サイトアイコン 介護のお仕事研究所

ショートステイの利用が、その人「らしさ」をデザインする

生活相談員の仕事についてから、さまざまな出来事が現場とは違うと感じます。
事前調査のための訪問で、利用者さんの生活環境やご家族の状況・介護力、利用者さんを取り巻くさまざまな事柄を知ることができます。
家族の介護を受けて、自宅で生活したいけれど、 家族も働かなければ、食べていけない。
今は子どもも元気だけれど、子どもに何かあったとき、 自宅で生活できなくなる。

それぞれの事情や状況がその家庭ごとであります。
ですから、在宅サービスに期待する思いは、利用者さんやその家族ごとに違いがあります。

「危ないことしないで!」喧嘩になってしまう母子

ショートステイの利用者さんに、ご自身のお子さんが土日祝日まで働いていて、日中1人暮らしの方がいらっしゃいました。

身の回りのことはご自身でできる方なのですが、年相応に物忘れがあり、火の取り扱いができなくなってきておられました。
時折、火の取り扱いの失敗をすることもありました。

お子さんは毎日夜遅くまで仕事をしてから帰ってくるので、そんなお母さんを見てイライラしてしまい、「危ないことしないで!」と、ケンカになってしまうこともありました。
そのような状況の中、担当のケアマネージャーさんからショートステイの相談がありました。
毎日一緒に同じ空間で暮らしていくことで、お互いがお互いを気にしてしまうのなら、一度離れる時間を作ってみては?という提案でした。

一度離れることで、関係はぐっと近くなる

そこから、その利用者さんのショートステイ利用が始まりました。
私が勤める施設のショートステイは全室個室なので、利用者さん自身も家族を気にせず、自分の部屋で好きなことができました。

そして、お子さんも外出の機会を作ったり、旅行に行ったりと、自分の時間を過ごすことができました。

お互いがショートステイを使って離れることによって、二人の関係も日に日によくなっていき、今でも利用者さんは自宅での生活を継続できています。

今の環境で利用者さんがどうしたら、望み通りに生活できるのか?
さまざまな思いを感じながら、利用者さんが自宅で望むような生活を最期までデザインできるのも、在宅サービスに関わる人たちのやりがいではないかなと思います。

モバイルバージョンを終了