居宅のケアマネジャーとは違い、入所者と24時間365日一緒に過ごします。そのため生活リズムや心身の変化を把握しやすいこと、サービスが施設で完結していて連携を取りやすく、多職種との課題共有がしやすいことがメリットと言えます。
一方、入所者の家族には生活が見えにくいことがデメリット。生活が施設内のサービスで完結しやすいため、入所者のQOL向上が難しいのも課題のひとつです。
それぞれの思いや優先すべき課題をケアプランとして可視化することで、入所者も生活の目標を認識でき、家族も加えた支援を円滑にすることが出来るのです。
今回は、そんなケアマネジャー業務の中で欠かせない「モニタリング」についてお話しします。
目次
モニタリングとは
ケアプラン作成後のモニタリングについては、定期的に入所者と面接して行う必要があります。頻度は入所者の心神の状況に応じて、適切に判断しましょう。
また、モニタリングの結果についても定期的に記録することが必要です。
参考:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について
モニタリングの目的
モニタリングの目的は、作成したケアプランの実施状況を確認し、課題や目標に対する評価すること。そして記録を残すことです。
ケアプランそのものについての確認と評価を行うことが目的なので、実際のサービス実施状況やサービスの量、質を確認するだけでは十分ではありません。
また入所者や家族の満足度だけを確認したのでも、ケアプランの評価とすることはできません。
モニタリングのポイント
- ケアプランの内容、課題(入所者の心身の状態)に対応したケアプランであるか
- 入所者の状態把握により、ケアプランが入所者本人の生活に効果があるのか評価します。
- 介護士、看護師、栄養士など、スタッフによるサービスがケアプラン通り実施されているか
- ケアプランにあうサービス内容が実施されていない場合は、その要因も把握し解決方法を検討します。
- 入所者と家族のニーズに変化はないか
- 入所者・家族と面談し、主観的な評価を含めて確認します。サービススタッフから得た間接的な情報とも照らし合わしましょう。
- ケアマネジャーとして、サービスに必要な情報収集や多職種と連携が密にとれているか
- ケアプラン作成者として、振り返りも必要です。
モニタリングで注意すること
しかしモニタリングとして面接の場を設定すると、普段とは違った思いを聞くこともできます。そのため、面接を行うのはできるだけ個室のような閉じられた場所が良いでしょう。
また、サービスを提供するスタッフは入所者の情報をたくさん持っていますが、モニタリングとして必要な情報を選別できないこともあります。
必要な情報が埋もれてしまわないよう、日常の記録から記録を抜粋しておきましょう。
それらをモニタリングや担当者会議のときに確認すると、効率的に情報収集ができます
モニタリングの記録例
モニタリング結果を記録する様式に関しては、法令などでは示されていません。
施設内の記録ツールを使っても良いですし、モニタリング用の書式を使っても構いません。やりやすいものを用意しましょう。
記録には、モニタリングを行った日付、場所、誰と行ったかを書きます。日常の記録に組み込む場合は、モニタリングをしたことを明確にしておきましょう。
記録例
これではケアプランの意向確認だけですので、モニタリングの記録として不適切です。
- ・誰が見てもわかるように、モニタリングを実施したことを明確にしておく
- ・短期目標の評価と連動した記録にする。身体状況の把握とサービス実施状況の把握、両方の記録になるため
- ・評価を受け、今後の方針も記録する
短期目標(1)トイレの手すりを持って自分で立てる
プラン開始直後は、指示が伝わらず手すりは持っても立ち上がろうとする様子はなかった。
毎日継続した声かけを行うことで、トイレに入ると自然と手すりをつかむようになっていき、現在は後ろから体重移動を介助することで立てるようになっている。
今後、立ち上がり動作の自立を目指し、もう3カ月継続する。」
まとめ
ケアプランの課題や目標を出来ることだけに絞って作成すると、利用者、スタッフ双方モチベーションが上がりません。
高すぎない目標で、お互いにちょっと頑張れるところの見極めが大切です。
そのためにも、モニタリング(確認・評価)が適切に行われることはとても大切なのです。
『法的根拠に基づくケアマネ実務ハンドブック-Q&Aで押さえる業務のツボ-』中央法規 後藤香苗著