近年、介護士の中で人気が高まっているデイサービス。
その理由は、日勤帯のみ勤務時間と、資格や経験が必須ではないことが挙げられます。他の施設より、利用者さんの笑顔が多くみられることも魅力のひとつのようです。
人気上昇中のデイサービスのことを知りたい方は必見!
デイサービスの1日の流れに関連付けながら仕事内容を解説し、スタッフの経験談、デイサービススタッフに求められるスキルをご紹介します。
目次
デイサービスの1日の流れ(例)
デイサービスの1日の流れをご紹介します。出勤時間は、シフト制か固定勤務制によって異なります。
<介護士の場合> |
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08:00 送迎 09:00 利用者来所、バイタルチェック、朝の会 10:00 入浴 12:00 昼食 13:00 口腔ケア、お茶休憩 14:00 レクリエーション 15:00 おやつ、体操、記録 16:00 送迎 17:00 清掃、洗濯 18:00 ミーティング |
デイサービスの仕事内容
介護のスタッフとしては、介護士と生活相談員が在籍しています。
2つの職種の仕事内容についてご紹介します。
介護士編
お迎え
利用者さんを自宅まで迎えに行き、送迎車まで安全に誘導して、車に移乗してもらいます。必要であれば、車いすを利用し、移動・移乗介助をします。
通る道や順番などの送迎ルートや送迎時間を決めることも職員の仕事です。
送迎は、時間との勝負です。事前に伝えてある時刻を守り、事故を起こさないように注意を払って、利用者さんをデイサービスへ送ります。
来所、バイタルチェック
来所後、バイタルチェックをします。
ひとりで歩ける方もいれば、介助が必要な方もいます。来所時は混雑しやすくなりますので、スタッフがよく観察する必要があります。
迎え時には異変がなかったとしても、送迎中に具合が悪くなることもあります。発熱時は入浴ができない可能性がありますので、朝のバイタルを確認することは重要です。
トイレ誘導、排泄介助
一日に何度もトイレへの声掛けをし、利用者さんが少し迷われるときも促します。中には、忙しいスタッフに遠慮して「トイレに行きたい」と言い出せない利用者さんもいます。
失禁してしまうケースもありますので、トイレへの声掛けは大切です。
排泄介助が必要な方は、介助をします。利用者さんの中には、部分介助だけでなく全介助が必要な方もいます。
朝の会
朝の会では、当日の日付やこの日の過去の出来事などを紹介します。認知症予防につながるため、できるだけ利用者さんに質問をして、答えてもらいます。
入浴準備、入浴介助、更衣介助
多くのデイサービスが午前中に入浴時間を設けています。
デイサービスにおいて、事故のリスクや異変の可能性が高いサービスが入浴サービスといえます。施設とは違って送迎があるため、リスクの高い入浴は午前中に対応します。さらに、午前中に入浴することで、身体のケガや異変に気付いたときに余裕をもって対応や記録をすることができます。
ADLが低い利用者さんには、更衣介助後、リフトを使って入浴介助をします。
入浴を目的にデイサービスに通っている方もいるほど、入浴サービスは人気が高いので、大勢の方が利用されます。担当スタッフは、長時間気温と危険の高い浴室にてサービスをする必要があるため、体力と注意力がいるサービスです。
昼食配膳、食事前の口腔体操
食事の前に口腔体操を行うところもあります。
口腔体操を行うことで、嚥下機能を活性化させ、食べ物をのどに詰まらせないようにします。
口腔体操中に、昼食の配膳をします。刻み食やミキサー食などその人に合った形状で配膳をします。
口腔ケア
食事が終わると、口腔ケアをします。
持参してもらっている歯ブラシやコップを使って、歯磨きをしてもらいます。
レクリエーション
レクリエーションの活動時間は、1時間程度です。人気の高いレクのひとつにカラオケがあります。歌を歌うレクは、身体機能が衰えている方も気軽に参加でき、みんなで楽しむことができます。
レクリエーションに参加をせず、横になる方もいます。
おやつ、体操
お茶とおやつを配膳します。利用者さん同士、活発にお話しされることもあります。
帰りの送迎の前に、体操をします。
体操によっては、個別機能訓練加算が取れる場合もありますので、詳しくはこちらをご参照ください。
個別機能訓練加算とは 平成27年度改正事項まで徹底解説!
