私は、今でこそ老健施設の管理者ですが、およそ2年前まではリハビリ職として現場で働く作業療法士でした。さらに遡れば、当施設は他職種同士の連携がヘタでうまくまとまらない、残念な老健施設でした(※もちろん今は違いますよ)。
リハビリ職と聞いてイメージするのは、リハビリ室にこもってばかりで業務をし、たまに介護現場にやってきては「ポジショニング」だの、「麻痺の痙性」だのと、自分たちの専門的なことを好き勝手に云々かんぬん言っている姿ではないでしょうか。
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介護職とリハビリ職の間の埋まらない溝
こうしたリハビリ職は、
「いつも現場にいないくせに!」
「利用者さんや介護のこと何も知らないだろ!」
「そんなにお前ら、偉いのか?」
など、介護職の皆さんから自身がどう思われているのかを経験上私は知っています。良い施設ではこんなことはあり得ないでしょうけどね。
対してリハビリ側からすると、
「申し送っているのに、やってくれない」
「何かお願いすると、介護職がムスっとする」
っといった意見があって、実はリハビリ職の何らかの集まりでこれが相談事のお題になったりするんですね。ま、当施設だけの悩みではなかったということになるのですが(笑)。
両者の考え方の違いの原因はどこにある?
原因には他職種とのコミュニケーションがとれていないだとか、スタッフを取りまとめる管理職の能力が未熟だとかいろいろあります。ですが、これにはもっと違う原因もあるのです。
ハッキリ言います。この原因の多くは、リハビリ側の間違いにあると思います。そもそもとして病院でやっているリハビリテーションスタイルをそのまま老健施設に持ち込んでしまっているところが多く、そうした業務の根幹からが間違いなのです。
ご存知の通り、病院は疾病や障害を治療するところです。でも老健施設は在宅復帰を支援するために生活行為を治療するところなのです。病院と老健施設ではこういった違いがあるのですから、我々リハビリ職のアプローチ方法も当然同じとはなりません。
結論から申せば、老健施設のリハビリ職とは、介護職と一緒に現場に立ち、共に利用者さんの生活動作を見守ったり介助支援をしたりするなかで、リハビリ専門職としての評価・治療スキルを上手に活かしていく存在なのです。
リハビリ職だけがリハビリをやるものではない
老健施設でリハビリ室にこもって身体機能ばかりに偏った治療アプローチをしても、それが高齢である利用者さんの生活動作能力の向上には繋がらないことが多いです。老健施設は在宅復帰目的のリハビリ施設ですから、リハビリ職だけがリハビリをやるものではなくスタッフ全員でやるものです。特に、生活介助支援のプロである介護職の皆さんとの連携が上手くできなければ、老健のリハビリテーションは成立しません。
そのためにも利用者さんや介護職と、時間や空間を共に出来ないリハビリ職は、お話にならないのです。そういった場違いなリハビリ職が、たまに介護現場に顔を出しても相手にしたくないですよね。こうしたリハビリ業務の根幹を見直すことから始めないと、真の多職種連携は難しいのではないかと思います。
老健のリハビリテーションの誤解を解きたい
もし介護職の皆さんが、「老健のリハビリはリハビリ室で歩行訓練や筋力強化、マッサージ、電気治療などをするもの」だと思われる方がいるなら、それは主に病院で行うものであって老健施設では違います。あくまで生活行為を治療するのが老健リハビリの主なのだ、という考え方に改めて欲しいと思います。
地域包括ケアシステムが本格的にスタートすると、介護業界で頑張る数少ない人財で在宅復帰へ結果が出せる、効率的で密な連携の介護システム構築を目指します。
よって、上述のことがこれから常識となるのは必然です。そして老健施設は、本来の在宅復帰の役割を果たせないと今後は淘汰の対象となります。人が余るほど居る施設はともあれ、人の足りない施設においてはスタッフ全員で協力して結果を出せる体制作りが急務なのです。
真の多職種連携のために
皆さんの周りには、リハビリ室にばかりこもっているリハビリ職はおりませんか?是非、そういった視点で一緒に働くリハビリ職を見てみてください。そしてこれからの老健施設の在り方も考えてみてくださいね。
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