重大な労働基準法違反からブラック企業として批判を浴び、介護事業の撤退も余儀なくされたワタミの過労死自殺訴訟が、2015年12月8日に和解成立となりました。遺族に過去最高レベルの損害賠償金を支払うことで決着したこの和解が、ブラック企業根絶の契機となることが期待されています。
ブラック企業から離れる第一歩は、「この職場、おかしいかも?」と気づく知識をつけること。今回は、当たり前のように行われがちでも、実は労働基準法に違反している職場ルールをご紹介します!
目次
職場の独自ルールに苦しむ介護職員の声
あなたの職場にも、こんなルールはありませんか? 職場の独自ルールに不満を持つ介護職の方の声を、一部ご紹介致します。
- 欠勤すると1日1万円引かれる…
- 今の職場は、欠勤すると1日1万円給料から引かれます。だから、体調不良で休みたくでも、ほとんどの職員は出勤してしまうのです。
出典:けあとも
1日1万円の減給は痛すぎます。体調管理は社会人の基本ですが、体調不良をおして出勤して、他の職員や利用者さんに蔓延してしまったら大変ですよね…。
- 休日の会議を欠席すると罰金500円
- ●休日のステーション会議に参加しないと罰金500円をとられる。●参加した場合も特に手当はでない。●基本的に休日でも会議は強制参加。
出典:Yahoo!知恵袋
罰金もさることながら、無給で休日出勤していることの方が問題ではないでしょうか。
- 休日の電話・メールで休めない!
- 経営者であり責任者である人からの休日の電話、メールにいらいらしています。出勤日に、済ませればいいような事ばかりでせっかく仕事から離れているのに休めない気持ちです。
出典:けあとも
休日は仕事のことを忘れてリフレッシュしたいもの。立場上、経営者からの連絡を無視することは現実的に難しいですよね…。
実は労働基準法違反!の職場ルール5選
多くの職場で当然のように取り入れられていても、実は労働基準法に違反しているルールをまとめてみました。
- 実は労働基準法違反!の職場ルール5選
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□ 遅刻・欠勤による「罰金」
□ 当日欠勤は代理がいないと認めない
□ 有給休暇を取得理由によって却下
□ 業務時間外の連絡への対応を要求される
□ 社員旅行を辞退⇒積立金が返金されない
遅刻・欠勤による「罰金」
遅刻や欠勤時、働かなかった分の給与が減るのは当然ですが、働かなかった分以上をペナルティとして減給するのは違法です。働かなかった分を超えて減給(例:30分でも遅刻すれば1日分を無給とする等)するには、就業規則にきちんと定めることが必要。就業規則に記載がない「暗黙のルール」の罰金は労働基準法違反です。また、就業規則に定める場合も、事業者側が自由に減給額を決めて良いわけではありません。
- ・1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと
- ・総額が1賃金支払期(月給の場合は、月給額)における賃金の総額の10分の1を超えないこと
労働基準法では、上記のように減給できる額の上限が決まっているのです。
当日欠勤は代理の職員を探さないと認めない
当日欠勤はもちろん避けるべきですが、欠員の補充までは労働者の義務ではありません。従業員の手配は事業者側の責任になるため、「代わりの人が見つからなければ出勤して!」等の命令は違法です。ただ、職場に迷惑をかけてしまうのは事実なので、体調管理は万全にしておきたいですね。
有給休暇を取得理由によって却下
労働者が有給休暇の取得を申し出た際に、その理由や、理由を答えないからといって、事業者側は有給休暇の取得を拒否できません。ただし、事業者側は有給休暇の「時季変更権」を持っているため、別日にずらせるか確認する為に、取得理由を任意で尋ねること自体は合法。理由を言うことを拒否したり、嘘の理由で申請したことが後々発覚するとトラブルになる可能性が高いので、取得理由は「私用」とのみ答えればOKです。
業務時間外の連絡への対応を要求される
休日や退勤後に、上司や職場から頻繁に業務連絡や呼び出しがありませんか? 勤務時間外の労働者に業務連絡をすることは、労働基準法で禁じられており、違反した場合は罰則規定もあります。休日に心身を休められない職場では、疲労やストレスは蓄まっていく一方ですよね。
社員旅行を辞退⇒積立金が返金されない
労働基準法では、給料は全額支払われなければならない「全額払いの原則」があります。税金・社会保険料・雇用保険料以外を給料から天引きするには、労使協定が必須。労使協定に基づいて給料から天引きされている旅行費用の積立金の場合、「社内預金」として扱われます。「社内預金」の所有者は労働者。労働者が社員旅行を辞退した場合、事業者側には積立金を全額返金する義務があります。
まとめ
人の命を預かる介護の職場。人手不足の職場も多いことから、遅刻や欠勤にシビアにならざるを得ない事情もあると思います。ですが、労働基準法違反の職場ルールを甘んじて受け入れる必要はありません。今回ご紹介した項目の中で、今の職場のルールに当てはまるものがあった方は、転職も視野に入れてみて下さいね。健全な労働環境で、伸び伸びと働ける職場はたくさんあります。