介護施設内での盗難被害は、残念ながら間々発生します。「もしかして同僚の中に犯人が?」「利用者さんの勘違いかも」等と、疑心暗鬼になりながら働くのは辛いですよね。今回は、利用者さんが安全な生活を送れ、介護職の方も安心して仕事に取り組めるよう、介護施設で盗難が起きてしまう理由と、盗難を防ぐ対策についてまとめてみました。
目次
介護施設での盗難、珍しくない…?
まずは、実際に介護施設で盗難を経験した方の声を聞いてみましょう。
入居中の祖父が何度も盗難にあっています。本人はとてもしっかりしており、認知症ではありません。(中略)このことを施設に何度言っても解決しない(中略)祖父も盗難にあうたびショックから体調を崩しているので非常に心配です。。。
出典:発言小町
特養勤務です。私の職場でも以前盗難事件ありました。犯人はおおよそわかっていましたが、(内部の人間です)刑事事件にもせず、結局は個々がロッカーの鍵をかけておくように・・・で終わってしまいました。
出典:介護職の仲間
内部の犯行を疑う声もありますが、濡れ衣であれば、疑いをかけられた職員も被害者。チームワークが不可欠な介護の職場で、職員同士が疑心暗鬼になっていては、利用者さんへのケアにも悪影響が出てしまいそうですよね。
介護施設での盗難、なぜ起きる?
介護施設内での盗難は、なぜ起きてしまうのでしょうか。考えられる原因をまとめてみました。
- 見舞い客や家族を装える
- 昼夜とも見舞い客や家族の出入りがあるため、施設内を見知らぬ人が歩いていても不審者と思われにくい。
- 利用者の居室に鍵がない場合が多い
- 誰でも自由に居室に入れてしまい、管理状況によって利用者の現金や貴重品を持ち出せてしまう。
- 夜間の警戒が手薄になりやすい
- 職員はナースステーションや休憩室・宿直室に待機。金庫や利用者の個人情報を管理するPC・書類がある事務室は無人になりがち。少人数の夜勤スタッフでナースコールや巡回も対応するため、施設の隅々に目を配れない。
- 玄関がガラス扉の施設が多い
- 防犯ガラスにしていないガラス扉は、道具で割って侵入されやすい。
- 経営者や職員が油断している
- 24時間の職員常駐体制・現金を持ち込まない規則等に安心している。防犯カメラを設置していても、電源を切っている等で機能していない場合も。
実際に、警備が手薄な介護施設ばかりを狙って犯行を繰り返した窃盗団もあり、多くの施設が被害に遭っています。介護施設は、残念ながら盗難が起きてもおかしくない環境と言えそうです。
介護施設の盗難、どう防ぐ?
盗難の心配などせずに働ければ一番ですが、やはり備えあれば患いなし。介護施設内での盗難は、どうすれば防げるでしょう。
- あなたの職場は大丈夫? 盗難を防ぐ6つの対策
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□ 現金・貴重品は、原則持ち込まない
□ 現金・貴重品は、金庫等で施錠保管
□ 利用者の私物には、氏名を大きくハッキリ書く
□ 利用者の私物リストを作り、写真と一緒に保管
□ 防犯カメラや、防犯システムを導入
□ 泣き寝入りしない姿勢をアピール
現金・貴重品は、原則持ち込まない
多額の現金や貴重品の持参は原則禁止・持ち込んだ分に関しては自己管理としている施設も多いと思います。利用者やご家族に施設のルール周知を繰り返し、防犯意識を高めてもらいましょう。介護職員も多額の現金持ち込みは避け、財布や貴重品を施錠管理できない場合は、ウエストバッグで持ち歩く等で自衛を。
現金・貴重品は、金庫等で施錠保管
利用者・職員双方の現金・貴重品を安全に管理できる、下記のような設備の導入も一案です。
・入居室で所持品が盗難されるのを防ぎます。
・利用者の荷物を保管します。
・盗難防止とともに、利用者間・職員間のトラブルを防ぎます。
・キー紛失が発生しても104万通のプログラムの中から容易にキー変更が可能。
出典:福祉介護ヘルスケア
施設で管理する分については、
- ・利用者・家族から預かった時に預かり証を発行
- ・預かった現金・貴重品は速やかに出納帳に記載し、領収証とセットで保管
- ・現金・貴重品を出し入れする際は、必ず2名以上の職員で行い、サインを残す
等、「金銭・貴重品の管理規定」を作成し、利用者側の委任を得た上で厳正・的確に運用していくことが必要です。
利用者の私物全てに、名前を大きくハッキリ書く
自分のものと他人のものの区別がつかない認知症の方の場合等、必ずしも有効な対策ではありませんが、一定の抑止効果は期待できます。
利用者の私物リストを作り、写真と一緒に保管
利用者一人ひとりの私物リストを作り、形状が分かるよう写真も撮っておきます。撮影前に私物に名前を書き、施設内で撮影したことが分かる状態で写真を撮っておくことで、「利用者さんやご家族の思い込みでは?」「本当に○○さんの物なのか?」という疑念が生じにくくなります。
防犯カメラや、防犯システムを導入
玄関、廊下、裏口、階段などの要所、特に夜間に人気がなくなる場所や死角に防犯カメラを設置し、実際に稼働させます。費用面との兼ね合いにはなりますが、侵入探知システムや徘徊検知システムと連動させ、不審者や徘徊する利用者が近づくと、ナースステーションで即座に把握できるようにしておくと安心です。
泣き寝入りしない姿勢をアピール
もう盗難がおきてしまい、残念ながら内部犯と思われる場合の対応です。利用者さんやご家族に協力してもらい、紛失した日付・場所、現金の場合は金額、物品の場合はその形状等を書き出し、施設の共有部分に掲示します。必要に応じて警察に相談する意向も書き添えると、犯人が盗品を返す可能性も。大切なのは、黙っていない・問題にする姿勢を見せること。
あってはならないことですが、管理者が圧力をかけてくる場合は、さらに上層部に報告する・民生委員に相談する・警察に相談することも選択肢に。
まとめ
介護施設に限った話ではなく、多様な人が集まる場所では盗難のリスクがゼロではありません。職員同士で疑い合ったり、利用者さんやご家族の認識違いでは?とモヤモヤしながら働くのはストレスが溜まるものですよね。
不正や犯罪は、「したくてもできない」環境・仕組みを作り、予防することが大切。介護の現場では、人手不足や業務多忙、費用面の問題から防犯対策が後回しになりがちな現状も考えられ、悩ましい問題だと思います。あなたの職場では、どのような対策を取っていますか? 効果的な取り組みがあれば、ぜひ教えて下さい。