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徹底解説!地域密着型サービスとは?

地域密着型サービスは、平成18年の介護保険制度改正に伴い、厚生労働省によって創設されました。地域密着型サービスには小規模多機能型居宅介護などの8種類のサービスがあり、要介護者は住み慣れた地域で支援を受けることができます。比較的新しい介護保険サービスのため、知らない方も多いのではないでしょうか。
地域密着型サービスについてより詳しく知りたい方や利用したい方のために、
このサービスの対象者や特徴、8種類のサービス内容など、地域密着型サービスについて詳しく解説します。

地域密着型サービスとは

平成18年4月1日にできた介護保険サービスのひとつ。介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らしていけるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスです。
日本は、市町村レベルでみると高齢化率や高齢者施設数などが大きく異なります。そこで、地域のニーズや財政状況などを考慮した市町村独自の政策を行う地域密着型サービスが誕生しました。

介護保険サービスの中の地域密着型サービス

地域密着型サービスの位置づけをみていきましょう。
要介護者が受けられる介護保険サービスは大きく分けると下記の3つのサービスがあり、その中のひとつに地域密着型サービスがあります。

3つの介護保険サービス

地域密着型サービスの対象者と特徴

地域密着型サービスの対象者や特徴についてご紹介します。

対象者

地域密着型サービスを提供している施設や事業所がある市区町村に住んでいる人

特徴

  1.   ●サービス事業者の指定は市町村が行う
  2.   ●地域住民と交流が持てるような立地に所在している

8種類のサービス内容

続いて、地域密着型サービスの8種類のサービス内容について解説します。

① 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

サービス内容

要介護者の在宅生活を日中・夜間を通じて支えるサービスです。24時間365日体制で1日複数回の訪問も可能。要支援の方は利用できません。

どんなときに役立つ?

退院直後のひとり暮らしの方の服薬管理やトイレ介助など、定期的な訪問が必要なとき。

② 夜間対応型訪問介護

サービス内容

夜間帯のみの訪問介護サービスです。トイレ介助や緊急時にヘルパーが対応します。

どんなときに役立つ?

夜中に転んで動けなくなってしまったとき。電話をすればヘルパーさんが駆けつけてくれます。

③ 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)/介護予防認知症対応型通所介護

サービス内容

認知症の診断がある人のみ利用できる、定員12名の小規模デイサービスです。その人に合った「機能訓練」を行っています。

どんなときに役立つ?

大人数のデイサービスに拒否がある認知症の方に、デイサービスに行ってほしいとき。精神的に不安定な認知症の方でも、個別介護を受けられるので安心して通ってもらえます。

④ 小規模多機能型居宅介護/介護予防小規模多機能型居宅介護

サービス内容

事業所へ通う「デイサービス」や自宅へ訪問してもらう「訪問介護」、事業所への宿泊をする「ショートステイ」などを柔軟に組み合わせることが可能です。

どんなときに役立つ?

デイサービスや訪問介護など、異なるサービスでもいつも担当してくれている顔なじみの人に来てほしいとき。さまざまなサービスを利用しても同じ事業所が対応できるため、顔なじみの方が来てくれます。

⑤ 認知症対応型共同生活介護(高齢者グループホーム)/介護予防認知症対応型共同生活介護

サービス内容

認知症の方が1ユニット9名までの少人数で共同生活を送ります。

どんなときに役立つ?

住居地から離れた立地にある大人数の介護施設では拒否がある、認知症の方がいるとき。
住み慣れた地域で、認知症ケアに適した個別介護を受けられます。

⑥ 地域密着型特定施設入居者生活介護

サービス内容

定員30人未満の小規模で運営される、介護付き有料老人ホームなどの介護専用型特定施設です。要支援の方は利用できません。

どんなときに役立つ?

住み慣れた地域で少人数での生活したいとき。従来の施設より明るく家庭的な雰囲気があり、地域や家族との結びつきを重視した支援を行っています。

⑦ 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護

サービス内容

定員30人未満の小規模で運営される特別養護老人ホームです。要支援の方は利用できません。

どんなときに役立つ?

要介護3以上の方が住み慣れた地域で少人数での生活したいとき。地域密着型特定施設入居者生活介護と同じで、従来の施設より明るく家庭的な雰囲気があり、地域や家族との結びつきを重視した支援を行っています。

⑧ 複合型サービス

サービス内容

小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」が加わったサービスです。要支援の方は利用できません。

どんなときに役立つ?

「通い」や「訪問」、「宿泊」だけでなく「医療」にも対応してほしいとき。

地域密着型サービスの利用までの流れ

まずは要介護認定を受けましょう。その後、要介護度が決定され、担当のケアマネジャーがつきます。ケアマネジャーが作成するケアプランに地域密着型サービスが記載されていれば、利用することができますので、ケアマネジャーに利用の相談をしましょう。

これってどうなの?Q&A

Q住民票を移せば、その地域の地域密着型サービスが受けられるの?
A住民票を移したとしても、別の地域の地域密着型サービスを利用できるとは限りません。たとえば千葉県松戸市では、原則として3カ月以上松戸市民であることが、サービスを利用する条件のひとつになっています。サービスが受けられるかどうかは、各自治体によって異なります。詳しくは各自治体へお問い合わせください。

千葉県松戸市「松戸市地域密着型サービス事業者指定に関するガイドラインについて」,2017年6月1日更新(最終閲覧日:2017年6月6日)http://www.city.matsudo.chiba.jp/kenko_fukushi/kaigo/jigyousya/tiikimittyaku/sitei.html

Qヘルパーやデイサービスと地域密着型サービスはなにが違うの?
Aヘルパーやデイサービスとの違いは下記の2つが挙げられます。
① 月額包括報酬
地域密着型サービスは料金が定額制の月額包括報酬です。ケアマネジャーに必要であると認められたサービスがケアプランに記載されて、はじめてサービスを受けることができます。ただし、月額包括報酬ではない地域密着型サービスもあります。
② 柔軟なサービス提供
訪問介護に比べて、時間や回数、サービス内容を柔軟に対応できる場合が多いです。

Q定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の違いは?
A定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、何回利用しても同じ料金の定額制で、医療と日中の対応が可能です。
夜間対応型訪問介護は、夜間のみの対応です。医療への対応も難しく、料金も定額制ではありません。定額制ではない分、利用しなければ安い料金で契約できます。そのため、緊急時のための保険として利用する方もいます。
 

安心できるサービスを選ぼう

地域密着型サービスでは、利用者さんが住み慣れた地域でサービスを受けられるため、安心して介護を任せられるでしょう。今まで地域密着型サービスを選択肢に入れていなかった方も、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。
利用者さんやご家族にとって安心できるサービスを選んでいただきたいと思います。

参考文献・サイト

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