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ラヒホイタヤとは?厚労省が検討する介護福祉士と保育士の資格統合

高齢者人口の増加に伴い、高齢者介護を担うマンパワーの確保が求められています。

その解決策として、介護士と保育士を資格統合する案が出され、話題を呼んでいます。

その資格統合案は、「ラヒホイタヤ」と呼ばれるものを参考にしているとのこと。ラヒホイタヤとは、いったい何なのでしょうか?

ラヒホイタヤとは

ラヒホイタヤとは、フィンランドの社会・保健医療共通基礎資格のことで、保健医療分野と社会サービス分野の日常ケアに関する、様々な中卒レベル資格を一体化し、一つの社会・保健医療基礎資格としたものです。

ラヒホイタヤは lahi(身近な)と hoitaja(世話をする人)の意味を持つフィンランド語。lähihoitoとは、英語near care (日常ケア)に相当します。

フィンランドは、北欧型の社会保障・社会福祉システムを持つ福祉先進国で、2025年にはフィンランドの高齢化率は、EU圏内で最も高くなると試算されています。

ラヒホイタヤが生まれた背景

ラヒホイタヤは、少子高齢化で人材不足が懸念される福祉人材確保を目的とし合理的なマンパワーの配置を行うために生まれました。

ラヒホイタヤ資格の前身10資格

ラヒホイタヤは、下記10資格を統合して生まれました。

保健医療部門における7つの資格

准看護婦:Perushoitaja
精神障害看護助手:mielenterveyshoitaja
歯科助手:hammashoitaja
保母/保育士:lastenhoitaja
ペディケア士:jalkojenhoitaja
リハビリ助手:kuntohoitaja
救急救命士-救急運転手:lääkintävahtimestari‐sairaankuljettaja

社会ケア部門における3つの資格

知的障害福祉士:kehitysvammaistenhoitaja
ホームヘルパー :kodinhoitaja
日中保育士:päivähoitaja

個人としてのラヒホイタヤのメリット


連れ立って / noriqnub

・労働市場内を移動することによって、長期に仕事を継続することができる
(例えば、日中に保育園で働いた後、高齢者のホームヘルパーとして働いたり精神障害者施設でも働くことが可能になる。)

・無資格の不安定な低階層の職種がなくなり従来のホームヘルパーの質の向上

・介護人材の離職者減少

・異業種間移動が極めて容易

・質の高い労働で短時間・高賃金の労働が可能になる

などのメリットが挙げられています。

批判側の声

介護・福祉の現場からは、高齢者と幼児で異なる技術・知識が必要な業務を1人でこなす事を求められる資格の一本化に対する反発があります。

国としてのラヒホイタヤのメリット


National Diet Building / Dick Thomas Johnson

現在、進められている「まち・ひと・しごと創生総合戦略」には、福祉人材が不足するなかでも中山間地域等でも十分な福祉サービスを提供できるよう、福祉職種の統合に関する内容が記載されています。

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に対するサポートプランの位置づけ

医療・介護、福祉サービスの盤整備に関する取組方針

総合戦略

・中山間地域等における「小さな拠点」(多世代・多機能型拠点)の形成
・大都市圏における安心な暮らしの確保など

厚労省の方針

いつから始まる?

「塩崎大臣閣議後記者会見概要」によれば、5月中には一時的なとりまとめをするとのことです。

(記者)
 福祉人材融合チームの件なんですけれども、介護福祉士と保育士の資格の統一を目指すというような報道もありましたけれども、資格の統一の実現性については、どのようにお考えでしょうか。

(大臣)
 問題意識はさっき申し上げたとおりでありますけれども、とりあえず、すぐにできることは何だろうかということを中心に議論をしてもらって、これは5月中に一次的な取りまとめをしてもらおうというふうに考えておりまして、資格の統合というのは報道として流れていましたが、いろいろ試験とか、養成課程に影響しますし、様々な議論が私どもの方にも聞こえてきていますので、これは中長期的な課題であるのではないかなというふうに認識しているところでありまして、今すぐ何ができるのか、ニーズに見合った変化をもたらすことができるかどうか、これを考えたいというふうに思います。

出典:塩崎大臣閣議後記者会見概要

介護士と保育士の資格統合については、続報が入り次第ご紹介いたします。

<参考>
介護人材における実践キャリアアップ制度構築のための基本的な考え方

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