介護ニュース

熊本地震から一か月……被災者が求める「心のケア」とは

4月14日に起きた熊本の震災から、まもなく一か月が経とうとしています。
僕の人生の中では阪神淡路大震災・東日本大震災に続く3つ目の大きな災厄。日々色んな情報が入ってきますが、心が滅入ってしまいます。
震災によって、現地の介護職の方々は施設に行ける状態になく、日々介護職が不足しているという情報もうかがっています。
そのような状況で全国各地からボランティアへ向かう人たちの話を聞きますと、日本という国の「絆」を大事にする思いを感じられます。
いち介護職でしかない私ですが、私にできることで、現地の皆様の支援につながるお話をできればと思っております。

誰もが今、不安の中にいます

介護というと、身体的なお手伝いをイメージする方が多いと思います。
もちろん身体に不自由がある方に対して、身体的なお手伝いをすることも介護の重要ないち要素です。
しかし「自分でできないことが増える不安」を緩和させることも、介護の一つなんです。

避難所では、いつご自宅に戻れるかわからない不安と闘いながら、日々を過ごしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思います。
みんなが同じような不安を抱えているので、周囲は誰かの話を聞く余裕なんてありません。
そうなると自分一人で不安を抱え続けることになり、より一層苦しくなってしまいます。
そのような時、誰かにこの不安な気持ちを聞いてもらう。それだけで、心がだいぶ楽になると思います。

必要なのは、一生懸命「親身」になること

コミュニケーションの1つに、「傾聴」というものがあります。その字の通り、耳を傾けて熱心に話を聞くことです。
介護のプロである私たちは、日々認知症や身体の不自由さに不安を抱いている方々とコミュニケーションをとります。
すべての不安を取り除くことはできなくとも、その方によりそい、相手が抱える不安をただ、聞き続けて共感する。
思いを受け止めることで、その方と不安を共有できます。
そうすると、1人じゃないって、思っていただけるんじゃないかなと思います。
「ただ寄り添い、話を聞き続けて、思いを共有する」
不安を抱えやすい避難所の中で、このようなこともケアにつながるはずです。

ボランティアに行ってくださっている方々は、物資の支援や後片付けだけでなく、ぜひ避難所の方々の思いを聞いてあげてくださいね。
それも立派な、しかし誰にでもできるひとつのケアになります。

ABOUT ME
山本健治
新卒で現在の社会福祉法人に入職、今年で9年目。特別養護老人ホーム、認知症対応型グループホーム、介護付有料老人ホーム、デイサービスで勤務していた。現在は川崎市の特別養護老人ホームで働く生活相談員。医療福祉コミュニケーションカレッジ認定のコーチ・あだ名「ピュアコーチ」、きらめき介護塾の「認知症シスター」の肩書を持つほか、オリジナルプロジェクト「オンリーワン介護士」としてアロママッサージを使ったケアも行っている。株式会社join for kaigo主催のHEISEI KAIGO LEADERSにも所属。「癒しの介護士・プーさん」の愛称で親しまれる。