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介護職・ケアマネに教えたい!「服薬管理」のすすめ

歳を重ねるごとに、人の身体からは新たな疾患が見つかりやすくなります。
そのため高齢者のおおよそは薬を服用していると言われており、処方される薬の種類も多くなりがちです。
しかし中には自己管理が出来ず、薬を飲み忘れたり、飲んだことを忘れて重複服薬してしまう方もいらっしゃいます。
決められた服薬方法を守らないと、処方される薬によっては命にかかわる危険性も……!

そこで重要になるのが「服薬管理」。
今回の記事では、「服薬管理」が必要な高齢者をどのように支援していくか、解説してまいります!

服薬管理、どうやればいいの?

認知症の高齢者は知的機能の低下に伴い、指示通りに薬を服用することが難しくなっていきます。進行すると、1種類の薬を1日1回飲むことさえ困難に。
しかし介護者がいきなり全面的な服薬管理を始めるのは、最適解とは言えません。
認知症が進行していても、本人には意思があります。プライドを傷付けてしまうこともあるからです。
出来ない部分をそっと支えるような、服薬管理の工夫をご紹介します。

薬を一包化する


数種類の薬を服用時刻ごとにひとまとめにすると、薬の飲み忘れ・飲み間違いをぐっと減らすことが出来ます。
家族に一包化する余裕がない場合には、薬剤師や医師に頼むようにしましょう。

「服薬ボックス」「お薬カレンダー」などを使う


曜日や日付が分かる段階の人であれば、「服薬ボックス」や「お薬カレンダー」などの介護グッズを使うとよいでしょう。該当時刻の薬を服用したかどうか確認出来ます。
1日1回の服用であれば、大きなカレンダーに薬を貼りつけておくだけでも上手くいく可能性があります。
市販品を購入することもあれば、薬剤師や看護師などが作って使うことも……本人にあうグッズを見つけてみてくださいね。

テーブルにメモを置く


認知症には「耳で聞いたことはすぐ忘れるけれど、目で繰り返し見て確認出来ることは通じやすい」特徴があります。
高齢者の見やすい位置に「薬を飲みましたか?」と書いたメモを置いておくと、自分で服薬を確認する場合があります。
ただしこれは、書いてある文章に関心がある場合のみ。興味を持たなくなってしまったら、効果はなくなってしまいます。

家族がタイミングを見計らって電話する


遠方に住んでいる家族でも、電話一本で服薬管理が可能になることもあります。
毎朝決まった時間に家族から「薬、ちゃんと飲んだ?」と電話を受けることで、高齢者がきちんと服薬管理が出来たケースもあるようです。

訪問薬剤指導を利用する


医療保険には、主治医の指示により薬剤師が自宅に訪問し、「在宅患者訪問薬剤管理指導」をする制度があります。
専門職である薬剤師が薬を自宅に届けてくれて、残薬などを調べて服薬状況を把握します。
そして適切に服薬出来るよう、工夫や指導をしてくれる
のです。その際の結果は医師に報告されます。
ただし、在宅患者訪問薬剤管理指導の料金を算定できるのは月2回限り。自己負担が発生するので、利用の際は注意が必要です。

訪問介護やデイサービスを利用している時に服薬する


訪問介護や訪問看護、デイサービスなどを利用している場合には、ヘルパーや看護師、スタッフが服薬介助をします。
服薬時刻が多少ずれてしまっても構いません。薬を飲み忘れてしまうことの方が一大事です。
デイサービスでの服用は昼食後の処方に出来るか医師や薬剤師に相談しましょう。
1日3回服用の薬がある場合は、援助体制にあわせて1日2回に出来るかどうかも確認するとよいですね。

薬を飲みたがらない!服薬拒否の対処法

認知症高齢者の中には被害妄想から「毒を盛られた!」と服薬しない人もいます。自分の病状が理解出来ず、「自分は病気じゃないから薬は飲まない」と拒否することも。
また、服薬中に錠剤の苦味を感じると、それ以降服薬を拒否することにも繋がってしまいます。
薬の勧め方にも、工夫が必要です。

介護者以外の人間が上手く勧める


「この薬は毒だ」「私は病気じゃない」といった思い込みも、本人にとっては事実。間違いだと納得させることは難しいです。
思い込みは身近な人に対して症状が強く出る特徴があるため、介護家族の言うことは特に聞かなかったりします。

