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人生を共に創ってゆく「ヘルパー」という仕事

みなさんはじめまして、障害者支援のNPO法人 事務局/コーディネーター/ヘルパーの世古口(せこぐち)です。大学卒業から障害者福祉の業界に入り、もうすぐ7年目になります。

障害者ヘルパーをしているなかで、経験したエピソードを等身大に紹介し、障害者支援に対する思いや働くなかで感じる問題、障害者ヘルパーのリアルについて、書いていきたいと思います。

また、「障害者の生活支援」にフューチャーし、これまでの介護経験のエピソードを交えて、障害者ヘルパーのリアルなカタチを紹介していきます。これからよろしくお願いします。

「ヘルパー」のイメージ

「ヘルパー」という言葉を聞いて、みなさんはどのようなことを想像しますか?

料理を作る人、掃除をする人、食事介助をする人、入浴介助をする人、トイレの世話をする人… いわゆる身の回りの世話をする人のイメージを抱く人が多いと思います。

これらのイメージはほとんど正解です。ヘルパーの業務は、食事や入浴の介助などを行う「身体介護」、掃除や食事作りなどを行う「生活援助」、利用者の望む生活を一緒に考えて創っていく「相談・助言」の3つで、総称して「ホームヘルプサービス」と呼ばれています。

障害者ヘルパーの特徴って?

さて、僕の所属している障害者支援のNPO法人は、大きく分けて2つのことを行っています。1つは「障害者の生活支援」で、ヘルパー派遣とデイサービスを行い、障害者の生活を直接的に支えること。もう1つは「障害者と地域をつなげること」で、イベントや学習会、宅幼老所やカフェを行い、支える人を増やし、育てて、障害者の生活を間接的に支えています。

障害者ヘルパーは前述のホームヘルプサービスに加えて、次の2つの特徴があります。それは「長時間のサービスがあること」と「外出のサービスがあること(=ガイドヘルプサービス)」です。

入浴介助や短時間の家事などのピンポイントのサービスだけでなく、家事や、見守り、生活全般の介助や買い物や遊びに行く外出サービスもあり、どんな障害をもっていても、「あたりまえの生活」を過ごせるようにサポートを行います。

「あたりまえの生活」の生活とは、生命維持×社会活動のこと。

「生」はご飯を食べる、排泄する、就寝するなどの「生命維持」。「活」は遊びに行く、仕事をする、飲みに行くなどの「社会活動」という意味で、「生命維持」も「社会活動」もサポートすることが障害者ヘルパーの大切な目的の1つです。どちらの要素も満たされることで、あたりまえの生活を過ごしているといえると思います。

ヘルパーの仕事の魅力

僕は、20代後半のある男性の外出サービスに3年以上入っています。彼は軽度の知的障害者でアスペルガー症候群のため、複雑ではない文章でのコミュニケーションを取ることができますが、相手とコミュニケーションを取ること、特に「意思を伝えること」が苦手です。

彼のサポートに入り始めた頃は、外出先をいくつか提案しても「どこでもいい」と投げやりな返答で、外出もあまり楽しそうではありませんでした。

どうにかして彼に意思を持ってもらいたいと思い、まずはとことん彼と話すことにしました。何度か話す場を設けるうちに、彼はお酒が好きなことが分かり、「じゃあ今度、一緒に居酒屋に行きましょう」と提案すると、少し笑顔で「はい」と答えました。

1週間後、彼と居酒屋へ行き、仕事や趣味、悩んでいることや嬉しかったことなど色々とお話しました。彼は少しずつ意思を伝えるようになってきましたが、まだ僕からの質問に応じるかたちとして意思を伝えているだけで、彼からの発信での意思は聞いたことがありませんでした。

彼と居酒屋へ行くようになってから数ヶ月が経ったある日、彼が言いました。

「オクトーバーフェストに行って、ドイツのビールを飲みたい」。

僕は「初めて自発的に意思を伝えてくれた!」と嬉しく思い、すぐに予定を調整し、彼とオクトーバーフェストへ行きました。
この日以来、彼が自発的に意思を伝えてくれることが多くなり、彼らしい生活を彼と一緒に創ることができました。

 

 

障害者ヘルパーは他者の生活に触れ、一緒に生活を創っていくお仕事です

他者の生活に入り込み、生活全般のサポートをすることの大変さやコミュニケーションの難しさはありますが、その人の生活がその人らしく変わっていく嬉しさや、その人の行動や経験を疑似体験できる面白さ、自分とその人の考えの違いに触れる驚きを得ることができる仕事。

それが、「ヘルパー」という仕事なのだと思います。

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