記録
連絡帳に記録をします。
連絡帳は職員とご家族をつなぐ大切なツールです。食事量や排泄の回数、特記事項を詳細に書いて、ご家族にデイサービスでの様子を伝えます。
しかし、人員不足の介護現場では、記録に時間を費やせないことが悩みだと思います。職員は、利用者さんから目を離さずに記入をする必要があります。
お送り
送りの送迎で気を付けることは、「忘れもの」です。薬のように常時使用するような大切なものであれば、クレームにつながる可能性があります。
忘れものには十分な注意が必要です。
掃除、洗濯、ミーティング
デイサービスの掃除や、使用したタオル等を洗濯します。
ミーティングでは、利用者さんの特記事項やクレームの共有をします。新たなクレームを生まないために、情報共有を密にすることは大切です。
生活相談員編
新規契約
ケアマネジャーからの利用の打診や申し込み等があった場合、密な連携を取り、受け入れの検討をします。
受け入れが決まったら、利用者さんと通所介護契約を交わします。
サービス担当者会議
サービス担当者会議とは、ケアマネジャーが関係者を集め、今までの利用状況の確認や今抱えている問題の抽出・協議をし、ケアプランに組み込むことを検討します。
生活相談員はその場に出席し、デイサービスでの利用状況や問題点・気になるところを伝えます。
計画書やアセスメントシート等の書類作成
ケアプランに沿って、通所介護計画書を作成します。
利用者さんの生活背景や現在の状態、求めていることを情報収集し、アセスメントシートを記入します。
報告
日々のサービス提供を行う上で、変化や気づいたことがあった場合、その都度ケアマネジャーに報告します。
※介護業務を兼任するところもあります
デイサービスの経験談
上記のように、多くの業務を行うデイサービスのスタッフは、どのような思いをされているのでしょうか。
楽しい時や苦しい時の生の声をご紹介します。
経験談①
私はデイサービスで働いて3年目の介護士です。
デイサービスは大変ですが、やりがいもあります。
それは、利用者さんが私のことを覚えてくださって、デイサービスを楽しみにしてくれていることです。
毎回、現場を盛り上げるのは大変ですが、利用者さんが喜んでくれるのでがんばれます。
送迎時には、ツツジ等の季節の花や近くの建物のこと、昔は傘をコウモリと呼んでいたなど、知らないことを教えてくれますので、とても楽しいです。
経験談②
私は現在、特別養護老人ホームで働いている介護士です。
デイサービスでは1年間働いたことがありますが、正直、大変でした。
一番つらかったことは、体力がいることです。一日中動き回って、利用者さんに気を配って、体力的にとても疲れました。その上、給与も安いので割に合いませんでした。
これでは施設の方がいいかなと思い、転職しました。
デイサービススタッフに求められるスキル
デイサービスは決して楽な仕事ではないといえます。しかし、デイサービスの仕事を楽しんでいる方がいるのも事実です。では、どのようなスキルがあるとデイサービスで楽しく働けるのでしょうか。
3つのポイントをご紹介します。
多様な利用者さんに対応できるコミュニケーション能力や親しみやすさ
デイサービスでは、認知症の方やADLが高い方、車いすの方などさまざまな利用者さんが通っています。利用者さんそれぞれ、楽しいという感覚は違いますので、どんな方にも対応できるコミュニケーション能力や親しみやすさが大切です。利用者さん全員に楽しんでもらえるような対応をしましょう。
複数の利用者さんを観察しながら動ける臨機応変さ
デイサービスは多くの利用者さんが通われています。スタッフは介助だけではなく、なにかあったときに対応する「臨機応変さ」が必要になります。介護現場は常に人手不足といえますので、とても忙しいです。その中で、複数の方の観察と介護をしつつ、転倒などなにかあったときには、臨機応変に対応することが求められます。
入浴介助にレクにトイレ誘導など、1日動ける体力
デイサービスは体力が必要です。入浴介助はもちろんのこと、レクリエーションを盛り上げるために大きな声を出し、トイレ誘導は1日に何度も行いますので、体力がいります。
送迎時は転倒に注意しながら、片手は利用者さんと腕を組み、片手は利用者さんの荷物を持って自宅まで送ります。
慣れるまでは、1日が終わるとぐったりするほど体力を消費しますので、体力作りをおすすめします。
利用者さんやご家族にとっても人気の高いサービス
利用者さんやご家族にとっても、デイサービスの人気は高まりつつあります。
デイサービスを利用することは、ご家族にとって、長時間介護から離れることができるため、家事などの用事を行うことができます。
利用者さんにとっては、ご家族に負担をかけずに気持ちよく入浴できるほか、友人とおしゃべりしたり、レクリエーションで活動することができたりするため、日々の生活の活力となります。
ご家族の負担を軽減しつつ、利用者さんが住み慣れた自宅で介護ができるデイサービスは、今後もニーズが高まり続けるのではないでしょうか。
在宅で過ごす利用者さんやご家族の力になれる、デイサービスのお仕事。大変だけれど、魅力的だと思いませんか。