介護コラム

介護職の力で、高齢者を社会の財産にできる

「富山型デイ」「あおいけあ」「日本版CCRCシェア金沢」など、新しい福祉の形がどんどんと生まれてきている介護業界。
僕たち介護職も、専門職として新たな分野を確立していく段階になっているのかもしれません。
医師も、看護師も、理学療法士も自分たちの専門領域を確立し、社会的地位や専門職としてのキャリア形成を作ってきました。

「介護職」だからこそできることを確立していくにはどうしたらよいか、僕の経験からのお話ができたらなと思います。

とある施設で見た、これからの日本の社会の姿

先日、ご縁があって「国際福祉サミット」に参加させていただきました。
その中で出会ったのが、岩手県・大船渡の「居場所ハウス」という施設の取り組みでした。

NPO法人 Ibasho japanが設営したこの施設は、地域に住むあらゆる人たちが交流したり、イベントを開催したりするスペースです。
ただ交流するだけのスペースであれば、近所のコミュニティカフェなど他にもあります。ですがこの施設は、地域に住む方々が運営されています。

  • 施設の周りに飲食店がないことから、元大工の運営メンバーが「勝手に」キッチンを作って、飲食店を始めたり。
  • 近所のお年寄りが、郷土料理を近所に住む若いお母さんたちに教えたり。
  • 地域に住む方々が、好きなように施設をつくりかえていきます。

また、毎日のように通ってくるお年寄りを見かけなくなると、「居場所ハウス」で友達になった人が様子を見に行ったりと、ご近所さん同士で見守りあっています。

地域に住む人々がこうやってそれぞれの得意分野を生かして、できないことを補いあって、生活していく。
これがこれからの日本の社会の形になるのかなと感じました。

介護職は利用者さんの「生きがい」を見つけるお仕事

未来の日本の社会に向けて、僕ら介護職に求められること。
それは「介護が必要な方々、1人1人の長所を見つけ、コミュニティでの活かし方を一緒に考えること」だと思います。

僕たち介護職は、利用者さんの残存機能を活かして、ご自身でできることはご自身でできるように、自立した生活の支援をします。

この利用者さんは何ができていて、何ができないのか。それを把握し、能力に合わせたお手伝いをしていきます。

歩くことはできないけれど、洗濯物をたたんだり裁縫をすることは、介護スタッフよりも速く丁寧にできる。
自分で料理はできないけれど、どんな風に味付けをしたらより美味しくできるのかを教えることができる。

などなど、日々の生活のなかで、利用者さんのできること・できないことを見つけていきます。

自分以外の人の洗濯物をたたんで、「ありがとう」の言葉をもらう。
伝えた分量で味付けした料理を食べて、「おいしい」って言ってもらえる。
これって、最終的には、人のためになるんです。
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このようなことを見つけられるのも、日々利用者さんの生活をお手伝いしている介護職だからこそできることなんです。
そんな私たちだからこそ、それをさらに広げて、利用者さんの長所を社会に活かせるようにできるのではないかなって思います。

そして、社会に何かを貢献できるという実感を得た利用者さんには、新たな「生きがい」を感じていただけるかもしれません。
介護職として、利用者さんが「生きがい」を見つけるお手伝いをする。
これができたら、もっと介護職を目指す人が増えるのかなって、僕は思います。

ABOUT ME
山本健治
新卒で現在の社会福祉法人に入職、今年で9年目。特別養護老人ホーム、認知症対応型グループホーム、介護付有料老人ホーム、デイサービスで勤務していた。現在は川崎市の特別養護老人ホームで働く生活相談員。医療福祉コミュニケーションカレッジ認定のコーチ・あだ名「ピュアコーチ」、きらめき介護塾の「認知症シスター」の肩書を持つほか、オリジナルプロジェクト「オンリーワン介護士」としてアロママッサージを使ったケアも行っている。株式会社join for kaigo主催のHEISEI KAIGO LEADERSにも所属。「癒しの介護士・プーさん」の愛称で親しまれる。