そういう時には家族以外……ケアマネジャー・介護スタッフ・訪問看護師・医師などから勧めると、服薬する場合があります。

最低限必要な薬に絞る


たくさんの種類の薬を処方されると、飲みきれない場合があります。
その時には医師に「本人が飲み切れないので、どうしても必要な薬だけに絞ってください」と事情を話し、減らしてもらうことも重要です。

食べ物に混ぜる


強く拒否する人に対して強制的に薬を服用させるのは、現実的には難しいことです。
どうしても飲ませなければならない薬に絞った上で、食べ物に混ぜて服用させるケースも必要になります。

飲みやすい味・剤型にする


錠剤では苦い薬も、糖衣錠にすれば苦味を感じなくなります。抗生物質、咳止めの薬、かゆみ止めの薬なども、小児用のシロップにすると飲みやすくなります。
また、薬には錠剤やカプセル、顆粒、内用液、シロップ、ゼリーのほか、吸入や点眼・点鼻、浣腸、注射など、さまざまな剤型や投与法があります。
錠剤やカプセルが飲めなくなったら、薬剤師に粉砕してもらうとよいでしょう。
むせてしまう場合には市販の服薬ゼリーやオブラートを使うか、シロップに変更するのも有効です。

貼付薬、坐剤、軟膏・クリームに変える


一部の疾患に対する薬は貼付薬や軟膏・クリームに変更することで、内服薬を減らすことが出来ます。
痛みや便秘に対しては坐剤や浣腸が有効でしょう。

服薬管理の定義とは?


服薬管理の定義は「薬の在庫の確認・服薬指導・薬の調整をすること」です。
服薬管理という表現を使うと医療行為・医療行為に類似するサービスとなるため、介護職では行うことが出来ません。
介護職に出来るのは、薬の準備から声かけ・確認・片付けまでをする「服薬介助」
あくまでも、薬の飲み忘れがないかどうか確認する援助に限られます。
ただし医師や薬剤師が一包化した薬であれば、飲むのを介助することが可能です。

参考:厚生労働省 医師法第17条

ケアプランを作る時のポイント

ケアマネジャーは服薬管理で扱うサービスについても、細かくケアプランに盛り込む必要があります。
ここでは、服薬管理の必要な方へのケアプランのポイントをお教えします。

誰がどのように服薬管理をするのか、ケアプランに明記する


高齢者が自分で服薬管理出来ない場合は、他の誰かによって服薬管理をしなければなりません。
家族か訪問介護のヘルパーか、通所介護の職員か……誰が服薬管理を担当するのか、きちんと明記しておきましょう。
その際には「この曜日は誰が行うのか」「この時間は誰が行うのか」など、一目で誰が管理するか分かるようにケアプランを作るといいですね。

何に対する介助なのかを考えて、サービスを取り入れる


薬剤の受け取りから服用時の仕分け、包装から薬剤の取り出し、水の準備、内服、内服確認、そして後片付け。
服用前から後までの一連の流れの中で、どの動作に対して何の介助がいるのか、しっかり見極めることが重要です。
利用者さんへのアセスメントで、それぞれの場面で誰がどのような介助を行うか検討しましょう。

服薬に対する目標を立てる


ケアプランには目標を入れる必要があります。
服薬管理を目的にサービスを入れている場合、長期目標・短期目標を作成しなければなりません。
服薬管理の場合、「処方されたものを的確に飲める」といったことが主な目標になります。
ケアプランの見直しの際には、どれぐらいの頻度で飲めているのか・飲めていない時はどのような原因があるかなど、モニタリングを行って把握しましょう。

服薬管理におすすめのサービス


服薬管理をするためにはケアプランでサービスを決める必要がありますが、訪問看護や訪問介護、デイサービスなどの通所系サービスを利用するのがいいでしょう。

訪問看護なら医療行為を行える看護師がいるので、薬の整理や管理が出来ます。訪問介護は一包化された薬に限り、ヘルパーでも服薬介助が可能です。
通所系サービスでも薬を持参すれば管理してもらえます。職員による服薬介助も行ってもらうことが出来ますよ。

まとめ

いかがでしたか?
服薬管理は、高齢者を抱える介護家族にとっては不安が尽きないことの一つ。
ケアマネジャーが受ける相談も多いのではないでしょうか?
ぜひ本人や家族、医師や薬剤師、サービス担当者と連携を取って、服薬管理を徹底してみてくださいね!

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