、車いすの準備をしてきます。」
家の外に自転車のように停めてある車いすの鍵を開け、車いすを玄関にセットします。介助は、室内用の可動式のいすから車いすに乗り換えるときにします。車いすに座ってもらい、家の鍵を閉めます。
「さて、行きましょうか」
Aさんの家はマンションのため、エレベーターに乗ります。これがまた狭くて、扉が閉まるのがはやいはやい。
私は週に1回Aさんの通院介助をしていたので慣れましたが、慣れない人が介助をすれば、きっと車いすがエレベーターにぶつかりまくったことでしょう。大丈夫だと思いますが、通院介助をされている方はぜひ気をつけてくださいね。

Aさんのマンションの前には、45~60度くらいはあるんじゃないかという、急な坂があります。それを後ろ向きでゆっくりと降りて、いざ出発。
雑談をしながら、車いすを押して10分ほど歩きます。病院につくと診察券を出して、たわいもないことを話しながら待ちます。Aさんが呼ばれたら診察室へ移動。看護師さんが注射の準備をしてくれます。私は、看護師さんとも雑談をしてコミュニケーションを取っていました。
その後、医師がAさんの膝にヒアルロン酸注射をひざに打ちます。毎回とても痛そうです…。処置が終わったらお会計をして帰宅し、雑談しながら記録を書きます。
「また来週待ってるよ」
「はい、また来週来ます」

Aさんはお子さんがいないためか、私のことを本当に頼りにしていました。通院日がいつかわからなくなったら、Aさんから私に電話がかかってきます。
「次は〇〇だから、大丈夫ですよ」私がそう言うと、
「ああ、そうか。わかった。」と安心してくれます。
利用者さんにとって、大事な予定である通院。そのお手伝いをするからには、気を引き締めて臨まないといけないと常々感じていました。

通院介助で気をつけたこと

通常の生活援助や身体介護サービスとは違い、通院介助はイレギュラーな対応を求められます。そこでは下記のようなことを気をつけていました。

  • 車いすの移動介助
  • 通院介助を依頼される方は、車いすを利用している人が多いように思います。電車を使った移動などもあるため、車いすの介助スキルは必須。
    車いすは少しの段差でも大きな振動となるので、利用者さんが痛い思いをしたり不快な思いをしたりしてしまいます。そこで、小さな段差でもタイヤを浮かし、大きな振動を極力減らす努力をしました。
    そうすることによって、利用者さんは長時間車いすに座っていても負担を感じにくくなります。おしゃべりに花が咲き、楽しく通院介助をすることができるのです。

  • 待ち時間の過ごし方
  • 通院介助では、長時間の診察待ちをすることが多々あります。いつ呼ばれるかもわからないまま長い間待つことは、とてもストレスが溜まるもの。そこで試されるのが、ヘルパーのコミュニケーションスキルと空気を読む力です。待っている間、利用者さんのストレスが溜まらないようにトークで楽しませたり、和ませたりします。しかし、おしゃべりばかりしていると逆に利用者さんを疲れさせてしまうことも。臨機応変に空気を読むことが大切です。

  • 医師の発言を正確に伝える
  • 通院介助を依頼される場合は、ご家族がどうしても対応できないため仕方なく…ということがほとんどです。そういう場合は、通院後ご家族に正確に医師の発言を伝える必要があります。また、ご家族がいない場合でも、利用者さん本人が覚えられないためヘルパーさんにも一緒に聞いてほしいというニーズもあります。私は、診察内容をご家族やご本人に正確に伝えるために紙にメモをして渡したり、次の通院日をカレンダーに記入したりしていました。医療に関わることは、なんといっても正確性が大事だと思います。そのことを心がけていたおかげで、利用者さんやご家族から喜ばれました。
    「こんなに丁寧にしてもらったことはない。またあなたに来てほしい。」と言ってもらえることもありました。

    価値の高い通院介助サービス

    高齢になると、どうしても病院との関わりが増えがちになります。
    自分の健康状態に不安を感じている方も少なくありません。そうした利用者さんは、毎回の通院に緊張感を持って臨んでいます。また、診察の時間はとてもプライベートなものです。そこにお邪魔させてもらえることは、大きな信頼を寄せてもらえている証。
    その信頼や期待に応えるべく、利用者さんを最大限気遣えば、その気持ちは伝わります。
    家族が忙しい、頼れる家族がいない…通院介助は、そんな利用者さんのために力になれる素敵なサービスです。

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