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【介護職の退職】パターン別「引き留め」の上手な断り方

介護職の方にとって、退職引き止めは悩ましい問題です。厚生労働省の調査では、介護職員の有効求人倍率は全国で2.68倍(全産業は1.09倍)。人手不足の現場では、円満退職はなかなかの難関でしょう。

今回は、退職引き止めにあい、「辞めたいけれど、辞められない」とお困りの介護職の方のために、よくある退職引き止めのパターンと、パターン別の上手な断り方をご紹介します。

参考:介護人材の確保について(PDF:1850KB) – 厚生労働省

介護職員の「退職引き止め」経験談

まずは、実際に退職引き止めを経験した介護職員の声を聞いてみましょう。

『今、しんどいからと逃げるな。』『引き継ぎはどうするんだ。』、『精神的な弱さが原因。』と言われましたが、もう限界ですと押し通しましたが、結局は、うやむやなまま話し合いが終了しました。退職願も直属上司のさらに上で止められているようです。
出典:Good-bye.biz

介護職。「後任が見つかるまで退職できない」と言われた。今までも退職したい社員が何人も強引に引き止められ辞めさせて貰えないでいる。
出典:NPO法人 労働相談センター

上司・経営者側も、退職引き止めノウハウは持っているものです。皆さん、苦労しているようですね。

パターン別「引き留め」の上手な断り方

甘い言葉で懐柔したり、強引な態度に出たり… よくある退職引き止めパターンを整理してみました。

【退職引き止め】よくある6パターン
懐柔パターン
□ 「あなたが必要!」と追いすがる
□ 「給与や待遇を改善する」と揺さぶる
保留パターン
□ 多忙などを理由に、うやむやにする
□ 後任が見つかるまで引き延ばす
威圧パターン
□ 「他で通用しない」等、自信を失わせる
□ 「損害賠償請求する」等、脅しにかかる

続いて、それぞれの上手な断り方・対応策について解説します。

「あなたが必要!」と追いすがる

最も王道といえる、情に訴えかけるパターンです。「利用者もあなたを頼りにしている」「大事な戦力だから、いなくなられると困る」等と言われると、やはり嬉しいものですよね。お世話になった上司から言われれば、気持ちも揺らいでしまうかもしれません。

上手な断り方・対応策
必要としてくれていることに感謝を伝えた上で、「現職では叶えられない、次の職場で挑戦したいことがある」「家庭の事情など、やむを得ない都合がある」等と説明します。一時の感情に流されず、退職の意思が固いことを伝えましょう。

「給与や待遇を改善する」と揺さぶる

「給料・ボーナスを上げるから」「勤務時間や休日に融通をきかせよう」「(退職理由が人間関係の場合)配置転換するから」等々。魅力的な提案ですが、実現されない可能性の方が高いです。上司の気持ちに嘘はなくとも、最終的な決定権があるかは別問題。

上手な断り方・対応策
「ありがたいご提案ですが、熟慮を重ねた結果なので、退職の意思は変わりません」とハッキリ伝えましょう。退職を申し出る前に、上司への相談や改善提案など、何らかの働きかけをしていた場合も多いはず。職員が退職を決意してから、処遇改善に本腰を入れる組織に残っても、安心して働き続けられませんよね。

多忙などを理由に、うやむやにする

退職意思は、直属の上司に申し出るのがマナーですが、その上司が話を上に通さない・上に相談すると言ったまま音沙汰がない等のパターン。上司が忙しそうにしていると催促は気が引けますが、時間が経つほど言い出しにくくなります。

上手な断り方・対応策
上司の手が空く時間を見計らい、まずは「先日ご相談した件、どうなりましたか?」と切り出します。それでも腰が重い場合は少し強硬策に。直接、上司の上司や経営者に退職意思を示すことを仄めかします。「お話が進まないなら、不本意ながら…」等、伝え方は慎重に。

後任が見つかるまで引き延ばす

「後任がいないから退職は認めない」「後任が見つかるまで待って」等の言葉で、責任感の強い方ほど退職を躊躇してしまいますが、「後任がいない=辞められない」という認識は誤り。後任を手配するのは事業者側の責任です。

上手な断り方・対応策
「○月○日までは頑張ります。後任がその間に見つからない場合も、漏れのない引継ぎ資料を作成しますのでご安心下さい。」等と申し出ます。後任を見つけるのは事業所側の役目ですが、引継ぎは退職者の仕事。職場への迷惑を最小限にするために、誠意を見せ、形で残すことも大切です。

「他で通用しない」等、自信を失わせる

「ここで無理なら、どこでも通用しない」「何も貢献していないくせに」「精神的に弱い(未熟だ)からだ」等、退職者を罵倒したり、人格を否定したりするケース。現職しか知らない方や真面目な方は、言葉通りに受け取ってしまいがち。

上手な断り方・対応策
往々にして主観的な発言なので、額面通り真剣に受け取る必要はありません。職場の方針・風土・人間関係次第で、働きやすさは全く異なります。「○月○日までに退職させて頂きます。引継ぎはきちんと行います。」等、ケンカ腰になることなく、毅然と伝えましょう。

「損害賠償請求する」等、脅しにかかる

ごく稀ですが、「今辞められたら利用者に迷惑がかかる」「採用や教育に○円もかかっている!その費用を返せ!」「損害賠償を請求する」等と脅しをかけてくる場合も。

上手な断り方・対応策
よほど例外的な状況でもない限り、退職者が損害賠償の義務を負うことはありません。法的根拠のない脅し文句は受け流すのが一番。万一、本当に訴える動きを見せた場合は、「労働基準監督署に相談します」と言い、実際に相談を。

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