介護のお仕事研究所

優しいあなたこそ要注意!「共感疲労」を溜めない介護職になるために

感情労働である介護職の仕事は、何かと精神的な疲れを抱えてしまいがちです。
利用者さんやその家族に寄り添ってケアをする仕事なだけに、知らない間に「共感疲労」が溜まってしまっているかも。
この疲れはその日の気分でどうにかなるものではありません。放っておけばどんどん蓄積されて、悪化してしまいます。

介護職が溜めがちな「共感疲労」、その中身とリフレッシュ方法についてご紹介いたします。

共感疲労とは

共感疲労とは、トラウマ(心的外傷)を負った人々をケアすることで、ケアをする側が二次的にトラウマを負うことを指します。
介護士や看護師など、人を援助する職業の人々が体験する心的過程です。(参考:看護学事典第2版
つまり当事者でないにもかかわらず、相手の気持ちに共感や同情するあまり溜めてしまう、精神的な疲れのことを言います。

人間には誰しも「相手の気持ちになる」という能力が備わっています。
近頃では震災報道に心を痛めて具合を悪くしてしまう……という一般の方も多いようですが、これも共感疲労が原因といえるでしょう。
特に介護職は利用者さんの心のケアや労りの大切さを心得ていて、日々相手にとっての「よいケア」を心がけている職業です。普通の人よりもずっと共感疲労を溜めやすいことは間違いありません。
利用者さんと心を通わせ、親身になって思いやり続けることで、疲労はどんどん蓄積していきます。

共感疲労セルフチェック

とはいえ、共感疲労は目に見えないもの。
自分がどれだけ疲れを溜めているかは、なかなか自覚できません。
共感疲労がどれだけ溜まっているか、ここでセルフチェックをしてみましょう。

・とにかくいつも疲れている
・利用者さんの話を聞いていても関心がわかない
・毎日、仕事に行くのがつらい
・一生懸命働いているはずなのに達成感がない
・職場でもプライベートでも過敏にイライラする
・仕事でベストを尽くす気になれない
・原因不明の体調不良がある

いくつあてはまりましたか?
こうした共感疲労のサインを放置してしまうと、症状はますます悪化してしまいます。
不眠、食欲不振、血圧上昇、情緒不安定、果ては悪夢を見るようなASD(急性ストレス障害)に近い症状まで……。
抑うつ状態になってふさぎ込んでしまうこともあります。

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ケアの方法

共感疲労を癒すには、2パターンのケアのやり方があります。

バランス型

自分の中のポジティブな感情とネガティヴな感情のバランスを取る方法です。
ポジティブな感情を高められるような工夫をします。

肯定的なことをノートに書き出す

日常的に感謝しているものを一覧にしてリストアップしてみましょう。
物事の肯定的な側面に焦点を当てられますし、否定的な考えに沈んでしまうことを防げます。

多くの時間をやりたい趣味などに使う

やってみたかった、あるいは続けている趣味などに情熱を注ぎましょう。
より多くの時間を仕事以外のことに費やしてください。
そうすることで精神的な余裕を取り戻せますし、リフレッシュの効果的な方法となります。

自分だけの時間をつくる

自分一人でのんびりできる時間をつくりましょう。
忙しい生活と仕事の中で溜まった負の感情を解消することが出来ます。

接続型

持っている共感疲労を、他の誰かと接続……つまり分け合うことで癒す方法です。
友人や同僚、上司などに、積極的に話を聞いてもらいましょう。つらい気持ちや重たい疲れを、あなた一人で抱え込んで負担することはありません。

シェア

つらい気持ちを溜め込まずに、信頼できる相手に話すようにしましょう。
カウンセリングなどの専門的なサポートを頼るのもいいですね。
研究データでも、気持ちをシェアすることは共感疲労と戦うために確実な方法だと示されています。

ペットを可愛がる

人に話しづらい……という時は、買っている犬や猫などのペットを可愛がりましょう。
ペットは何の見返りも求めず、愛らしく、無償の愛情を与えてくれます。
また動物と時間を共有することで、人間の血圧・心拍数を減少させることが可能だと証明されています。
ちなみに飼っている動物なら何でも大丈夫です。触れない水槽の魚などでも効果があります。

まとめ

共感疲労を溜めないようにするには、利用者さんの感情を特定することが大切です。
「今“この人は”こういう気持ちなのだろう」と考えることで、自分と相手との間に一定の距離を置くことが出来ます。
それによって、相手の持っている感情が自分のものではないと自覚し、切り離すことが可能になるのです。
ケアされる側は、介護職に同じ辛さや苦しみを味わってほしいとは考えていません。利用者さんが求めているのは、ただ寄り添って理解を示してくれること。
それは「共感」してもらうことではなく、「思いやり」を与えてもらうことなのです。

とはいえ、いきなり切り離して考えるのも難しいですよね。
慣れないうちはついつい共感してしまって、疲れを溜めてしまうことでしょう。それは優しさの証拠とも言えます。
しかし共感疲労は限界までこらえたところで、どうにか乗り切れるようなものではありません。
耐えきれなくなる前に、定期的に息抜きしてリフレッシュを心がけましょうね!

参考:Compassion Fatigue: When Nurses Tire of Caring(Nurses Labs)
   ライフハッカー